「呪縛」ビール・ストリートの恋人たち U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
呪縛
随分と偏った映画だった。
人種差別が横行してる時代の話。
主人公は冤罪というか、白人警官の横暴で投獄され6年ぐらい収監されていて、解放される見込みもなさそうだ。
とんでもない理不尽に翻弄され続けながらも純愛を貫く黒人の恋人達の話。
といえば、聞こえはいいが、果たしてそうなのだろうか?
俺には何代に渡っても晴らせない怨みつらみの話しにも思える。
あまりに描き方に差がありすぎる。
黒人サイドは息を呑むほどに高潔に描かれてる。彼らが初めて1夜を過ごす無言のベッドシーンなどは名シーンだと思える。
一言の会話もないのだが、彼や彼女の想いが手に取るように伝わる。
自分の過去に懺悔する程だ。
「ああ、これがLOVEって事なんだ」と映画を観ながらに初めて思えた。
対する白人サイドの酷い事ったらありゃしない。キャスティングされた役者も最高の仕事をしてたと思う。
存在自体にもう嫌悪感を感じる。
彼が投獄されたであろう理由は「俺にたてついた」からとかそんな理由だ。
そんな事で6年刑務所へ。
この先も刑務所で。
いつ出られるかも分からない。
ありえないだろ。
ありえない事が普通に起こってた時代なんだろう…。
時折挿入される時代背景も、いかに黒人が理不尽に虐待されていたか、だ。
もう、物語の随所に迫害の爪痕が刻まれてる。
コレは誰の為の映画なのだろうか?
歴史を語るにしても、双方の為にはならないような気がする。
そういう歴史を繰り返してほしくないからって言うよりは、この歴史を絶対忘れるなって脅迫めいたものを感じる。
そしてこの脚本家はこおも言う。
「生まれてくる命に罪はない。」
…この作品から、罪を背負い続けろ的なメッセージを受け取った俺からしたら反吐が出る。
白人社会に対する払拭しきれない憎悪に満ち満ちているように思えてしょうがなかった。
俳優陣はホントにいい仕事をしてた。
絶妙に生っぽかった。
この母親の人が助演を取ったらしいのだが、そこまで突出していたようにも思えず…相変わらず大人の事情が横行してる賞レースに落胆したりもする。
いったいぜんたい、どの口が「新しい命に罪はない」なんて綺麗事を吐くのか?
人種差別を扱った映画を色々観たけど、この切り口はないわ。
片方だけを美化しすぎ。
ラブストーリーとしては、純度が高いと思うけど、作品としては気持ち悪い。
後味がすこぶる悪い。
多分、この世はいつまで経っても”差別”が無くならないのだなぁと失望感を与える感想をありがとうございます
貴殿を含めて、耳障りの悪い主張は許せないのでしょうね・・・