「マラソン感がない!」サムライマラソン kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
マラソン感がない!
む、む、む?
結局、何を示したかったのでしょうか?
昨年、旧中山道を歩いたときに安中宿を訪れ、「安政の遠足」のことを多少知っていたので興味があって観賞。
「超高速!参勤交代」の二匹目のドジョウを狙ったのかとも思ったが、英国人の監督バーナード・ローズは経歴から見るとシリアス系の監督だと思うので、コンセプトは違ったのでしょう。
でも、企画の意図は読めなかった。
日本で最初のマラソンと言われている「安政の遠足」だが、エンドロールで歴代マラソンの名選手を紹介するのは、東京五輪とのタイアップか。
であれば、公儀の暗躍や藩存亡の危機なんかで無理にチャンバラにせず、純粋にこのイベントに精力を注ぎ込んだ藩士たちを描けばよかったのでは?
今のマラソンよりも何倍も過酷なレースだったはずなのに、それが表現できていなかった。
時代劇スポ根でもよかったのではないだろうか。
…とは言え、土橋さんの原作小説があるのでそうもいかないか。
一応、群像劇の体なのだが、それぞれのキャラクターが一人立ちしていない。
主人公らしい佐藤健も、殿様長谷川博己も、姫君小松菜奈も、側用人森山未來も、足軽染谷将太も、なんとなくの描き方で誰にも感情移入できないのだ。
チャンバラとしては、中盤で公儀の刺客と安中藩士たちの戦いが始まった辺りで盛り上がりかけたのだが、これも残念。
刺客として送り込まれた野武士たちは、遠足で疲れきった藩士たちを労せず殲滅できるはずだったのに、逆に皆殺しに合う。
さぁ、城へ急ぐぞ!と、森山未來筆頭に走り出すのだが、あれ?馬がいたはずだよね?
殿様と対峙した刺客の頭領はモタモタしてる間に自分が殺られちゃうし、
佐藤健のハラキリ宣言も唐突だし、
長谷川殿様が「どんな時代が来ようと安心」なんて、急に革新派な発言したり、
結局、染谷将太は十両貰えたのか?
とか、とか。
まぁ、いい加減な結末。
豪華キャストは嘘ではないが、無駄遣い感満載。
アフレコで独り言みたいな小声の台詞がやたらにあって、すごく気になった。
日本語が分からない監督だからか?
田舎藩の風景や、遠足コースの山道などは、遠景では見せてくれなかったもののロケーションのリアリティーがあって、唯一よかった。。