劇場公開日 2019年6月21日

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「極めて少女漫画的な恋愛成長話」きみと、波にのれたら andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0極めて少女漫画的な恋愛成長話

2019年6月25日
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鑑賞方法:映画館

物語自体は極めて単純だ。前半で張られた伏線は予想どおり回収され、意外性は全くない。予想はついていた。ラブストーリーで恋人を亡くしたら、こういう展開にしかできないだろうと思う。良い意味でストレート。率直に言えばケレン味というか、妙味は全くないと言おうか...。
ラブストーリーが成長譚になるというのは、多分古今東西取り上げられ続けてきたテーマだ。少女漫画なんてその極致じゃないだろうか。好きな人がいて、その人の生き様に憧れて、自分は何ができるのか考える。そう考えると若い人向けの物語といえようか...。
ぐだぐだ書いているが、正直前半で完全にのめり込むのに失敗してしまい、後半は(描写に心は動くものの)ある種予想どおりの展開をなぞるように観させられる...という気分になってしまったのだ。
弱点としては前半に張った伏線が全部超分かりやすすぎたことだろう。「ヒーロー」って港に言わせちゃだめだろ。あれじゃ前半で大体分かるだろ...。あとは日常描写の現実離れ感。なんで一人暮らしの部屋があんなにでかいんだよ。最初の整頓されてない描写後半どこ行ったんだよ。細かすぎて嫌になるが、そういうところきっちりやるとのめり込みやすいことは確かなのだ。
あとは演技。片寄涼太の「声」自体は悪くない。王子様感がある。しかし...あそこまで「渡されたものを読んでます」感を出されると...浮くよ...主人公の現実感を失わせたのは完全に彼の声が原因だ。バックグラウンドをいくら後で描いても、伏線を回収しても、演技があれでは...川栄李奈と会話してるのを観るとつらくなってしまう。演技度が違いすぎるのだ。あれが演出の意図なのか演技の限界なのかは分からないが、主人公が後半ああいう形で登場するのに、あの現実感のなさを前半から見せつけられては...というのが正直な感想。
アニメとしての画の描写は素敵(コーヒー、オムライス、水)だったと思う。
しかし、これをアニメでやる理由は「水」しか思い浮かばなかったのも事実。
主題歌は...あそこまで使われるなら本望では。GENERATIONSの歌である必要は感じない(というか「夜明け告げるルーのうた」みたいに名曲を使うのではダメだったか...?)が、まあその辺はタイアップの関係か...。
こういう物語が刺さる歳じゃないんだな、と思いました。年代、感情の向き不向きというものは絶対にあって、この物語を素直に受け止められる自分ならよかったな、と思わなくもない。

andhyphen