ビール・ストリートの恋人たちのレビュー・感想・評価
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つい、ムーン・ライトと比較してしまった・・。
バリー・ジェンキンス監督はずっとこの路線でいくのかな。この作品も面白いのだが、傑作「ムーン・ライト」とどうしても比較してしまう。
2作目で高みに到達してしまった彼が今後、どのような作品を作っていくのか見守りたい。
<2019年2月22日 劇場にて鑑賞>
愛する行為に救いがある
バリー・ジェンキンス監督の作品には人物の色気が滲み出る。“よりシネマティックに”ー。その点を強調していると感じ取る。クラシック・ソウルのレコードから流れ出す気品漂うムードの様に、哀しみと柔らかなエロティシズムを包括する雰囲気が全編を支配するのだ。本作も、怒りや悲しみ、失望を上回る、感受性豊かな愛情表現が心に残る。やはり、黒人社会の物語に新機軸を打ち立てる存在だ。
美しく仕上がったプロパガンダ映画
原作者ボールドウインのネライは、公民権取得後の黒人の差別的扱いの告発であろう。それを、「純愛物語」として纏めた手腕には感服する。
映画としては、「色」がよく研究されているという印象。テシューの黄色系のジャケット。そして、目線のLとらえ方が飲酒的な作品。
We Are the Champions.
『ビール・ストリートの恋人たち』米国映画 (2018)監督:バリージェンキンス
https://www.youtube.com/watch?v=c09MHPnAYwk この日本語版予告は著名な作家ジェームスボードウィンのナレータで始まっている。ジェンキンス監督はボードウィンの小説(1974)を基にして映画にした。多分、この映画を観ると、誰もがティシュとファニーの力強く純粋な愛に心を打たれるだろう。それに、ティシュの家族同士がポジティブで助け合って生き
ているという愛の形も印象的ではないだろうか。夢のような家族だ。
ここで気になったのが、日本語の題で、『ビールストリートの恋人たち』としてしまうと、If Beale Street Could Talkという米国作家ボードウィンやジェンキンスのつけた題の意味はどうなってしまうのだろう。ボードウインはビールストリートはメンフィスにあるが米国どこにでもあるような言い方をしている。この舞台はニューヨークのハーレム。この通りがもし話せたら?という意味はこの映画で、レイプの濡れ衣を着せられてしまったファニーを誰もが彼の無実を証言してくれない。もしこの通りが話せたら、一日中、全てを見ているから彼のために事実を証言してくれるのに。私はこのような意味だと思う。
ということは、公民権運動のあとで、法律での平等を勝ち取っても、こういう犯罪で無実の罪を背負い罪人として扱われる人(ここでは黒人)がまだまだいるよ。いつになったら社会正義をいつ勝ち取れるの? (賛否両論はあるでしょうが、あくまで私見)
この後、クイーンの『ボヘミアンラプソディ』を観たが『We are the champions』の歌詞の力強さ はまるでティシュとファニーのようだと思った。
好きな空気の漂う作品
キキ・レインの可愛いこと。この街にとってはほんのささやかな幸せ、困難、障害、興奮、悲哀がこの若いカップルにとっては人生の全て。キラキラしているものなんて一つもないけれど、人間の美しさを感じた。ムーンライトより好き。
Beautiful!
美しいね この監督の映画は
心の薬箱見たいな
現実という泥の中から宝石を見出だす人
なのかな
ムーンライトでは売人の男が常に慈悲的な存在だが 今回は ママ!が
もし、結婚を考えているけど 現実の状況に悩んでいるカップルにオススメかな
YELLOW MAGIC MOVIE
色彩設計を丁寧に施し、黄色という暖かみを感じる色を感じさせながら、しかし映し出すその理不尽で厳しい現実を否応なしに観客に突きつける作品である。ハイスピードカメラによるスローモーション撮影を効果的にシーンに織込む事や、衣装のファッショナブルさ、屋内外の空間構図等や色彩も含めてハイグレードな映像美を実体験できる高レベルな画力を、こんな素人の自分でも理解出来る。そして主演の二人の演技、特に表情の造りは舌を巻く程である。初体験時の男のあの困ったようなしかし慈愛に溢れる顔は、そもそもアフロアメリカンならではの豊かな顔立ちも相俟って、ボリュームのメモリの細かさを強く印象つける情緒たっぷりの繊細な組立てである。
原作は未読であり、テーマ性も沢山の人達のレビューがあるので今更それに感想を述べる必要はない。それよりも正に丁寧に丁寧をコーティングしたような作品造りに称賛を贈りたい。ロマンティックでメランコリー、そして残酷で過酷な理不尽を表現できる優秀さを見せつけられたとき、芸術という才能は常にチャンスをものにしているのだと改めて思い知らされる。
美しい作品だが
ポスター同様、美しくとても丁寧に創られた作品。
ではあるが、冗長でイマイチ盛り上がりに欠ける。
役者さんたちの演技は素晴らしいし、音楽も素敵で申し分無いのだが、ドラマティックな展開があるわけでもなく、どうにもかったるい。
ラストシーンで希望の光が見えるものの、それだけ。
決して悪くはないのだが、個人的にはどうにも不完全燃焼だ。
それにしても、肌の色が違うだけで、なんの罪もない青年が、1人の警官によって犯罪者にされてしまう、そんなあり得ない事が横行していた時代、黒人たちは白人の怒りを買わないよう、ただただ大人しく、ひたすら耐えるしかなかったとは、なんともやり切れない気持ちにさせられる。
悪くないけどまったりしていてちょっと展開遅い❗
星🌟🌟🌟 …アメリカの人種差別を主人公二人のラブストーリーに絡めて提起していて悪い作品ではないのですがストーリー展開が遅く部屋とスラム街の同じようなシーンが多くちょっと眠くなりました❗ただその中でお母さん役のレジーナ・キングが娘と義理の息子の為に活躍するシーンは凄く良くて目をみはるものが有りました❗やっぱりアカデミー賞助演女優賞獲っただけあって凄く上手い❗そんなに出演シーンはなかったのですが凄く印象に残りました❗ちなみに黒人が虐げられてるから盗みとか悪いことをしてもいいような考えは私は間違っていると思います❗映画のシーンでそこのところがちょっと違和感を感じたので…
現実の厳しさを忠実に捉えている
運命で結ばれた恋人たちの美しいラブストーリー。ハーレムで暮らす幼馴染二人を待ち構えていたのは冤罪という過酷な試練。今なお続く人種差別に対する抵抗を色濃く描き、現実の厳しさを忠実に捉えているストーリーが素晴らしい。
結末はどうしても強引に結論を出してしまいがちだが、流れに沿って無理なくフェードアウトしている点も好印象。派手さは無いが心に染みる作品であり新たな恋愛映画の金字塔に相応しい。
2019-59
何でもない恋人たちに襲いかかるもの
ちょっと前の時代設定で描かれてますが
今の時代にも有りそうな人種差別のお話。
何でもない恋人たちの幸せな未来を
容赦無く叩き壊して行くのは人種差別と偏見。
何でもない恋人たちの可愛らしいラブストーリーが続くので
ちょっとダレる感じもありますが
ラブストーリーが普通で可愛ければ可愛いほど、
起こってしまった出来事の残酷さが観てる方にも
より苦しく迫ってくる。
ああ、なんでこんな普通の二人に神様は意地悪するんだろう。
で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては
個々の役者さんの演技は文句なく良くできてます。
主演の二人の瑞々しさからの、
段々と刑務所の中と外で疲弊してゆく様が観ていて辛い。
そこは何もいう事なし。
冤罪ものっていうジャンルは時々有りますが
単なる人種差別による冤罪って、
一番許しがたいというか醜いと思う。
警察官に声をかけられただけで異常に緊張する黒人描写は
現代も、どの映画にも沢山出て来ます。
今も黒人というだけで、そこらの街角で犯人扱いされて
警官によって射殺される黒人の数が増え続けているとか〜
その理不尽さがあまりに悲しい。
自分自身の胸に手を当ててみると
私個人としては今、身の回りに外国人がそれ程多くないけど
今後外国人が増えて来たら、
偏見を持たずにちゃんとお付き合いできるだろうか?
偏見や差別の理不尽さを、島国育ちの日本人こそ
ちゃんと直視するべきだと思うのですよ。
@もう一度観るなら?
「ネット配信とかでじっくり観るのにお勧め」
ロマンチックだけど理不尽な時代がとても苦しい
全編通して音楽が印象的で、とてもロマンチック。ベースのお話はラブストーリーですが、2人を取り巻く時代と環境が理不尽で辛く苦しいので、受ける心象はそっちの方が大きいです。ただ普通に暮らしてるだけなのに辛い事が起きてしまうし、どうすることも出来ない…。人種差別がテーマの作品を観るといつも、そんなに昔の話じゃないのに信じられない考え方が当たり前にまかり通っていることに驚き、悲しくなります。
本作を通して伝えたいメッセージ性は素晴らしいし、雰囲気も良く、演者は皆良かったのですが、如何せん余白の多い作りなので、正直理解できない点が多々・・・。テンポも悪くなかなか話が進まない(そもそも物語の中の時間経過が遅い)ので、ちょっとダレてしまいました。
「ムーンライト」と比べてしまうと、断然「ムーンライト」派です。
詩が好きならば
詩を読んで味わえる人はきっと好きだと思います。万人受けする映画ではないですが、ゆっくりと沁みてきます。
愛し合うふたりがかわいらしく、希望に満ち、輝いている。これから暮らす部屋で光を背に立つティッシュ。友だちと話すいつもと違う顔のファニー。いつか自分も感じた記憶を呼び覚まされる。音楽、衣装、美術も美しい。
主役ふたりが初々しくて良いのですが、脇役も魅力的。レジーナデイビスはもちろん、二人のお父さんたち、姉妹、友人ダニエル(a.k.a ペーパーボーイ!)、店員のディエゴルナ。もっとみんなのことを知りたくなる。
黒人の女性は白人男性からあんな扱いを受けてるのだろうか。人種と性別の二重の差別、何をしてもいいと思っている人の目。
お話として面白くしようと思えばもっと色々できるだろうけど、こういう美しいものを成立させるハリウッドの懐を感じる。日本公開されたのはムーンライトがアカデミー賞取ったおかげなのでありがたい。黒人主役だとあんまり公開されないからね。映画館で観られてよかった。
あの部屋どうやって住むんだ!というのは気になった。
詩的
バリー・ジェンキンス監督は、汚いと罵られ頭が悪いと馬鹿にされてきた黒人達を、これでもかとばかりに美しく詩的に表現する。私達は汚くない。私達は汚く映し出されているだけなんだと。
黒人に対するネガティブなステレオタイプを大いに覆せる才能を持つ監督に、「ムーンライト」と同様、知的な反骨心を感じた。
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