劇場公開日 2020年9月4日

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「"サンバーン"」mid90s ミッドナインティーズ 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5"サンバーン"

2020年9月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

興奮

とにかくスティーヴィーが可愛くて堪らない「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」のムーニー以来の癒されキャラ。

仲間に入りたくて四人の話を又聞きしながら笑ったり、技が出来て発狂して喜んだり、初体験をニヤニヤしながら話したり、演じるサニー・スリッチはヨルゴス・ランティモス"聖なる鹿殺し"の目隠しライフル銃ルーレットの子供だったってビックリ!!

ジョナ・ヒルは映画を観て起用した訳じゃなく、純粋にスケーターとして彼を見付けたナイスな話。

スティーヴィーの鼻筋と笑顔が"ジェフ・スピコーリ"を演じたショーン・ペンにソックリと個人的に思ったり。

女性のような顔立ちが印象的なファックシットに面倒見が良いレイ、この二人がトニー・アルヴァとジェイ・アダムズを思い起こさせるキャラでもあり、90'sと言えども70'sで80'sな感覚が嬉しい。

レイの影響がなかったらバカ正直に非行の道へ急降下な人生を歩んだスティーヴィーって気が、持つべきものは良い兄貴分、実際の兄ではなく。

色々な作品での脇役感が素晴らしいルーカス・ヘッジズ演じる兄の深い闇、兄弟関係の異常な暴力描写、スティーヴィーの反逆で号泣、見舞いにジュースをあげる姿など良好な関係になれたカナ?二人の父親って多分、違うヨネ?ってな想像。

70年代のロックンロールや初期PUNK、80'sハードコア・パンクからスケートに入っているからか、90'sのカルチャーに思い入れが薄くヒップホップはまるで聴かないけれど、ウェンディ・レネをサンプリング?したのとか良かったし、Bad BrainsやThe Misfitsが流れたりピクシーズやモリッシー、トレント・レズナーが音楽だったり、極め付けは"Omega"ってハンガリーのサイケな、ジョナ・ヒルのセンスに脱帽。

ラリー・クラークの「KIDS/キッズ」と女性スケーターをメインにした「スケート・キッチン」はニューヨークって土地柄の共通部分も、本作はラティーノ系PUNKなスケーター「ワサップ!」の印象が近い?

怒鳴り込み母親の図は「This is England」でもホボ同じようなシーンが、90'sのスケーターとスキンヘッドって違い過ぎるが物語は似ている。

グレタ・ガーウィグよりジョナ・ヒルが監督として頭角を現して来る、そんな予感!?

2020/10/01 新宿ピカデリーにて。
二度目の鑑賞。

大人びて見えるしっかりしたレイだが、表情はまだ子供、幼さは残るし彼の弟への思いからのスティーヴィーに対する面倒見、親友としてのファックシットとの間にある蟠り、、、二人の家庭環境の違い、将来への夢に向かう態度などレイを中心に観てしまう、一度目とは違う鑑賞の仕方ができる、三度目は、、ファックシット!?

万年 東一