ちいさな独裁者のレビュー・感想・評価
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凄まじい演技力 詳しい方いたら教えて下さい
最近、史実に基づいた映画をよくみていたが、個人的には終わりは決まっているものだし、少し退屈なものが多かった。だが、今作はかなり好きです。
ストーリーとしては第二次世界大戦も末期の1945年4月、敗戦濃厚なドイツでは兵士の規約違反が多発していた。脱走兵ヘロルト(マックスフーバッヒャー)は偶然拾った軍服を身にまとい、大尉に成りすまして、人々を言葉を巧みに使い騙していった。
若い(20歳)の脱走兵が言葉巧みに大人や他の兵士達を自分の思うままに動かすスカッと感。序盤の脱走シーンのハラハラ感。そしてなにより主演のマックスフーバッヒャーの演技力には脱帽するほどであった。どこを探しても彼の年齢がわからなかったが、若いのにかなり落ち着いた言葉遣い、仕草をしていた。実在の人物を実際にみたわけでもないが彼と同様に人を惹きつけるカリスマ性はかなり持てていたと思う。将来が楽しみすぎる役者さんです。また、エンドロールも彼が実際に現代に生きていたらという程でドイツにいたが、それも現代のアメリカの繁栄ぷりを風刺するようで興味深かった。
映画の世界にかなり引き込まれるし、何と言ってもレベルの高い演技力は一見の価値大いにアリです。
新視点のナチ
史実は正面から受け止めねばならないのは十分理解しつつ、ナチを描いた映画は避けてました。だって多すぎ&誤解を恐れずに言えば飽きたもん。
で、これ。ユダヤ人も強制収容所も出てこない、なのにナチの狂気がここまでかと思わせるすごく新鮮な映画でした。ナチスってヒトラーというカリスマで狂気の指導者とその身近にいたシンパのことだと思ってたけどその狂気は底の底まで浸透してたのか、いや彼が狂気なだけだったのか分からない、けど怖い、人間てやっぱ怖い!と思った映画でした。
にしても21歳って..生きてたら何者かになってたかも。
制服は、役職です。
学歴や資格を得るためには、能力より親の資金力
が重要視されます。
組織に入るときは、能力より学歴、資格が重要視
されます。
組織の中では、能力より、無能な「役職者」に従うか、
否かが問われます。
組織の中では、無能な「役職者」に従った人が、
無能な「役職者」になります。
組織の中では、能力より役職が重要視されます。
だから、「役職者」という「小さな独裁者」が、
現在のいかなる組織にも存在するのです。
組織の中では、有能な部下が無能な「役職者」を支え、
過労死しています。
役職が重要視される組織の中では、おかしいと
感じても声を上げることはできません。
無能な教師の下では、いじめが起きます。
無能な上司の下では、セクハラ、パワハラや不祥事
が起きます。
いじめ、セクハラ、パワハラや不祥事を隠蔽する
ために、第三者機関による調査が行われ、データは
改ざんされ、事実は隠蔽されます。
2020年東京オリンピックの運営はおかしいと感じても
声にすることはできません。
2025年大阪万博の運営はおかしいと感じても声にする
ことはできません。
声を上げずに、無能な「役職者」の言うことに従い、
組織内での出世を目指すのか、声を上げるのかという
のが現状です。
権力は蜜の味
第二次大戦末期、実際に起きた出来事。
脱走兵が、偶然、ナチス将校の制服を手に入れたことから、その将校になりすます。命令する事が快感になり、ついに、彼は暴走し始める・・・。
いやぁ、こんな事があるんですね。大尉にしては若すぎるとか、思わなかったのかな?当時のドイツは、かなりの形式主義でもあるのですが、逆に言うと、形式が整っていれば、疑う事は無いと言う事か。それに、絶対的権力者が居たので、ある意味その絶対的権力者の威光も借りていたので、発覚しなかったと言う事なのでしょうね。
それにしても、徐々に権力の魔力に取りつかれ、暴走し始めるのは怖いですね。でも、アイヒマン実験、あるいは、スタンフォード監獄実験(この実験は、最近、やらせが疑われていますが)でも見られるように、人は権威・権力のある(ありそうな)人物には、どんな命令でも従ってしまう様ですから、戦時下、しかも負け戦と言う異常な状態では、簡単にこう言う状態に陥ってしまうかもしれませんね。
最後のエンドロールが見もの。実際の街中で、この作品の衣装を着て、街の人たちを取り調べるシーンがあるんですが、意外に、食って掛かる人はいないんですよねぇ。一種のユニフォーム効果なのかなぁ。
結局地球上で一番の悪は人間なんだろうと
この手の映画をいい作品と言うべきではないでしょう。
見応えのある映画と言うとよいでしょうか。
見ていて辛くなります。毎度この手の映画を見る度に思う事は、戦争から何も生まれないし、結局地球上で一番の悪は人間なんだろうと・・・・・
本来なら、自分の命が大切で、戦争に加担したくない人間が、ひょんな事から地位を得て、人間らしい心を失い逆の人間となっていく、多分ヒトラーもそうだったんじゃないか・・・・
第二次世界大戦では、本当にどれだけの命が無駄に奪われてきたのか、奪った命は意味が有ったのだろうか・・・
本作品を見ているとてもやるせない気持になります。
映画の別の部分を言えば、出てくる役者さん全員、強者揃いです。芸達者と言うか見ていて気持ちが良くなる位良い演技です。
監督のロベルト・シュヴェンケって上手いですね。毎度関心しますが、本作品、サントラが大変によく、効果音のようなサントラが、場面場面センスのよいタイミングでなり始めるので、本作品の不気味さ異常さを一層盛り上げてくれます。
また、ある意味、別の見方をすれば「時計仕掛けのオレンジ」を連想出来るような感じかな・・・・
しかし、私自身、ここ数年、毎年公開される第二次世界大戦のドイツモノを毎回楽しみにしては見ていますが、歴史をしる意味でも良いと思いますが、あまりにも知り過ぎて、当時の悲惨さなど、同情と言うよりも、目を伏せたくなる位嫌になってきました。
二度と戦争は起こさない。
気分の悪くなる映画ではありますが、世界の人達一人ひとり見るべき映画だとおもいます。
鋼鉄の制服ここにあり!
これが実話なのだからビックリ!
20歳とは思えない落ち着きと冷静さを兼ね備えた、まさに鋼鉄のような男。
上等兵だった彼が、脱走した先で手に入れたのは大尉の制服。
この制服には、無敵の力を秘めた恐ろしい力を兼ね備えていたのです。
軍服着ていれば、誰もが大尉として振る舞える1945年。
誰もが制服を着た彼を大尉と信じ、服従していく世界。
制服の力って恐ろしい…。
ヘロルトっていう、なんともヘロヘロな名前の少年なのに、丈の長い大尉の服を身に纏えば誰もが報復する現実。
これも戦争という不思議な力によるものなのでしょうか?
人を簡単に殺して、嘘ばかり突き続けながら生きる若者。
こんな若者が、意気揚々と活躍できたことが只々恐ろしい。
「自分は大尉だ」と威張り散らし、「ハイルヒトラー」と発言すれば、電話一本で人殺しも許可されてしまう世の中。
秩序も道徳も何もない時代では、裏切り、嘘、暴力だけが唯一生きる糧だったとしたら…、正義も何もあったもんじゃありません。
彼だけが犯罪者なのではない、この時代に関わった全ての人が、「ハイルヒトラー」の魔力にかかってしまった、まさに悲劇の記録です。
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