「ドキュメントなのか中途半端」Fukushima 50 Takasiさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメントなのか中途半端
原発の爆発阻止と、それを取り巻く方々に絞った話なんだけど、それだと東北の震災をきちんと描いた事にはならないんだよね。
津波が街を飲み込む様子も、街が破壊される様子も全く描かれない。
まあ、被害者に配慮したんだろうけど、結局東北は救われた!みたいな終わり方なんだよね。救われてないじゃん!何万人も亡くなったのに。
象徴的なのは、人が亡くなるシーンが全くないんだよ。数年後病死する所長以外は。原発職員の家族もみんな避難して無事。
人の死の描写を避けて逃げて、東北の震災の惨さを伝えていると言えるだろうか?
となると、これはドキュメントなのか創作なのか、どちらとも言えない非常に中途半端な内容になってる。首相も菅直人と全く違うキャラだし。
うーんモヤモヤしたな〜…
まあ、リアルな津波の映像は非難集中しますよね〜、現実的には。
しかしそれなら、完全に架空の物語にしたら良かった。
舞台も福島でなく、未来の日本のどこかとか。
福島の震災の話です!って断定されると、それをきちんと描いてくれよって思ってしまう。記録映像というか、後世にきちんと伝える為に。
また物語の部分も、観る側は本当の出来事だと思って観てしまう。
何でかんで人が死ぬシーンや津波で街が飲み込まれるシーンとか描く必要は無いと思います。
あくまで本作は、原発事故に尽力した人たちの物語。
それに今も津波の映像を見て精神的に辛い人たちは居る訳で、配慮も必要かと思います。
私も不謹慎にも、誰も死なないんだ、、と思ってしまいました。
ただ、未だにら緊急地震速報の音と津波の映像だけで、息が詰まるし、鼓動が不規則になります。
たくさんの方の遺体が出てきたら、映画最後まで見られたないかも。
この映画は、震災全体や津波ではなく、福島原発事故の話だからじゃないですかね?
ドキュメンタリーじゃないので、万人か観られる、楽しめる物語です。
しかし、官邸とのやり取りなんかは綿密に取材した上、詳細に描いてるよ。その部分はドキュメンタリータッチで描いてるのは間違いない。吉田所長も実在の人物だし。
しかも、創作話にしたいなら「津波を逃れた一家の物語」とか、その方が創作にしやすいじゃん。