「「ハウス・オブ・カード」の夫婦のように権力に取り憑かれた実在の人物!」バイス Ishikawa Peroさんの映画レビュー(感想・評価)
「ハウス・オブ・カード」の夫婦のように権力に取り憑かれた実在の人物!
息子ブッシュ時代の副大統領ディック・チェイニーの半生を「マネー・ショート」のアダム・マッケイ監督が「マネー・ショート」の手法をよりブラッシュアップして作ったコメディ。
映画は面白いし勉強になるけれど、現実に起こった事は笑えない。
9/11の同時多発テロ以降、テロ防止の名の下に拷問を解禁させ、何も関係の無かったイラクに攻め込み自国民もイラク国民も大量に死にその結果ISが誕生した。
しかもチェイニーは元ハリバートン社の幹部で株を大量に保持してた。イラク戦争で大儲けした会社は言までもないが石油会社。
劇中チェイニーは「リバー・ランズ・スルー・イット」(若い頃のブラッド・ピットが美しい釣り映画。この映画はブラッド・ピットの制作会社プランB製作)のようにフライ・フィッシングをしている。
そしてエンディングロールでは思考を凝らした毛針が沢山登場する。
毛針は本物の虫と勘違いした魚が食い付くように釣り人達が自作する疑似餌。
チェイニーがした事を考えると考え深い。
オールスターキャストなのでキャストにも一言。
チェイニーが「ダークナイト」のバットマンを演じたクリスチャン・ベイルだなんて。
クリスチャン・ベイルが体重を増やしてたり減らしたりしてももう誰も驚かなくなって来ているのが悲しいところだけれど…
スティーブ・カレルが出ている映画は間違い無し。
出て来るだけで映画に深みがでる。
個人的にはクリス・ロックウェルのブッシュが憎めなくていい。
ディック・チェイニーの妻役のエイミー・アダムスはポール・トーマス・アンダーソン監督が信仰宗教のサイエントロジーを元にした映画「ザ・マスター」と同じ夫を操る妻を演じているのも映画好きには面白かった。
アダム・マッケイ監督はサタデーナイトライブやマイケル・ムーアのテレビ番組の脚本を書いていた、サタデーナイトライブで鍛えた脚本力とマイケル・ムーア仕込みの編集で間違い無く面白い。
彼の作る作品はコメディだけれど、必ずキツイ風刺になっている。
おかげで見やすくとても勉強になる。
日本でもこういう作品が作られて欲しい。
ネタになりそうな政治家は沢山いるから。