「地獄で育まれた友情」パピヨン everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
地獄で育まれた友情
原作や1973年版映画の知識はありません。
人権のない流刑地からの脱出を試みた実話を再度映画化。
皆さんフランス人の筈だけれど話すのは英語。
そこは母国から遠く離れた南米の地。
不衛生極まりない環境、過酷な労働、賄賂が横行する腐敗した監獄で無期懲役。
金庫破りのPapillonが目を付けたのは、偽造師として名高いLouis。
彼らの脱獄資金目当て、用心棒目当ての契約が、長年助け合う内にかけがえのない友情に変わっていきます。「持つべきものは友」ってこの2人のためにあるかのよう。流刑前は窃盗と偽造で生きて来た2人が、地獄で生き抜くため、互いのプライスレスな信用に救われていくのです。
主人公らは一応犯罪者であり、特にPapillonは、殺人に関して本当に無関係かどうか、本人の言い分でしかないなぁと思いましたが…。最後にLouisが自分の居場所はこの島だと言って残ることが、Papillonは誰も殺していない、だから堂々とここから出て行けるのだ、ということの裏付けのように感じました。
独房シーンや断崖からの景色には ”The Count of Monte Cristo” と少し通じるものがありました。エピソードを淡々と並べていく感じもあり、期待したほどの盛り上がりはなかったのですが、Papillonはかなり男気のある人物として描かれていました。男の友情がココナッツ味って意外と可愛いなと思いました。
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原作はまるで監獄巡りの冒険物語みたいですね。
フランス本国で8年以上の受刑は流刑対象になり、毎年収監される新囚人らの40%は最初の1年間で死亡したと。
肛門に収めるアレ…。
"escape suppository"と呼ばれていたと。
脱出ズポ…。
1973年版をいつか観てみようと思いました。