「壮絶な殴り合い」ゴジラvsコング コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
壮絶な殴り合い
怪獣版のヤンキー映画『HiGH&LOW』みたいだった。
イケメン同士の、キメポーズ付きな壮絶殴り合い作品。
そのくらい怪獣同士のバトルは見応えあって、「どんがらがっしゃん」と激突の連続で、飽きさせない。
物語のシンプルさが海外で受けそうだし、前作での未回収な部分のフォローもできていたし……
及第点な面白さ・クオリティはあるとは思うものの。
個人的には微妙。
まず、キャラクターの倫理感がおかしいことに戸惑う。
そして、シナリオが穴だらけで雑なうえ、つくづく前作・KOM(キング・オブ・モンスター)の遺した傷の大きさが残念。
KOMにあった設定を引き継がざるをえなく、日本のゴジラ『vsシリーズ』のさらに二次創作的なオタク臭さみたいなところが、本作でも拭いきれず。
お祭り感はあったので、アメリカ版「東宝チャンピオン祭り」と言えなくもないけれども(なんだそりゃ?)。
物語に新鮮味が薄く、リスペクトというより、過去に観たもののパターン焼き直し感が半端ない。
それでいて、全体に人間のキャラが浅い。
そのせいか、せっかくの小栗旬が使い捨てキャラっぽく、扱いがぞんざいでした。
KOMで亡くなった芹沢の息子って設定も全く生きてないし。
また、バトルの組み立てに力点が置かれたために、怪獣それぞれの持つ「本質的な魅力」が薄まってしまっていたように感じました。
これまで築き上げてきた、怪獣の神秘性、巨大感、それぞれの持つ能力、性格などが「皆さんご存知ですよね」って感じで、表現がおろそかになっていて。
いい意味でも悪い意味でも「怪獣プロレス」の範疇で収まってしまっていました。
特にコングは広大な空間にいることが多く、そういう場では小さく見えてしまいます。
さらに人間みたいに振る舞うことがあり、シリーズ2作目の『髑髏島』で見せた「神話時代のモンスター」「神様」ってニュアンスがなくなってしまったのがつらかったです。
コントロールできないのが「怪獣」なんじゃないのか、と。
(もっと言えば、『髑髏島』のときと別個体ではと思うぐらい、コングの性格が変わっていました)
などと、モヤモヤしてしまいました。
一番考えられているなと感心したのは、4DX向きな乗り物の設定だったなあと。