劇場公開日 2019年12月6日

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「血を吸う台本」ゴーストマスター KinAさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0血を吸う台本

2019年12月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

そして彼は映画となった。
好きなモノに執着してこ、抑えてきたモノ開放してこ、撮影してこ。

映画はもちろん、胸キュン、スマホ、金、スカートの中、偉大な父など、様々なモノゴトへの執着を混ぜ込んでぶつけてくれる。
快感たっぷりの愛しい映画だった。
「タランティーノはいいの?」「アイツはいい!」で全面に出てしまう厄介なオタク感。

不毛なキュンキュンに苦しみ、自らの立場に苦しみ、演技や作品へのこだわりに捉われ、遂にモンスターと化してしまう勇也、ああなんて切ないの。
「お前は俺の奴隷だ」のセリフや作品への熱い姿勢から、なんとなく中島健人を重ねてしまった。
ケンティーももがいているのかしら。

各キャラの死にっぷりとB級スプラッタ特有のゴツゴツした特殊造形にときめく。
お気に入りは究極の壁ドンと目玉ポーン。
あと血を吸った台本のピヨピヨ。これほんと最高。受精の瞬間みたいだった。
番外として、無残に殺されるでもなく自ら死んでいくとある人の死に様が実に素晴らしかった。
視覚的な楽しさには欠けていたけど、中身が面白すぎる。

もっとカロリー高くしてくれても良いのに、なんて思いつつ、その緩さも敢えてなんだろうな。
とにかく根本が最高なので好きになっちゃうやつ。
トークショーにて監督が言っていた、生き残りキャラの別展開の話も面白かった。このバージョンも観たかったな。

映画は夢に溢れているのか、現実は空っぽなのか。
諦めさせてくれない夢の引力は天使か悪魔か。
この作品は所謂「不健康なキャスティング」(監督談)も、量産される胸キュン映画も、別に否定していない。
たぶんちょっとバカにしている点は見られたけど。
いろんなことひっくるめて愛してくれる姿勢にホッとする。

なんだかリンクするような話を丁度し始めていたタイミングでこの作品を観てしまい、恐ろしくもワクワクが溢れてきた。
映画づくり、ハマってしまったらどうしてくれよう。

映画を愛する人が出てくる映画は楽しいな。
楽しいし、私ももっとたくさんの映画を観なければな、と思う。
新作はまあいつも通り観ていくとして、旧作をどんどん観ていきたいな。
まずはスペースバンパイアと、あとぶっ飛び少女漫画胸キュン映画も観てみようかな。

それにしても篠原信一が良すぎて目玉飛び出たよ。

KinA