「数字」記者たち 衝撃と畏怖の真実 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
数字
実話らしい。
国家規模の捏造って…マンガみたいな話だけど事実なんだとさ。
だとするなら、とんでもない話のオンパレードだった。
大国が難癖をつけて戦争をふっかけたって事になる。誰がこれを裁くのだろうか?
語られる数字はどれも衝撃的で、大量殺戮兵器が「0」ってのが理不尽過ぎて茫然としてしまう…。
当時の大統領がキチガイにしか見えない。
ラストで本人達がニュース番組に出演してた映像があるのだけど、異様にテンションが高かった。それもそのはずで…今までの不当な弾圧や誹謗中傷を記者として、真実を伝える者としてのはねのけたわけだろうから。
「自分達は間違ってない。間違ってたのは社会の方だ!」
こんな名誉はきっとないだろうと思える。
作品自体は結構シニカルだった印象を受ける。超絶社会派な本筋ではあるのだけれど、記者たちのプライベートが語られたりと閑話休題的なエピソードがさりげなく挿入されてて見やすい。いわゆる緊張と緩和のバランスも良かったように思う。
その分、ラストの数字には戦慄すら覚えたりもするのだけれど…。
巧みな情報操作による戦争であったわけなのだけど、当時の日本はどうだったのかピンとこない。他国の反対運動の映像とか目にすると戦争反対の声は相当大きかったように思う。
日本はどうだったろうか?
個人的には対岸の火事のような捉え方だったように記憶してる。
理不尽な戦争だったような印象はない。
「フセイン」と「アルカイダ」は悪者って印象は残ってる。
そんな事を思うと、しっかり日本政府も情報操作に加担していたのだなあと思ってしまう。
報道に真実なんてないんだな。
今はインターネットが発達してて、嘘も真も簡単に流布されてしまう。
フェイクニュースなんて言葉もあるし、映像だって捏造できてしまう。真実の選別が非常に難しい時勢だと思う。
TVというものを見なくなって久しいが、こおいう映画を見ると、TVなんてものに時間を割いてやる道理はないと思ったりする。
本作の記者たちは噛み付いたものがあまりに巨大であった為あやふやにはならなかったが、抹消されていった真実が世界には溢れてるかと思うと…真実なんて言葉の存在意義さえも疑わざるを得ない世界にげんなりする。
惜しむらくは…
この戦争によって失ったモノは理解できたのだけど、得した側の話は出てこなかった。
誰がとか、どこの国がとか、どこの組織がとか…何の為誰が為の戦争であったのか。
まぁ、そんな考え方すら虚しいのかもしれないな。
今の時代はいったい何が起こってるのだろうか?真実を詳細に知る事が出来れば人を駆逐する事が正義とか真理だとか思ってしまうのかもしれない。