「戦争映画を観てるかのような気分」Fukushima 50 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
戦争映画を観てるかのような気分
東日本大震災で被災した福島第一原発の事故を描いた実話ベースのお話。
あれからもう9年。当時、様々なメディアで報道されたこともあり、ある程度は知っているつもりだったが、こうして映画として流れで観ると初めて知ることも多かった。
驚くのは出演者の豪華さ。ちょっとした役の人でもそれなりの俳優を使っていた。だから演技に関しては文句はない。重いテーマに相応しい重厚な演技を見せてもらった。映像も臨場感と緊迫感がすごい。事実の重さにただただ圧倒されてしまった。ベントに向かうメンバーの決定、命をかけてバルブを開こうとする姿、上司や仲間との絆、疲れ果てた社員たちがぐったりしながら休みを取る姿、作戦本部との軋轢、訳のわからない作戦指示。戦争映画を観ているような気分になった。当時の原発事故に関わった人たちは戦争に赴くのと似た感覚だったのかもしれない。
彼らの決死の努力で未曾有の原発事故を防げたことは確かだ。胸が熱くなるシーンも多い。ただし、誰も死んでいないかのような描き方は納得いかない。そんな美談だけでは語れないはずだ。誰かへの配慮があったからなのか、終わり方はあっさりとしてて唐突だった。とてももったいない気がした。
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