劇場公開日 2019年4月5日

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「ドッグ」孤独なふりした世界で kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ドッグ

2022年3月12日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 もし人類が滅亡したら・・・町に一人残された男デル。人の家を整理して、死体を埋葬し、職場である図書館の片付けをする。数十年経てば町そのものが廃墟になってしまい、存在価値さえ無くなってしまうことを恐れたのか、生きた証を残し続けるのだった。

 闖入者グレースのおかげで世の中は自分一人じゃないと悟ったデルだったが、美しさで溢れている町を破壊されたくない思いも強い。空き家にある個人の写真を見つめていたときに、思い出を噛みしめているデルの様子が素敵なショットなだけに彼自身のエターニティを証明するものだったろう。

 一人増えたところで大丈夫。ましてや相手は異性だ。二人で将来も美しく土に帰ることを想像しながら今を生きる。これもまた彼らの存在証明だ。ところが、さらに大勢生き残っていることを知り、彼らが過去を消し未来だけを見つめていると知ったとき、複雑な思いを感じてしまう。

 自分だったら、グレースとともに国内をずっと旅したいと思うし、町にはこだわりたくない。孤独だってみんな大地の子。地球とともに生きるって考えたらどこで骨を埋めようが生きた証になると思うがなぁ・・・ま、未来は考えたくないかも。

kossy