「見終わって鮮烈に残るラブシークエンス」ビール・ストリートの恋人たち MPさんの映画レビュー(感想・評価)
見終わって鮮烈に残るラブシークエンス
妊娠中の若い黒人女性が、無実の罪で投獄されたフィアンセの無実を晴らすために奔走する。時代は1970年代のニューヨーク、ハーレム。黒人であるということだけで、問答無用の差別が横行していた時代である。しかし、やはりバリー・ジェンキンス。オスカー受賞作「ムーンライト」の時と同じく、痛々しくも腹立たしい人種差別の実態にのみフォーカスせず、むしろ、そんな状況下でも愛と尊厳を貫こうとするカップルの若いエモーションを賞賛するように、終始彼らに寄り添っていく。だから見終わって最も鮮烈に残るのは、切なくも狂おしいラブシークエンスだったりする。未だ繰り返される差別の連鎖を、そんな普遍的なところに落とし込むのが得意なニュージェネレーションの台頭と、その未来を、最新作ではまたも強く実感することができた。
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