「胸クソ悪い映画。だけど必見。」ちいさな独裁者 CBさんの映画レビュー(感想・評価)
胸クソ悪い映画。だけど必見。
ほぼ 最初から最後まで クソみたいなストーリー。
大尉の制服を手に入れたことが契機となって、大尉らしく振る舞えた結果、かなりの地位を手に入れたかのように見えた脱走上等兵の話。
会う兵隊会う兵隊に、大尉だと思わせるためには、威圧的であると同時に、相手にとって都合の良い状況を作り出す必要がある。
それが重なった結果、極悪非道な行為にまで及ぶわけだが、そのエスカレーションが止まらないというのが怖い。正直、途中で「もう映画終わりでいいんじゃないの?」と感じた。
大尉と詐称した男は、再度前線に送られる前に再び脱走兵となるシーンから、ただの演技が上手い卑怯な男だと描かれる。
つまり、どこにでもいる男だということ。この映画の怖さはここにある。
ここまで極端な例は、敗戦間近という極限状況でしか現れないことなのかもしれないが、人間が決して忘れてはいけないこと。「人はみな、自分にとって都合のよいことだけを事実として取り入れる」
みなが都合よく取り入れていくと、この映画の舞台である敗戦直前のドイツという状況以外でも、どこでも、いつでもこういうことは起きてしまうんだということが、怖い。
そういう意味で、この映画の主人公は、実は大尉を取り巻く兵隊達の方で、大尉と詐称した男はただの狂言回しなんだな。
テロップの背後に流れる 現代ドイツで彼らが我が物顔に振る舞っている映像は、「現代に彼らが生まれてもなんらおかしくないんだよ。みんな、都合よくではなく、ちゃんと考えようね」という監督からのメッセージか。
俳優みな上手いので のめり込みます。嫌な気持ちのまま。ほんとにしっかりつくってある。あ〜、疲れた。
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