「懐かしい友人たちにまた会う」mid90s ミッドナインティーズ なほこさんの映画レビュー(感想・評価)
懐かしい友人たちにまた会う
殴られた時の音響が大きくて怖かった。自分も怪我をした感覚になった。あえてあんなに大きな音なのかわからないが、不快だった。でもあれは弟が兄にいつも与えられている恐怖をそのまま表しているのかなとも思い、胸が痛くなった。
90年代版、スタンドバイミーみたいな感じなのかな。
その痛みもまた、弟そのものであり90年代半ばということなのかもしれない。その痛みの場面と音響がかなりリアルで、複雑な家庭環境や母親との関係そして兄貴との関係が私にも響いた。その痛みと共に弟も成長していったのかもしれない。
とにかく子供にとっての家庭はその子の全てなのだ。
ダボっとした大き目のTシャツにダボっとしたズボン。ジーパンにチノパン。みんなが着ている服装が懐かしくみえた。あああの当時のクラスの男子もこんな格好していたなあとか私もこんなの着てたなあとか(実際この映画を観に行った日もそんな格好で行きました偶然にも。)とにかく懐かしかった。ストリート系ファッションというのでしょうか。懐かしい。これぞまさに90年代。
スケボーのアイテムがまたいい。スマップもデビューする前かな、スケートボーイズという名前でみんなスケボー少年でした。スマップのことも思い出しました。スマップは90年代のスケボーで80年代がヒカルゲンジのローラースケートって感じでした。楽しい。
レイがかっこよかった。私も友達になりたい。スケボー屋さんをやっているので少し成熟しており精神的にも大人なんだなと思います。初めは口の悪い不良の兄ちゃんだなと思いましたが、誠実な人でした。サンバーンことスティーヴィーにも目をかけてくれて大事にしてくれます。優しくて良い人なんだなと思いました。影がある感じが哀愁を醸し出しています。
レイの親友、ファックシットがレイにヤキモチを焼くような場面がありますが切なかったです。あんなに仲良かったのに仲が良いからこそ少しこじれるとややこしくなる、男女も友情も関係ないんだなと思いました。胸が締め付けられました。
グループの中で一番明るくて一番悩みがなさそうな彼でしたが、この時ばかりは切なかった。ファックシット役のオーランプレナットのお母さんってめちゃくちゃ美人なのかなという感じでオーランくんも超美形。不良なのに憎めなくて綺麗で愛嬌のある可愛い兄ちゃんって感じ。
みんな、何かしら事情を抱えています。
フォースグレード演じるライダー・マクラフリンさんがあれ君、本当に98年生まれ(演じる役者が)なの?というぐらい、ああこんな感じの俳優90年代ぐらいのアメリカにいっぱいいたよなあ!!という感じ。まさに私の中(だけかもしれないけれども)典型的なアメリカの白人の男子でした。いいですねえ。好きです。本当にアメリカに昔よくいた白人少年、という感じ。イメージなのかなあ。その辺にいそうな男子なんだけどいるだけで何故か華がありますよね。ふとリヴァーフェニックスに面影が重なりました。楽しみな俳優さんだなと思いました。
私が本編を見ていて一番気になったのがルーベンでした。彼、とても孤独に見えました。本当は彼が一番報われないというか寂しそうというか、サンバーンがグループに入ってきてから居場所が最年少のサンバーンに変わったみたいにも見えて彼の嫉妬と苦悩が見えました。いつ見てもいつ写っても浮かない顔をしているのでああ、可哀相だなと思いオイオイ、誰かもっとルーベンにも目をむけてやってくれよ、とかなり心配になりました。存在感が薄いというか、私も完全にルーベンタイプの人間なので共感していました。目立たないというか地味なのかなと思います。
サンバーンと兄貴の関係性も気になりました。兄ちゃんが泣いている場面、同情してしまった。兄貴だから我慢しているのかなあとも思う。二人は父親違いとかそんなこともあるのかなとふと思いました。わからないですけど。しかしなんだかんだ言ってやはり弟のことが心配なのだなと思います。そんな兄貴が好きでした。病室で二人で飲んだジュース、おいしかったのかな。
母ちゃん、もっと男遊びしてないで子供と遊べ、と思いました。
子供はやっぱり、父と母の愛情が、欲しいのです。
国性別関係ありません、人間の永遠のテーマなんです。
フォースグレードが撮影していたビデオ、最高にイカしていました。
クールでしたね、やはり彼は。ビデオの途中で画面が青くなるところ、
思わずフフッと笑いました。ああ、あるあるな~~!!みたいな(笑)
ビデオという単語自体が、もう最高です。
懐かしいザ、ビバ90年代。
90年代始まりでもない、90年代終わりでもない、
90年代半ばというのが、非常にいいと思いました。
最高!!でした。少年たちの大人への道。
90年代に一緒に過ごした友人たちのことを思い出しました。
昔の古い友人にこの映画で会った気がしました。
90年代というのは日本でも暗い時代でした。
出口のない長い暗いトンネルにいた感じがあります。
暗くても先が見えなくてもしんどくてもトンネルの中でも閉鎖空間でもその中で自分の欲求と意思と信念をドバーーーーーーーン!!!!!とそれぞれが爆発させていた、そんなイメージがあります。
いやあ、うんでもなあ、違うのかな、やっぱり、違うのかもしれない。爆発していないし、やる気は全然なかった。やる気はあんまりなかった。基本、祭りのあとって感じだったもんなあ。
もう、バブルはじけてみんな疲れてて、もうしんどいってなってて、脱力感と倦怠感と惰性で生きているような、そんな時代だったのかな。そんなやる気ない時代だけど好きだった。
しかし、そんな暗くてしんどい時代でしたが、私はやっぱりこの時代が好きでした。
やっぱり、この時代じゃなきゃダメなんです。青春でした。
「よう、みんな、元気にしていた?」
「お前もな、元気か?」
そんな会話が自分の中で聞こえました。
レイたちをみて、私もそう思いました。
懐かしくて大切な時間を、どうもありがとう。
監督に感謝。