「借り物の権力」ちいさな独裁者 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
借り物の権力
えぐい、グロい。
脱走したドイツの上等兵が、放置された車から勲章つき大尉の制服を見つけて盗み、生き延び、食事にありつくためについた「総統からの特殊任務のため…」というちいさな嘘から、どんどん気が大きくなって、虐殺、強奪、あらゆる犯罪を行っていく。
借りた力、盗んだ権威を振りかざし、汚れ仕事は忖度した周りの人間にやらせる。
また、大尉と信じた兵士たちは思考を停止し、いくらでも残虐な行為に手を染める。
20歳そこそこの若者がしでかしたこれらのことは、第二次世界大戦末期のドイツで起きた実話がベース。
ハリウッドの映画監督が、これをこの時期に、祖国ドイツでわざわざ作ったことは意義深い。
市民に武器を突きつける者達に、偽りの権力を与えているのは、独裁者その個人ではなく、彼等に同調する周囲の人間「支持者」なのだと。
制服に騙されていないか?
主に、アメリカ、イタリア、ドイツ、日本など、極右の政治家や政党が支持され、自国の利益のみ声高に叫ぶこの時代。
だからこそ、この映画は「ナチス時代の愚行から学んでくれ」という監督からのメッセージに思えました。
コメントする