劇場公開日 2019年2月8日

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「胸クソ悪い映画。だけど必見。」ちいさな独裁者 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 胸クソ悪い映画。だけど必見。

2019年2月13日
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鑑賞方法:映画館

ほぼ 最初から最後まで クソみたいなストーリー。
大尉の制服を手に入れたことが契機となって、大尉らしく振る舞えた結果、かなりの地位を手に入れたかのように見えた脱走上等兵の話。
会う兵隊会う兵隊に、大尉だと思わせるためには、威圧的であると同時に、相手にとって都合の良い状況を作り出す必要がある。
それが重なった結果、極悪非道な行為にまで及ぶわけだが、そのエスカレーションが止まらないというのが怖い。正直、途中で「もう映画終わりでいいんじゃないの?」と何度も感じた。

大尉と詐称した男は、再度前線に送られる前に再び脱走兵となるシーンで、ただの「演技が上手い卑怯な男」だったことが描かれる。
つまり、どこにでもいる男だということ。この映画の怖さはここにある。

ここまで極端な例は、敗戦間近という極限状況でしか現れない稀有な例かもしれないが、人間が決して忘れてはいけないことだろう。
「人はみな、自分にとって都合のよいことだけを事実として取り入れる」
しかし、各自が「自分にとって都合のよい事実」だけを取り入れていくと、この映画の舞台である敗戦直前のドイツという状況以外でも、どこでもいつでも、こういうことは起きてしまうんだという点が、怖い。
各自が意識もせずに雰囲気というか環境を作り上げてしまい、そこに独裁者が生まれるという関係。
そういう意味で、この映画の主人公は、実は、大尉を取り巻く兵隊達の方で、大尉と詐称した男はただの狂言回しなんだな、と気づく。
独裁者は、彼の意思で生まれるというよりも、人々の勝手な受け取り方の結果で生み出される。

テロップの背後に流れる、「彼らが現代ドイツで我が物顔に振る舞っている映像」は、「現代に彼らが生まれてもなんらおかしくないんだよ。みんな、自分に都合よく考えるのではなく、ちゃんと考えようね」という監督からのメッセージか。

俳優みな上手いので のめり込みます。嫌な気持ちのまま。ほんとにしっかりつくってある。あ〜、疲れた。

CB
Haihaiさんのコメント
2025年10月5日

共感&コメント、ありがとうございます!

俳優陣の演技力、素晴らしかったですね。
まるでドキュメンタリーを見てるような感すらありました。

現代を走る「ヘロルト即決裁判所」装甲車の違和感のなさも、
一歩まちがえば、誰もがヘロルト一派になれることを象徴してました。

Haihai
KEIさんのコメント
2020年12月23日

コメント有難うございます。CBさんのレビュー見て、なるほどと思った次第です。

KEI
CBさんのコメント
2019年2月22日

今日フォルトゥナ見てきました。ハクタカさんの感想、ドンピシャです!

CB
CBさんのコメント
2019年2月22日

そんなこと言われると嬉しくなっちゃいます。ありがとうございます!

CB
ハクタカさんのコメント
2019年2月21日

感想、ドンピシャです!

ハクタカ
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