蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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才能があることの苦しみ
努力したら、とか頑張れば、では決して追いつけない何か。
ステージが違う、私のいるこの先と、彼らのその先は
次元が違う。
才能があるからこその苦しみと、見ることの出来る豊かな世界。
天才は決してひとりだけでは生まれない。同時代にいる天才の羽音が、その揺らぎが同胞を揺さぶり、その先への道を拓く。
ピアニストの心境が伝わる傑作
原作が気になった
面白かったです。
ピアノのコンクールがどういうものか
ほぼ分かっていないで見たので
「コンクールってこんな感じなんだぁ」
って最後まで興味深く見ました。
なのでリアリティがあったのかどうかは
よく分からないです。
出演者のみなさん、
ちゃんと弾いてるようにしか
見えなかったです。
そこに違和感は全く感じさせないです。
ピアニストがそれぞれ性格付けが
ハッキリしていて、
作曲した曲もそれぞれ特長的なんですが、
実際に演奏して聴くからわかりますけど
これが文章で表現されていたと思うと
小説でどうなっていたか気になります。
きっと原作者と入念に相談したんでしょうね。
曲を聴いてもらって、
「こういう感じですか?」って。
原作者の頭の中だけで鳴っていた曲を
きっちり再現できてるんですかね?
そっちが気になっちゃいました。
映画館で見よう❗
4人のピアニストのコンクールを通しての人間ドラマです。
主人公は松岡さん演じる元天才少女ピアニストですが、もしかしたら松坂さん演じる明石さんなのかも知れないなって思いました。生活者の音楽家を自称する彼は他の3人と違い、ただ1人だけこっちの世界(凡人)の人って思えたからです。
もちろん、すごくレベルの高い人なので、普通には交わることのないあっちの世界の人なんですが、ピアニストになることが許される人は、けた違いの天才。そう思わされました。ただ、その天才に本質的な気付きを与えるのは、実は明石さんのような凡人なわけで…
その辺りの絡みがホントすごくて、よかったです。
あと、というか、これがメインなんでしょうが、音楽が、曲がすごくよかった❗ストーリーと一体になっていてね、ああ迫力あるなとか、なにこの天才的な感じとか、ピアノのすごく楽しめました。
最後まで見て下さい🙇
うーん、惜しい
小説と映画とは表現方法が違うのだから、原作が小説であっても筋やキャラクターが原作通りである必要はない。ただ、伝える方法は違っても、伝えたいことがもし同じであるならば、原作から伝わってくる音楽を愛し愛される多幸感のようなものが映画には足りなかったように思う。〈不満な点〉①亜夜がコンクールに参加した動機が不明確。葛藤の描写は細かいが、動機がよく解らないので、いつまでもグズグズしているのを観ていると「なら、参加しなければ良かったんじゃない?」とイライラしてくる。動機がもっと明確になっていればラストももっと感動的になったと思うのだが…②亜夜が結局自分で乗り越えた描き方になっているので、相対的に風間塵の演奏に感化された為かどうかが曖昧になってしまい、彼が「ギフト」である=ホフマン先生の意図=音楽を進化させる、という構図が「台詞」での説明にとどまってしまい、映画のテーマとして迫ってこない。ただ、映画的な工夫はあちこちに感じられる。原作では一脇役に過ぎなかったオケの指揮者の小野寺の役の比重を大きくし、且つ鹿賀丈史が演じることで後半が締まった。亜夜が本選に、子供の時ピアノの前から逃げ出した時と同じドレス(勿論サイズも違うし、結局用意したてたの?という疑問もあるが--伏線が足りないから)で登場したことは亜夜の決意・前に踏み出したことを視覚的に現していて映画的には良い演出だったと思う。〈まとめ〉映画全体として観ると成功しているとは言えない。
原作が良すぎて…
濃密で荘重で沈鬱な空気
物語がピアノコンペティションの1次予選から最終選考までを描いており、善悪もなく、只管各出場者の刻苦勉励の苦闘と本番のパフォーマンスを描くことに終始しているため、屋外シーンもなく、無論アクションもラブロマンスもないため、スジとしては極めて単調にして淡白であり、映像として動きも抑揚のない、敢えて言うとピアノの激越な敏捷さでの弾奏が唯一の見せ場の動きであり、ピアノに縁のない大半の観衆にとっては、どちらかいうと退屈な物語といえます。
主な出場者4人にスポットを当てつつも、互いの確執は生じず、唯々求心的に己の音感と技量を磨き上げる、息苦しいまでの極めてストイックな求道者の世界で、物語というより一種のドキュメンタリーフィルムとも捉えられます。
ただ、にも関わらず、間延びしたような尺を一切感じさせず、約2時間、観客を飽きさせず惹きつけ続けた監督とカメラマン、そして編集の手腕と力量は大いに評価できます。
それは、映画の最大の構成要素である「スジ」が単調であり、また役者の「ドウサ」(演技)も所作・言動よりも専ら微妙な表情の変化による感情表現が主となるという、非常に地味で見栄えがつけ辛いため、畢竟残る「ヌケ」(映像加工技術)に粋を凝らしきったことの成果だと思います。手持ちカメラを多用することによって、強引なほど画に動きをつけて、而もスピード感と緊張感を漂わせ、更に常に仰角の寄せカットを多用することで観客に重圧を与え続けました。
カットも小刻みで速いテンポで割られ続け、やや長回しになるのは、出場者最年長の松坂桃李のシーンのみです。
ピアノ演奏のエリート中のエリート達は、狂人と紙一重の天才揃いであり、私には感情のないロボットのように見え、いわばロボット同士による玲瓏でロジカルに無表情で頂点に向けて疾駆する、もはや無意識での氷点下の世界のように感じられました。
松岡茉優の、喜怒哀楽が少なく正気と狂気の境目を彷徨う迫真の演技は、その典型ですが、唯一人、松坂桃李のみは飄々としつつ、彼が画面に登場すると人間的な温かさが湧きだす感覚がしました。寄せの長回しを松坂桃李の場面だけにしたは、その所為でしょうか。
映画に求められる三要素「笑い、泣き、(手に汗)握る」において本作は、終始手に汗握り続ける映画であり、原作である小説であれば十分醍醐味を満喫できるでしょうが、2時間ずっと濃密で荘重で沈鬱な空気に包み込まれ続けては、日常空間で観賞する映像作品としては適宜緊張を緩和させて観られるでしょうが、非日常の閉鎖空間である映画館で観る「映画」としては、果たして如何かと思うしだいです。
連弾がいいね!
巷では原作との比較で評価が分かれているようですが、私的には楽しめました。
俳優が実際にピアノを弾いていないとか、誰々がミスキャストとか、そんな細かいツッコミはさて置き・・・クラシック音楽を扱った邦画でこの出来映えはちょっと記憶にないかなと。
お気に入りは連弾のシーン。二人の天才がコラボする場面ではピアノを弾く楽しさが手に取るように伝わってくるし、母が娘に教えを説く場面ではこの上ない優しさに満ち溢れている。母が最後に娘の耳元で囁く言葉が本作のクライマックスでしょう。
飛び抜けた才能を持つ三人のピアニストが利害なんぞ度外視で自然に絡み合いながら成長していく姿や、天才と狂気は紙一重と思わせる所なども巧く描かれていたかなと思います。
ウン、原作小説も読んでみたくなりました。
黒い馬は壁だ。
蜜蜂と遠雷を見た。
コンテスタントのコンペティションの話だが、神からのギフトを得た天才達も実はそれぞれに壁を抱えて闘っており、そういう意味では私と変わらない。
私はピアノを弾く時、人前に出ると手が震え、足がガクガクなり、練習してきたことの半分位しか演奏できない。
この映画には黒い馬がモチーフとして何度も出てくる。原作にはなかったと思う。馬の足音は二拍子であったり、三拍子、四拍子と動く速度で変わる。黒い馬は壁だ。それはピアノであり、指揮者であり、自分の過去であり、未来だと思った。
その壁を乗り越えて行った先に、新たな世界が広がり、また次の壁がそびえている。そんな光景は、私がピアノを弾く時と同じ様な気がした。
凡人にはわからない世界?
原作未読なので原作の世界観はわからない。
ただ、音楽、ピアノの世界に生きる者たちの夢と葛藤、それを取り巻く業界の構図を垣間見ることはできる。
後世に残る天才や楽曲が生まれれば、人は後に称賛するが、業界の中での動き止まりの内容では、関心のない他の世界の人にはやはり他人事。
その意味で自分にはオーケストラとピアノの演奏会として見ることで納得せざるを得なかった。
この映画に入り込めなかった要因は、松岡茉優演じる亜夜が、なぜ7年のブランクから復帰したのにも関わらず、演奏に躊躇しているのか、そもそもなぜ7年前に逃げ出したのか、その要因が母親の死が関係しているのかというような背景がわからずじまいで、そしてそういう葛藤や苦しさを抱えているのかと思えば、ピアノの演奏仲間にはフレンドリーに接しているどっち付かずの姿。
新人演じる塵も悪くはないが、浮世離れしすぎの行動に、新人ゆえの技量不足なのか本当の演技なのか、安定感を見いだせず。
ユウジなんとかいう天才ピアニストがなぜ刺客を送り込んできたのか、亜夜を復活させ覚醒させようとしたからなのか、だとしたら7年前に存在を知っている必要があるがその伏線もなく。
松岡茉優も悪くはないが、演奏の姿がカクカクしすぎでわざとらしく、それ以外も顔芸で勝負しすぎで逆に浅はかに見える。
何より最後まで引っ張って一位じゃないのかいというオチに何を伝えたかったのかに苦しむ。
森崎ウィンが一番まともで、安定感があった。
原作未読者には、秋の夜長に音楽聞くならいいかという感じかな。
ピアノ好きにはいいですが‥。
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