「彼らは間違いなくヒーローである。」Fukushima 50 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
彼らは間違いなくヒーローである。
先ず、それだけは言っておきたくて。
犠牲的精神。覚悟と責任感。最悪の場合、何が起きるかが分かっている上で現場に留まり、実行部隊としてのミッションをやり遂げようとした勇気。
ヒーローですやん、間違いなく。
ビハインド・ザ・ストーリーが全く無いのはどうなのよ、って言う事で、「人災部分」だけ書き足します。
◆本来、2011年3月には冷間停止しているはずだった。
皆んな忘れてるでしょ、この件。
関電のHPを見ると原発の寿命について以下の記述有り。
"原子力発電所が建設された当時、運転期間に対する法令上の定めはありませんでしたが、福島第一原子力発電所事故の後に改正された法律によって、運転できる期間は運転開始から40年と規定されました。”
ウソは言ってませんが分り難いので補足します。原発建設当時は「15年」だったと記憶。技術の進化に伴い、「適切なメンテナンス(追加工事と補修工事)を実施すれば延長を可能とする」条例が、橋本龍太郎内閣時代に可決しています。
40年限界との数字を法令化したのは、当時与党の民主党です。しかしながら「厳格に耐用年数は決まっていないが、メンテナンス工事を実施しなければ継続使用できない」と言う条例はあった訳です。東電への継続使用許可は、規則違反である事も事実です。福島第一原子力発電所は、2011年2月14日(日付けは間違ってるかも知れません)を以て休炉に入り、耐用年数延長のための工事に着工する予定でした。それが2月8日、メンテナンス工事無しでの「延長許可」が、何故か下りてしまいます。
本来の計画通りであれば、3月11日には原子炉は停止しており、燃料棒も隔離されていたはずでしたが、連続操業していたため「結果的に」あんな事態に陥りました。
延長許可が下りた理由、と言うか、許可した背景については、推測混じりになるので自粛します。
最後に。吉岡里帆が女優さんとして、ちゃんとして来たなぁって思いました。
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2/13 追記
この映画の主題は、体育館のシーンに集約されているのだと思います。「すみませんでした」と頭を下げる伊崎。「利夫ちゃんは、よく頑張った」と返す隣家のおやっさん。
私達、彼らに「よく頑張った、ありがとうね。」って言ってないことないですか?本当に大変なのは被災者だから、被災者は感謝する必要など、ないのでしょうか?
Operation Tomodachiは、政府との合意・許可を待たずげ米軍が自発的に行動を起こしてくれました。当時の政権は、防衛大臣であった北澤俊美氏が、4月3日に菅直人首相の感謝の短いメッセージを代読するに留まります。菅直人氏は、自分の言葉で感謝の意を述べていないんですね。同様に、100億円以上の義援金を送ったのに、謝礼広告から完全に無視された台湾、ってのもありました。
なんで自分の口で、ありがとう、って言わないんでしょうか。
ちなみに、Operation Tomodachiですが、1923年の関東大震災の際にも実行されていました。第30代大統領のカルビン・クーリッジの判断です。これをご存知無い方は多いのではないでしょうか。クーリッジは大統領令を発し、フィリピン・マニラや清国に寄港中のアジア艦隊に、救援物資を満載して横浜へ急行するよう命じました。
で、更に遡ると。
1906年のサンフランシスコ大地震の際。日本政府は、当時の国家予算の1/1000 にあたる50万円を支援金としてアメリカに送っていますし、明治天皇から20万ドル、日本国民から10万ドルが寄贈されました。
関東大震災の友達作戦は、サンフランシスコの支援に対する恩返し。東日本大震災への支援は911で駆けつけてくれた消防庁への恩返し。感謝の気持ち、ありがとうと口に出して言う事の大切さ。それが、この映画の伝えたい事の全てやないでしょうか、って思います。
その両国は、太平洋戦争に突入してしまう訳ですからね。国際政治・外交って、本当に恐ろしいし大切だよな、って思わざるを得ません。
bloodさん
いつもありがとうございます。
あの状況で責任を全うされた方々に、国民全員が、人として率直に感謝する機会って、今までなかったような気がします。色々と複雑な思いの人がいることも承知してますが、やはり必要なことだと私も思うので、この映画がその役割を果たしてくれているのなら、とても意義のあることのように感じています。
アメリカ大使の「大統領、これは一国の問題ではなくなりつつあります」
あのシーンには緊迫感を感じましたね
それから「ダニエル・カール隊長」演技が意外に上手くてビックリしました