mid90s ミッドナインティーズのレビュー・感想・評価
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スケートボードで風を切る爽快感に慰められ、テクニックを磨くことで成長を実感する少年たちの友情
何て瑞々しい映画だろう。90年代半ばのロサンゼルスを舞台に、スケートボードに夢中になる13歳の少年スティーヴィーの愛に飢えた焦燥と夢の爽やかな青春スケッチの映画グラフィティ。物語の内容は、不良少年たちの猥雑で幼稚な会話の低俗さ、酒・タバコやドラッグに溺れる自暴自棄な私生活の乱れ、性への赤裸々な好奇心、と非道徳を絵にかいたような話でとても気が滅入るし、全く爽やかではない。それでも、主人公始め13歳から17歳の少年たちが、貧困や虐待、ネグレクトなどの逆境に悩み苦しみながら生きる術を探る姿を、スケートボードを介した友情物語にした監督ジョナ・ヒルの視点が常に温かく、それが映画演出のこころを持っているのがいい。それ故、主演のサニー・スリッチの少年らしい表情は自然で衒いが無く、レイを演じたネイケル・スミスは作品全体の演技を下支えする好演をみせて、ファックシットなんてニックネームを付けられた役のオラン・ブレナットはそれらしく演じているし、先輩面と嫉妬の微妙なルーベン役のジオ・ガルシアと映画のエンディングを決めるフォース・グレードのライダー・マクローリンも役を全うしている。スティーヴィーの兄イアンのルーカス・ヘッジスも、複雑な家庭環境を窺わせる少年の懊悩を好演している。
映画は、ファーストカットで凡そのその良さが解る。小説好きな人が最初の1ページで作品の好悪と良し悪しを判断するように、映画も数を熟せばある程度予測が付く。スティーヴィーの最初の登場シーンが衝撃的で思わず見入ってしまったが、この冒頭の一方的な暴力シーンから始まるスティーヴィーとイアンの描写は素晴らしい。それは、観る者の想像力を刺激して、何故なのか、どうしてなのかの好奇心や関心を誘うからだ。イアンの部屋は趣味の音楽やお気に入りの物で溢れて、尚且つ整理整頓されている。次のシーンで母ダブニーとの会話から、17歳でイアンを出産したことが分かり、後でシングルマザーで二人の男の子を育てているが、男の出入りがあるのが描写される。そんな母親を二人は心から敬愛していない。それ以上に兄弟仲が悪いのは何故なのか。父親が違うのか。母親が、弟より兄を溺愛しているから兄の部屋が物で満たされているのか。それともイアンの実父が養育費を定期的に送っているのか。それらを想像しながら二人の言動を観ると最後まで映画は楽しめる。観る者の好奇心を刺激する映像表現の技巧が成されているからだ。
演出の良さと共に、音楽の選曲の面白さや映像との調和も良かった。90年代のポップミュージックに詳しくないので上手く説明できないが、演出タッチを補足するようなBGMが効果的に使われていた。スケートボードで風を切る爽快感に慰められ、テクニックを磨くことで成長を実感する若く幼い少年たちに寄り添うように映画を作った青春映画の佳編。この作品を観る限り、ジョナ・ヒルの映画愛と才能は若いだけに、これからも期待できるのではないかと思った。
タイトルなし
最後
何処かで憧れた風景の記憶
死ななくて良かった
あの4人のスケボー少年と比べて、スティーヴィーが幼すぎるとは思ったが、四人とも意外に優しいんだよなぁ。
ファックシット(金髪チリ毛の女好き)とレイ(四人で一番大人)、フォースグレード(撮影オタク、優しい)、レーベン(四人では一番年下、生意気盛り)
それぞれの関係性が危うく変化していくので、見てるこっちはヒヤヒヤする。
酒飲んでタバコ吸って、女とあそんで、母ちゃん怒らせて…。
誉められた事はしてない…けど、あんな奴らなりに友情めいたものがラストに炙り出される。
観てる側としては、あいつら皆、上手くいってほしいと願ってしまう。
ちょっと観るのに尺も短く、程よい作品だった。
彼らのその後は分からないけど、酒とクスリは止めてほしいなぁ。
若者を興奮させる映画
星取りは苦手。
何か書きたくさせてる時点で★5つ!
画郭、スタンダード!好き!😆
90年代半ばのお話。
空気感、音楽、
私にとっては「キャー!懐かしいー!」
という時代じゃないけど、
うん、うん、て観た。
13歳のスティービー(演じてるのは聖なる鹿殺しのあの子!)
近所のスケボーショップを
たまり場にしている
レイ、ファックシット、
フォースグレード、ルーベン、
そしてきっと母も兄も…
それぞれが、脚本そして監督をした
ジョナ・ヒル自身なんだろうなぁ、と
それぞれに思いがある。
男子ワールド、よう分からんけど、
切なさが女子とは違うよね。
それにしても、
なんですぐ殴ったりするかね…
んで、
「ほとんど喋らない」フォースグレードが、唯一スラスラ話すことは、
映画を作りたい、てことだけで、
あとは、いつだってホームビデオで
撮影している。
最後の最後に、
レイが超かっけぇ一言を放った後、
フォースグレードが「見てよ!」て
自分で編集した仲間たちの
映像を見せる…
ぱっと淡い光が未来を照らす気がする。
あぁ…ええわ〜若者…
ええわ〜、映画♡
わたし的な胸キュンは、
スティービーがあどけない顔で
大笑いしながら
「あんなに下にあるとは思わなかった〜」てとこ(🤭)
シアターから出ると、
若者5人組が
「まじ、すごかった」
「これ、渋谷版作れるって!」
と興奮しながら口々に言ってたのが
またよかった😊
思春期を迎えた厨二病少年の成長物語。全編16mmフィルムで撮影され...
心地よい青春時代への旅行
コミュニティで育っていくということ
自分の直感とセンスで、お兄ちゃんに殴られてんのに、勇気を出して、家をとびだし、家族を離れ、ストリートに出て、そこに受け止める仲間がいた。年齢とか属性とかそういう既成概念やルールを信じてないコミュニティというから個の集まりだから、そのセンス直感勇気で仲間として受け入れられる。
どっちにいったらよいか、スケボーで自分の人生変えようとしてるレイはわかって行動してる。4th grade はわかってないなりに自分がやるべきことを直感して黙々とやってる。スティ ービーはどっちにいくべきか、勇気とやる気で間違えたり痛い目にあったりしながらそれを修行してる。、
ステービーのママもたぶんお兄ちゃんよりスティ ービーみたいなタイプだったのかなと思う。
スケボーシーンがとてもよい。広い車道をスケボーで下る、風を切り万能感じる瞬間がある人生って大事だ。
子供扱いされるのを拒絶する少年の揺れ動く心情を見守る90‘s青春譚
タイトル通り舞台は90年代半ば、ロサンゼルス。13歳のスティーヴィーはいつも高圧的な兄イアンを見返してやりたいと思っている普通の少年。ある日立ち寄ったスケートボードショップでスティーブは店にたむろする少年達と出会う。スケートボードに夢中で誰にも縛られず自由な彼らに憧れたスティーヴィーをリーダーのレイは快く仲間に迎え入れ、スティーヴィーは毎日彼らと過ごしながらスケートボードにのめり込むが・・・。
『40歳の童貞男』、『スーパーバッド』他主にコメディ映画で俳優として活躍するジョナ・ヒルの初監督作品。舞台となっている時代が近いせいか映像のトーンがジョン・シングルトン監督の青春譚『ボーイズ'ン・ザ・フッド』に何となく似ています。子供扱いされることに忸怩たる思いを抱きながら大人の世界に足を踏み入れることにもおよび腰、そんな微妙な年頃の主人公の心情が揺れ動く様を自身の少年時代に重ね合わせて優しく見守る丁寧な描写が切ないです。特に印象的なのは夕暮れの坂道を少年達がスケートボードで下っていく姿を正面から捉えたカット。行き交う車の間を優雅に滑っていく姿は自由そのものですがその時間には限りがある、その儚さを無言で語る美しいシーンで同じ時期に公開されることになったドキュメンタリー『行き止まりの世界に生まれて』の印象的なカットと表裏一体になっている偶然も伴ってどこまでも切なくて美しい青春譚となっています。
あー夏休み
もっと見ていたい
【思い返すこと】
90年代中頃のアメリカ。
確かに差別はあった。
でも、融和は、少しずつだが進み、今のような分断はなかった。
Windows95は出たてで、SNSはおろか、スマホもなかった。
日本で買う携帯も高額で、サイズもデカかった。
考えてみたら、この時代も、そして、きっといつの時代も、若者には鬱屈した何かがあって、自分が何者かでありたいと、見えない何かに抗っていたのだ。
そのなかで時には集い、時には反目し、だが、それは誰かに言われたり、指示されたものではなく、省みることも、和解も自らの責任や判断によるものだった。
人は、この時代、貧しくても、もっと幸福だったのかもしれない。
それに、今のような分断は大きな問題ではなかった。
日本は……。
90年代中頃の日本。
様々な事件、出来事があった。
細川内閣誕生で、55年体制に終止符を打ったかのような感覚を覚えた。
Jリーグが発足した。
しかし、
アメリカで開催されたサッカーのワールドカップに残念ながら日本は進出できなかった。
ドーハの悲劇だ。
Windows95が初めて会社のPCで使われるようになって、Excelの使いやすさは、Lotus123の比ではないことに驚いた。
阪神淡路大震災。
オウム真理教によるテロ。
バブルの残り香がほのかに香る中、調和と革新と、閉塞感と不穏な空気が入り混じって、世界がこれまでとは違うものに変化する予感もあった気がする。
そんな中でも、僕達は、集い、時には争い、時には皆で抗い、傷つき、涙を流し、絶望を感じながらも、助け合い、立ち上がって、生きてきたのだ。
争い、抗っても、それは分断とは違っていた。
それは、90年代も、本当は、いつの時代も同じはずなのだ。
人々は、きっと分断を乗り越えると信じたい。
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