ゴーストマスターのレビュー・感想・評価
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映画のいけにえ
『年末には魔物が潜む』なんて言葉を聞くが――
「2019年もあとは『スターウォーズ』あたりで
盛り上がって終わりかねぇ」と思い始めていた
矢先に、文字通りの怪物映画が登場!
『死霊のはらわた』『遊星からの物体X』等の往年
のアナログ感溢れるVFXホラーが好きな方なら、
この作品はオススメです。くわえてそれらの傑作を
製作した作り手をリスペクトしている方であれば、
もう全力でオススメです。
(ただし上記作品のような血みどろ描写がニガテなら注意)
地獄のように甘々な学園ラブコメが始まったかと思いきや
それが血みどろパニックホラーコメディへと転じ、最後は
映画制作への愛憎入り雑じる想いが炸裂して謎の感動に
襲われるという、前方伸身宙返り3回ひねりみたいな
(ちょっと何言ってるかよく分かんない)作品でした。
...
ラブコメ映画の撮影現場で助監督を務める主人公・黒沢明。
不協和音だらけの現場をおさめようと必死に働く彼の夢は、
自分のB級映画愛を注ぎ込んだ脚本"ゴーストマスター"
をいつか自らの手で映画化すること。しかし、スタッフ
たちからの心無い仕打ちや冷徹な言動で彼は自分の
才能に絶望。行き場のない感情を爆発させてしまう。
だがそれをきっかけに、彼が肌身離さず持ち歩いていた
"ゴーストマスター"の脚本がおぞましい姿へと変貌!
黒沢の意思とは無関係にスタッフの1人を怪物に
変えたことで、撮影現場は大混乱に陥ってゆく――
キュン死じゃすまない究極の壁ドン!
OKが欲しすぎる役者馬鹿イケメン!
鋼鉄のあずきバー! 効力ゼロ梵字!
ジャミラ襲来! 自然なタランティーノDis!
そしてゲス過ぎる元柔道五輪メダリスト!
ザッツB級な脱力するような笑いがこれでもか!と
盛り込まれてるし、気合は入りまくっているのに
ズレたセリフの数々や、商業優先の映画に対する
皮肉みたいな冴えた笑いまで散りばめられていて、
もうずっと笑いを堪えるのに必死。
特殊メイク主体の血みどろアナログVFXは
かなりクオリティが高いが、ふよふよ飛んでく
"ゴーストマスター"のユルかわいさとか、
表現そのまま「目ン玉飛び出す」シーンとか、
そこもスットボケた笑いに一役買っている。
...
出演陣も魅力的。
「お前がキュンキュンすんのかい!」とツッコミたく
なる強面監督や、男前過ぎるケーコさん、クールな
仕事人の松尾カメラマン、熱苦しい轟先生と彼に
尽くす付き人など、脇役が皆立ちまくってて楽しい!
(付き人さんの最後の笑顔には笑いながらも感動)
一方、自分の才能に絶望していた黒沢が、段々と
死にもの狂いで脚本・作品に向き合おうと奮い立って
いく姿や、“親の七光り”とバカにされる若手女優・
真奈が自身のルーツに立ち返って闘いに臨む姿など、
現実の分厚い壁にぶつかりながらそれでも
足掻き進もうと成長してゆくドラマも熱い。
ツギハギだらけの作品を救う為、そして作品へ懸ける
自身の想いを遂げる為、全員がありったけの映画愛で
白紙の脚本を「上書き」してゆくのだ。
...
しかし……
「熱い映画愛が全てを救う!」という結末で終わる
映画は過去にも数多くある。だけど、この映画は
それだけでは終わらない。終わってくれない。
才能が無いと分かっていても夢を諦められない主人公。
偉大な親の呪縛から抜け出せず、輝き切れない女優。
映画を多くの人に見てもらう夢を諦められないと笑った人。
映画への憎悪を吐露しながらも、カメラを守ろうとした人。
「君は映画に愛されてる。僕じゃない。」
いくらこちらが映画を愛してみせても、
映画がこちらを愛してくれるとは限らない。
綺羅星のように輝く名作に心惹かれて道を志しても、
そんな名作を生み出せるのはせいぜい数万人に
一人の凄まじい才能と運に恵まれた人間だけだ。
(これは何も映画に限った話ではない)
そんなことは分かっているけど、諦められない。
その輝く星に憧れ続けずにはいられない。
そんな愛憎入り雑じる気持ちを抱えて生き続ける。
強過ぎる愛情というのは、呪いと何ら変わらない。
自分では諦めたつもりでも、決して本当には
心を去ってくれない、そんなものなのだろう。
...
そんな、愛しているが故の憎しみと、憎んでも
なお愛しているという想いが融け合うラスト。
最後に映し出される映像に怒涛の感動を覚えた。
愛だけで名作は創れないかもしれない。だけど、
愛がなければそもそも何一つ創り出せやしない。
浮かばれなかった多くの映画人たちが、“映画に
愛されている”人々へと託してきた想い。そんな
想いの積み重ねもまた、綺羅星のような名作を
生み出してきたのではないかと信じたい。
気合の入ったVFXとトボけた笑い満載ながら、
美しく残酷で、澱んで見えつつも純粋な映画愛に、
思わず胸が熱くなる。そんな怪奇な快作でした。
素晴らしいです。4.5判定で。
<2019.12.07鑑賞>
百恵にも友和にもあやまれ!
ってのはさておき、カベドン映画だというからカツ丼食ってから観に行きました。シネコンで公開されたから満足なのでしょうけど、わずか1週間で公開終了ってのはどうよ?こうして駆け込み鑑賞となりましたが、個人的には“スクリーンの前に座る”側で満足です。出来れば死ぬ間際まで映画鑑賞していたいです…
かなり色んなホラー映画のオマージュを考えた上での制作だったのでしょうけど、笑えたのはお腹に穴が空いちゃったシーンに『永遠に美しく…』を感じたとき。そして篠原信一のスカートめくりは大爆笑です。
タランティーノには謝らなくていいのなら、『キル・ビル』にも出演している森下能幸はどうなるんだ~てな感じで、彼の訴えてる下積み生活が本心なんじゃないかと疑ってしまうほど。彼がスカートめくりしてたら洒落にならないので、その辺りのキャスティングは良かったかも(なぜかそんなイメージが定着してるし。笑)。
スプラッターとか壁ドンとか、キラキラした何かが出てくるのは面白かったし、カメラと合体するところも素敵でしたけど、すべて予告とか写真に露出されてるのが残念でならない。「それなら見たよ~」といった感じで。
ホラー映画のオマージュって、案外難しいのかもしれません。口から口へと光がスパークするシーンも「あ、見たことある」って程度で、何の映画だったか思い出せません。
期待外れでした。
短い映画なのに長く感じるほど退屈でした。
グロいだけでとにかく話がつまらない。何を伝えたいのか分からない。低予算だからじゃなく、ただただ脚本がつまらないのだと思います。
映画愛も別に…って感じで好きな監督の名前つらつらあげてるだけでした。
ホラーというより、圧倒的にコメディ。圧倒的なコメディ。 始まりから...
血を吸う台本
そして彼は映画となった。
好きなモノに執着してこ、抑えてきたモノ開放してこ、撮影してこ。
映画はもちろん、胸キュン、スマホ、金、スカートの中、偉大な父など、様々なモノゴトへの執着を混ぜ込んでぶつけてくれる。
快感たっぷりの愛しい映画だった。
「タランティーノはいいの?」「アイツはいい!」で全面に出てしまう厄介なオタク感。
不毛なキュンキュンに苦しみ、自らの立場に苦しみ、演技や作品へのこだわりに捉われ、遂にモンスターと化してしまう勇也、ああなんて切ないの。
「お前は俺の奴隷だ」のセリフや作品への熱い姿勢から、なんとなく中島健人を重ねてしまった。
ケンティーももがいているのかしら。
各キャラの死にっぷりとB級スプラッタ特有のゴツゴツした特殊造形にときめく。
お気に入りは究極の壁ドンと目玉ポーン。
あと血を吸った台本のピヨピヨ。これほんと最高。受精の瞬間みたいだった。
番外として、無残に殺されるでもなく自ら死んでいくとある人の死に様が実に素晴らしかった。
視覚的な楽しさには欠けていたけど、中身が面白すぎる。
もっとカロリー高くしてくれても良いのに、なんて思いつつ、その緩さも敢えてなんだろうな。
とにかく根本が最高なので好きになっちゃうやつ。
トークショーにて監督が言っていた、生き残りキャラの別展開の話も面白かった。このバージョンも観たかったな。
映画は夢に溢れているのか、現実は空っぽなのか。
諦めさせてくれない夢の引力は天使か悪魔か。
この作品は所謂「不健康なキャスティング」(監督談)も、量産される胸キュン映画も、別に否定していない。
たぶんちょっとバカにしている点は見られたけど。
いろんなことひっくるめて愛してくれる姿勢にホッとする。
なんだかリンクするような話を丁度し始めていたタイミングでこの作品を観てしまい、恐ろしくもワクワクが溢れてきた。
映画づくり、ハマってしまったらどうしてくれよう。
映画を愛する人が出てくる映画は楽しいな。
楽しいし、私ももっとたくさんの映画を観なければな、と思う。
新作はまあいつも通り観ていくとして、旧作をどんどん観ていきたいな。
まずはスペースバンパイアと、あとぶっ飛び少女漫画胸キュン映画も観てみようかな。
それにしても篠原信一が良すぎて目玉飛び出たよ。
手塚とおるが面白かった
う〜ん...唸るしか無い
映画愛は感じる
成海璃子さん が ホラ- を 純愛 に変えた
情熱の空回り
観終わったら、猛烈に井●屋のあずきバーが食べたくなりました。
低予算な漫画原作アイドル邦画の撮影現場で、助監督の怨念のこもったボツ企画脚本が怪物化して、主演に取り憑き殺人を重ねる、古きタイプのスプラッタホラー。
キャッチコピーに「究極の映画愛」とあるが、「究極のB級映画愛」映画。
だって、主人公の助監督が目指しているのがトビー・フーパーの『スペースヴァンパイア』だもの。
とりあえず、一発ネタみたいな切り口ではあったものの、作り手の情熱は感じました。
……でも、情熱の空回りというか、学生の作ったような妄想爆発な気恥ずかしさ満載の作品で、観てるこっちの顔が赤くなったりして。
特殊造型については、(なぜか)百武朋さんなのでよかった。
クソ映画、と思うけれどなあ
しがない助監督が書いてきたホラー映画のシナリオが、魂を持ち、俳優に取り憑いて大騒ぎ、という話。
…としか俺には思えなかったが。
ただ、低予算でも可能で、工夫できるホラー映画から生まれる監督も多いので、俺がクソだと言っても、次から次へと撮ってほしい。いつ化けるか、誰にもわからないのだから。
この映画も、観る人が観れば、たまらない楽しさがあるのだろうなあ。「タランティーノは?」 「アイツはいい!」でわかるように、タランティーノ的な映画に対して博学な映画なんだろうか。でも俺は、まあ、わからなくてもいいかな。
成海さん、今でもきれいでよかった。
そもそも、金曜日の疲れを癒すために、それだけを観に来ていたのでした。その割に、しゃべり過ぎなレビューになってしまった…
BEST
試写で観てから二週間。
結局ずっとこの映画のことばかり考えている。
〇〇愛、という、言葉があまり好きではない。
コンビ愛と同じくらいには映画愛という言葉にもピンと来ない。
この映画に似合うのは愛という言葉だろう。
いびつな、ともすると相手も自分もどうにかしてしまいそうになるようなへんてこな愛。
かつてあるバンドがソウルミュージックをサンプリングしたアルバムをリリースした際に、ソウルを愛してやまないミュージシャンが激怒して、「仏つくって魂入れず」という言葉を寄せたことを受けたべつの批評家が「仏壊して魂(ソウル)の在り処を探す」と言ってたことに痺れたことを思い出した。
ゴーストマスターには、映画愛も観客も抱き合わせでシーンをぶっ壊して、その残骸のなかに愛とか希望を共に探そうぜと言われた気持ちになっている。ビリビリ来てる。
成海璃子のあの真っ当な怒りは、なんてことだろう。
三浦貴大のあの惨めさの果ての再起動する姿震えるような美しさは一体なんなんだろう。彼が「アクション!」と絶叫した時、総毛立つ気がした。
間違いなく2019年のベストムービー。
美術をやってる自分にはアートを含めたベストピースが、この「ゴーストマスター」になってしまった。
熱血壁ドンホラーコメディ
熱血壁ドンホラーコメディ作品。
怖いシーンも何故か笑ってしまいました。
熱狂的なホラー映画ファンはどの作品のオマージュか見つける楽しみはあると思います。
冒頭の30分しか素顔が映らずその後の出番は特殊メイク姿にもかかわらず終始ノリノリだった板垣瑞生の俳優魂に脱帽。
B級映画として万歳!
頭空っぽにして、何にも考えなくても楽しめる映画でした(((o(*゚▽゚*)o)))
途中あまりにも暴走して、ついていけないところがあったけど…。
そこさえ飲みこんじゃえば、最後まで楽しく観ることかできそう。
これぞ、まさにB級映画って感じ。
監督の映画愛(特にSF)は凄く伝わってきたけれど、これが万人受けするかと問われるとかなり難しそう…。
ゴーストマスターって、なんのこと言っているかと思ったら…。
そういう意味だったのか、と最後の最後で謎が解けました。
映画が好きな人には、少しは理解できるかな?
三浦貴大さんの必死な形相が、シリアスな雰囲気を醸し出してくれて良かった。
けど、周りの人たちの演技がちょっと中途半端だったのが残念…。
特に篠原信一さんは、もう少し頑張って欲しかったかな。
成海璃子ちゃんは、やっぱり正統派な女優さんという感じで、最後の最後に素敵なお芝居を演じていました。
ただ、ラストがちょっと長くて途中で中だるみしてしまった感がありました。
もう少しキュッとわかりやすく終わった方が、盛り上がってよかった気がする…。
映画の愛は伝わったけど、心に何が残るかというとなかなか難しい。
まあ、一つ言えるのは、かなりグロいので要注意ということでしょうか?
とっかかりから、ド派手に気持ち悪い描写が連発するので、ご飯後に見るのは避けて欲しい。
スプラッタとか苦手な人は避けた方が良いかもしれませんね…。
気持ち悪くて吐いちゃう可能性ありです。
最後のエンドロールで流れたのですが、これはTSUTAYA 準グランプリ賞作品らしい。
じゃ、グランプリ大賞は一体なんだったのだろう。
最後の最後に謎の残るマニアックな映画でした。
ありがとうございました!
役者魂 vs 監督魂
青春恋愛映画の撮影現場で助監督の書いたホラー映画の脚本がバカにされて悪霊が生まれ、俳優に取り憑き、現場がカオスとかす話。
壁ドンに納得いかない俳優が飛び出して撮影が中断し、現場の空気が壊れて騒々しくなるなかで、助監督の映画感がこけにされて初監督作品としてしたためていたホラー映画「ゴーストマスター」の台本にれ悪霊が宿るストーリー。
なんだか違う作品観に来ちゃったか?と思わせる
始まりから、溜めて溜めての一発目のドカンは、来るのわかっていたけれど予想の上を行かれたしw個性的というかアクが強いキャラ達がぶつかり合って笑い処満載で、ホラーではあるけれど完全にコメディ作品という感じ。
おバカでテンポも良くてかなり面白かったけど、最後だけシリアスに語られてもなぁ…。
これはこれで悪くはないし、キレイに締めたかったのだろうけれど、個人的にはDefenders of the Faith姉さんからの件は無くて良かったかな。
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