「怪獣王はどっちだ?」ゴジラvsコング しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
怪獣王はどっちだ?
IMAXレーザーGTで鑑賞(3D,字幕)。
二度の延期を経て、ついに公開である。この時を首を長くして待っていた。ゴジラとコング、日米怪獣スターの59年ぶりの究極対決がハリウッドでつくられるなんて夢のようだ。ゴジラ勝つか、コング勝つか。世紀の大決斗のゴングが鳴る。
まさかのコングのモーニングルーティーンからスタート。おケツ掻き掻きからの大投擲で空に亀裂が走る。コングはドームの中に閉じ込められていたのだ。そこからのオープニングがカッコ良過ぎる。これから始まるぞと云うワクワク感がすごい。
オープニング明け、早速ゴジラの登場だ。モンスターバースでは描かれて来なかったゴジラの徹底的な破壊行動によって、何かおかしなことが起こっているのが明白となる。大企業エイペックスが陰謀を企てているようで、これが物語の主軸である。
見事な導入部だと思った。ここから畳み掛けるようにゴジラとコングの海上での第一ラウンドへなだれ込み、そこからはあれよあれよと突き進んでいく怒涛の展開。スピーディー且つ、本編の殆どで怪獣が暴れていると云う、怪獣映画ファンには堪らないご馳走みたいな仕上がりであった。
コングと心を通わせる耳の不自由な少女ジアとコングの交流が微笑ましかったし、コングの秘められた知性が判明するシーンなど、驚きの新設定が次々に解禁された(後付け感の少ないのが良い)。
「驚き」と言えば(海外で発売されたソフビの情報で分かっていたが)メカゴジラの登場であろう。歴代メカゴジラへのオマージュが詰め込まれていてニヤニヤが止まらず。パシリム的兵装も良かった。
これまで語られるだけの存在だった「地下空洞世界」も本格的に登場し、モンスターバース世界の拡大が止まらない。怪獣無法地帯的世界観に興奮しまくりだった。重力が反転する設定も興味深い。
地下空洞にて、ゴジラの背びれでつくられたコング・アックス(私が勝手に命名)を手に入れたコングは、メカゴジラを求めて香港に上陸したゴジラとの、運命の第二ラウンドへ突入する。
「キングコング対ゴジラ」では描かれなかった市街戦は興奮の坩堝である。コンクリート・ジャングルを縦横無尽に駆けるコング。それを追うゴジラの熱線。激しい肉弾戦に香港は瓦礫の山と化す。
瀕死の状態となったコングに電気ショックを与えるシーンは「キングコング対ゴジラ」へのオマージュであろう。ポパイにほうれん草を食わせたようにパワーを回復させ元気モリモリのコングは、ジアにほだされ、メカゴジラの猛攻に苦戦するゴジラに加勢するために立ち上がるのだった。
古からの因縁に加え、旧作と同じく人類の企みによって激突した二大怪獣の死闘は互いに譲らぬ戦いぶりを見せ、果てしなく続くかに思えた。大方予想はついていたが、夢のようなタッグバトルに興奮は最高潮に達し、涙がボロボロこぼれた。
怪獣のシーンは大迫力だったが、前作にも増していい加減なつくりの人間ドラマ部分には、正直うんざりさせられた。モナークの深刻顔面係は芹沢博士からラッセル博士にバトンタッチされたが、前回はあんなに頑張っていたモナークが殆ど役に立っていない。エイペックスには騙されるし、当のラッセル博士も分からないことだらけで右往左往。エマたちの活躍は際立っているが雑さは拭えず。伏線になっていたのかなっていなかったのかはっきりしない方法で事態を収集する展開に呆れた。
アダム・ウィンガード監督は当初、ゴジラとコングの戦いに勝敗をつけると明言していたが、この結末はどう解釈すれば良いのだろうか。
ゴジラは地上生態系の王、コングは地下空洞の王と云う棲み分けになったのか。であるなら、一応ケリはついたことになると思うが果たして⋯
本作のコロナ禍以降最大のヒット&前作越えの大ヒットに、ユニバース終了が撤回されたことは非常に喜ばしい。次はいよいよ「怪獣総進撃(デストロイ・オール・モンスターズ)」か!?
[余談]
芹沢蓮が掘り下げられず仕舞いで、いてもいなくてもどちらでも良いような役柄に、日本人として悲しくなった。行動理由も明確でなく、期待していた父親への言及やエピソードも皆無。親子設定にした意味が無いのではないか。せっかくのハリウッド・デビューなのに小栗旬が不憫である。
[鑑賞記録]
2021/07/03:109シネマズ大阪エキスポシティ(IMAX)
2021/11/21:Blu-ray(吹替)
2021/12/17:4K UHD Blu-ray(字幕)
2024/01/01:日本映画専門チャンネル(字幕)
2025/12/14:ムービープラス(字幕)
*修正(2025/12/14)
ありがとうございます😊
公式名称が気になります(笑)
pipiさんのレビューも拝読させていただきました。まさかそんな理由があったとは…知りませんでした。確かに英語の発音はは微妙だなと思いました。せっかくのハリウッド・デビューだったのに、残念ですね…。
勝手に命名!(爆)
良いですね〜それ。私もこれからコングアックスと呼ぶことにしますw
人間ドラマの弱さは、監督や脚本の為ではなく、ひとえに小栗くんが原因のようです。
最初、小栗くんに渡された台本には「何故、蓮が父と違う志に立っているのか」について、きちんと描かれていたようですから。
こちらこそ、ありがとうございます。小さい頃から特撮が大好きなんです。本作もめちゃくちゃ楽しみにしていました。
「キングコング」のそのシーン、僕も印象に残ってます。たぶん1978年版ですよね? テレビで観たのを覚えてます。
作品ごとにゴジラの性格は変わりますがモンスターバースのゴジラは、人間が大人しくしている限り何もして来ないのである意味優しいのかもしれませんね!
しゅうへいさん。共感ありがとうございます。ゴジラが大好きなんですね。
わたしは怪獣映画を初めて観たのはキングコングでした。大きなビルのガラスにゴングの顔(ゴングの大きな目が)怖かったのを覚えています。でもゴングって優しいイメージがありました。
ゴジラも優しいですね。(笑)





