蜜蜂と遠雷のレビュー・感想・評価
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食わず嫌いはよくない。
原作は知っていました。
なので、これを映像にすると聞いた時、
どんだけの天才に演奏させたら成立するのか、
正直、鼻で笑っていました。
新人の鈴鹿央士がなんぼのもんじゃ!と、完全に見下していたわけです。
ところが、劇場はロングラン、アカデミー賞にノミネートされるわで、
え?え?……え?状態。
観て納得しました。
なるほどこうきたかと。
邦画は国内で採算が取れるように作るので、
予算の上限が決まっています。
なので、演者が演奏することはなくとも、それらしく演じなくてはなりません。
あぁ、なるほど。それでアカデミー賞の助演男優賞かと、
納得いたしました。
食わず嫌いは本当によくないですね。
この作品がIMAXで上映されているうちに観ておけば良かったけれど、
家でも大音響で観たので、まぁ満足ですw
世界を鳴らして
公開時良さそうだなと思いつつも、何故か劇場スルー。
そしたら、国内映画賞で軒並み高い評価や受賞を。
こうなってくるといつもながらのミーハー心で早く見たくて堪らなくなり、本作もレンタルを待っていた。
若手ピアニストの登竜門とされるある国際ピアノ・コンクール。
それに挑む姿を、4人のピアニストに焦点を絞って描く。
“文字から音楽が聴こえる”“圧倒的な音楽描写故映像化不可能”と言われた、史上初の直木賞/本屋大賞W受賞のベストセラー小説の映画化。
原作は未読。
4人の天才ピアニスト。
かつて神童と将来を期待されながらも、ある悲しみをきっかけに表舞台から姿を消し、7年振りに再起を懸ける亜矢。
年齢制限ギリギリで、今回最後のコンクール。岩手の田舎町の楽器店で働きながら、ドキュメンタリー番組の密着や家族のサポートで挑む明石。
アメリカの名門音楽院で学び、今回優勝候補とされる期待の星。亜矢とは幼馴染みでもあるマサル。
そして、亡き有名ピアニストの推薦で突如現れた異端児、塵。
彼らが奏でるピアノはそれぞれ違う。
ブランクを感じさせないピアノ、生活に根差したピアノ、情熱的なピアノ、賛否両論ながらも聴く者を惹き付けるピアノ…。
素人からすれば、不思議なものだ。
ピアノ一つでこうも違う。
でも、映画だって同じ。
同じ役を別の役者が演じれば、全然違う。そういうのをどれだけ沢山見てきた事か。
映画監督の演出も人によって、リハ無しの即興もあれば、脚本や絵コンテに沿って緻密で何度もテイクを重ねたり。
ピアノを全く弾けない自分が言うのも何だけど、だからピアノは魅力的で奥が深い。
松岡茉優、松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士の四重奏は絶品。
松岡は陰を潜め、松坂は人間味あり、森崎は熱さほとばしり…複雑な内面を体現。
中でもやはり、オーディションで抜擢された鈴鹿の自然体の演技と不思議な魅力。圧巻のピアノ演奏も披露。
勿論3人もピアノを猛特訓し、実際弾いているシーンもあるが、全編弾いているのではなく、“弾いているように見える”だったのが残念。幾ら才ある役者たちでも、ピアノを天才プロ級に弾くのは難しいか…。(でも海外では演者が実際にピアノ演奏を披露する作品は多いけどね…)
他キャストでは、ホール責任者の平田満、威厳たっぷりの世界的指揮者役の鹿賀丈史がハマり過ぎ!
繊細に弾き始め、幻想的な心理描写で間奏し、圧巻のピアノ演奏でフィナーレ!
人間のエゴを印象深く描いた『愚行録』でデビューした石川慶監督が、至宝の音楽映画でまた新たな才を披露。
ピアノ演奏時の回転や奏者を下から捉えたり、オーケストラ演奏時も楽団の中を回り、時には空を舞うようなカメラワークは見る者聴く者の心情とリンク。
映像も美しく、4人の心情や内面や精神を様々なイマジネーションで表現。
また、日本を代表する世界的ピアニストによる演奏や数々の名クラシック曲が言うまでもなく素晴らしい!
これだけでも劇場で聴きたかった。今更ながら悔やむ…。
ピアニストたちは自分の人生の全てをピアノに打ち込む。
幼い頃から、遊ぶ時間も寝る時間も割いて。
ピアニストもそれぞれ。
努力家もいれば、天才肌も。
ピアニストたちは何故ここまでピアノを追求する…?
夢。既存のクラシック曲を弾くのではなく、かつての名作曲家たちのように、新たなクラシック曲を作る。壮大な夢。
ピアノが好き。ただただ好き。どうしようもないくらい好き。演奏してる時は楽しく、この上ない幸せ。
再起の為。それは自分一人ではなく、周りも魅了する。新たな世界が開け、新たな鍵盤(人生)をーーー。
素敵な台詞が幾つもあった。
世界は音楽に溢れている。
世界が鳴っている。
雨の音。馬の蹄の音。風の音。鳥のさえずり。…
蜜蜂の羽ばたきや雷鳴に至るまで。
そんな音楽を聴きたい。
そんな音楽を弾きたい。
世界を鳴らして。
音楽の良さが分からないので全体がわかりにくい
去年観れた邦画で1番好み。
去年観れた邦画で1番印象に残ってるのがこの映画。「 のだめカンタービレ 」大好きなので、こういう音楽作品は元々好みです。
この映画の好きな所はピアノコンクールで残った4人の主人公たちに絞って繊細に描いている所。
演出がとにかく繊細ですごく好きです。
言葉より目や表情とピアノの演奏で、4人の心情を描く演出がずっと観ていたいくらい。
課題曲の中での宮沢賢治の「永訣の朝」が扱われるのも、個人的にピアニスト兼作曲家の加古隆さんの宮沢賢治の作品を野沢那智さんが朗読して加古隆さんの曲が流れるソロアルバムの中でこの「永訣の朝」が1番好きだったので、より作品が好きな理由にもなっています。
主演の松岡茉優 さんは、一昨年も 勝手にふるえてろ で1番印象に残った女優さんで、
去年もこの映画の松岡茉優さんでした。今回は「静」の演技が女優さんとしての振り幅の広さを感じて、演奏シーンも、役に合わせてピアニストが選ばれてるので、演技で演奏してる役者陣も違和感が全くなくて良かったです。
この映画での松岡茉優さんの「静」から「動」への流れもすごく好きです。
他の3人も、観たらわかる天才肌の人。
上昇志向の強い人。
コンクール出場の年齢制限ギリギリで挑む家庭のある #松坂桃李 さんの役も地味なようで「新聞記者」とは全く違うアプローチで映画の中に存在してる、それぞれの出場者役の俳優さんたちはみんな良かったです。
◯脇を固める #斉藤由貴 さん。 #鹿賀丈史 さん。#平田満 さん。ベテラン俳優さん達もみんな良かったです。
言葉よりも音や景色で語る映画。
クラシックやピアノの専門的なことはぜんぜんわからないし、主人公たちの考えやバックグラウンドもそれほど詳しく言葉では語られない。それでも、彼らの人柄や感情や成長が、曲を通して伝わってくる。それに絶妙に絡むのが、海や雨や月の光。「世界が鳴っている」という天才たちしか到達しない感覚が、こちら側の人間にも少し伝わってくるようだった。
その天才たちと、こちら側をつないでくれた松坂桃李の存在感!
最後、コンクールの結果をみたとき、彼の音楽もしっかりとわかってくれる人がいた、というところに一番ぐっときた。
多くを語らず、淡々と結果だけを見せるあのラストもかっこいいなあ。風間くんやあやちゃんはきっとこれからも前に進める。
何も説明がなくても、これまでの2時間の描写の力強さがあるから、きっとそうだと信じられた。
クライマックス
ヨコハマ映画祭にて
おいおい、映画終わった瞬間、これでいいの!?って思っちゃったよ、、終わりなの!?って…
まずあんまり魅力的なキャラがいない、もしくは、キャラが魅力を出す前に終わっていた…
だからもっと観たいと思えなかったし、誰かが何かを克服してもなんのこっちゃって。
唯一、松坂桃李演じる、市民代表の彼がよかったですな。モットーがわかりやすくて。他はもう天才の域だからなのか、わたしには理解できませんでした…
松岡茉優ちゃん、ああいう演技コンセプトなんだろうが、あまりにもあざとすぎないか??あんな子いたら、嫌われるぞ。新人賞とった鈴木央士に食われてる感がありました。彼のがキャラにハマってた。
そして、母親との回想シーンがまたかまたかと思うほど出てくるくせに、その重要性はあまりわからず…結局、なにがあったねん。
森崎ウィンはいい声だけど、たまに違和感…はまり役ではあったかも。
予告では、いったい誰が勝利するのかって感じだったけど、実際そこはさらっとしていて、序盤から明白だったんよな…
そこがどうでもよくなるほどの物語があったわけでもないのに。
なんか、全くもって残念な映画だった。
原作を読んでいないわたしが悪いのかも、ごめんなさい。
原作未読。珍しく残念感のない松岡さん。
2020年は見逃していたこれでスタート。
恩田陸はデビュー時から追っかけていたが、最近は全然読めていなくて、今やファンですというのが申し訳ないような体たらくである。
ピアノやクラシックには疎い当方だが、小説では難しい音楽表現を実際の音で流せるのは強みだったかな。逆にいうと原作はそれだけ難しいことをしていたことになるのか。
逆に人物描写はちょっとずつ足らない印象か。
あそこでもしや「月光」かと思ったらやっぱりでちょっと嬉しくなる(『バイオハザード』で覚えたくちである)。
松岡さんは天才という役どころだけど周りに他にも天才がいるので、そこまで弾けてはいなかったように思う。ただ連弾シーンはエロスを感じさせて意表を突かれた。やらしいことしてないのにやらしいデス。そこは文句なしに素晴らしかった。
高校生の私には難しかったが
コンクールを聴きに行った気分
音楽が魅せる感動。天才達の友情と戦い。
【賛否両論チェック】
賛:天才達それぞれの珠玉の演奏の数々に、音楽が持つ魅力を堪能出来る。彼らの絆と戦いの行方にも注目。
否:どうしてもクラシックを弾くシーンの繰り返しなので、興味がないと眠くなってしまいそう。
夢を追い続ける4人の“天才”達。そのバックボーンや努力の仕方はそれぞれ違えども、お互いに刺激し合い励まし合いながらコンクールを戦っていく姿に、切磋琢磨とはこういうことを言うんだなと、思わず考えさせられます。
珠玉の演奏シーンはまさに圧倒されてしまいますが、それと同時に、
「世界はいつだって音楽で溢れてる。」
という塵の言葉のように、音楽という本当に儚いもので感動させられることが、少し不思議でもあります。
どうしても同じようなシーンの繰り返しではありますが、音楽の道を極める天才達の戦いの行方を、是非ご覧になってみて下さい。
ソリッド・ステイト・プレイヤー
とても荘厳で、重力、重圧のかかるクライマックス迄のコンテストの舞台設定と、そこからの解き放たれるピアノの迸りのダイナミックさ、鋭さが、今迄のこういうピアニスト作品の中で群を抜いて表現力の高さとして具現化できた実例として掲示されたものはないと断言できる程素晴らしい。原作未読なので、あくまで映画での感想だが、この緊張と破裂をここまで緻密に厳しく突き詰めた構築は邦画では表現できてなかったかも知れない。そう思う程の作り込まれた出来である。
比較として引合いに出すものではないだろうが、例えばアニメ『四月は君の嘘』のような、ピアニスト達のそれぞれの内面や環境、境遇、そして関係性を丁寧に描くことで、ピアノ自体に疎い素人の自分でも楽しむことが出来る手法が主だと思うが、今作は出来る限りその内容は匂わす程度で、全てをさらけ出さず、あくまでも個々人の内面の思考を顔の表情、動き、等演技の力のみで駆動するレベルの高い展開なのである。それは安易にヒューマンドラマに落とし込むことなく、天才たちの苦悩、邂逅、共鳴という常人では理解出来ない言語の交差をまざまざと見せつける力強い表現がスクリーンに繰広げられているのである。
ストーリーとしても、原作が大変ヒットしているからであろう、ユニークな構図が取られていて、ここからもこの作品の希有な内容が見て取れる。母親を亡くし幼少期に演奏が出来なくなった主人公、師匠のロボット的教えに苦悩する男、努力により市囲の自分を証明したい男、そんな登場人物達の苦悩を、まるで風の如く吹き飛ばしてくれる神童。この音楽の天使が動くことで、本来持っていた才能を目覚めさせてくれる事になった主人公の圧巻なクライマックスの演奏は、恥ずかしい事に、ドンドン自分の躯がリズムを取って動き、自然と音楽に浸りきってしまう事に驚く。凄まじいパワーが、自分の躯の核を揺さぶり、響かせる事により、難解なクラシック曲でさえ、ビートを刻んでしまうのである。この圧倒的な映画力と、スタッフロールでの、途中の欄に見落としてしまいそうに差し込まれている監督名の奥ゆかしさのギャップも又、大変興味を抱くのだ。
今作品の高次元のレベルを嫌と言うほど感じたところで、今後の邦画の行く末を安心して胸をなで下ろす自分がいる。制作陣、俳優陣の資質の高さに惚れ込む作品である。
天才ピアニストの話というより、栄伝亜夜トラウマ克服物語のようだった。
恩田陸の同名小説を、実写映画化。原作は未読。
ピアノコンクールの予選会に参加する若き4人のピアニストたち。彼らにはそれぞれの事情があり、苦悩と挫折、そして成功へと成長していく姿を描いた作品。
母の死をきっかけにピアノが弾けなくなったかつての天才少女・栄伝亜夜役に松岡茉優。
最後まで暗くて、ボーッとした感じで、演技力なのか、演出力なのか、どうみても天才ピアニストの感じがしなかった。
マサル・C・レビ=アナトール役の森崎ウィンは俳優としての成長が感じられたが、天才ピアニストの感じが今一歩。風間塵役の映画初出演の新星・鈴鹿央士は、天才ピアニスト感がでていたがおしい!もう一歩という感じ、でもこれから大いに期待できる。
天才ピアニストとして、お互い刺激しあって気持ちを高めていく描写、天才的魅力をもっと欲しかった。
栄伝亜夜トラウマ克服物語になってしまったのが残念。
ただ4人の俳優が、ピアノを猛練習したであろうと思えたことには拍手を贈りたい。
世界が鳴ってる
ピアニスト達が、触発し合い
見えざる領域への扉を見つけ、
自分達の世界へ旅だっていく
お話しでした。
人の五感でよいと感じると
こんな感じですが
味覚→美味しい
視覚→美しい
触覚→気持ちいい
嗅覚→いい臭い
聴覚→?
心地いい?
どういう言葉がしっくりくるか
選べないんですが、
音によって感情が
揺さぶられるんです。
本作の音は、
聴覚に直接届いて
訴えてきます。
主演の4人にそれぞれ
国際的なピアノ奏者が
いて人物の背景や現状を
音で表現しているのが
わかります。
一般社会では、
ちょっと変な人が
何かが欠落しているが故に
天性の才を身につけていて、
その天才達しか
到達できない領域で
お互いが反応しあって
成長し、彼らの奏でる音の
美しさに心が奪われます。
観ていて、純粋に音の美しさに
浸れるのは、
彼らが足の引っ張りあいなど
をせずに、
お互いを高めあう空気が
こちらにも伝わってくるから。
演者の感動が観客に広がるんです。
ライバルを助け、最終的には、
場のレベルが上がり、
自身の演奏も一皮むけていく4人。
演奏は自分との戦いという
コンセプトを
ライバルとの不毛な駆け引き場面を
映さないことで際立たせています。
だから
栄伝亜夜の
最後の演奏は鳥肌もの。
庭には植えたつもりが無いものの
方が多く育つという
ことわざのように、
刺激しあって
予想しない才能の引き出しが
増えていくのを
スクリーンを通して
共有するのが心地いいです。
美しい音の旋律が
頭を駆け抜けていく
快感を体験できます。
小説と併せて楽しみたい
原作が面白くて一気に読んでから、映画も待ち切れない気持ちで鑑賞。
亜夜のコンクールエントリー番号、小説では88が44だったので半分くらいの分量なのねと考え、割り切って観ることができました。
風間塵をはじめ演奏者は小説のイメージに合っていて嬉しくなります。どちらが先でもいいけど小説も読んで堪能したい作品です。
映画観てから原作読んだ結果
映画の内容は原作の2割程しか描かれていないと感じたが、映画だけ観る分には十分楽しめる。演奏シーンも素晴らしいし、2時間程度という限られたなかでうまくまとめてあると思う。
しかし原作の細かい描写があっての風間塵の存在感だったり、栄伝亜夜の葛藤だったりが生きてくる点は否めない。原作読んでから映画を観た人には物足りなさを感じるかもしれない。
とは言え先に原作を読んだ人も音楽は楽しめるし、あの風間塵の実写化、しかもまるで本から出てきたようなハマり具合で再現されているので、そういう視点では楽しめると思う。というか全体的にキャスティングがいい。ただ、映画には奏が出てこないので今思えばそこは残念だった。
本選の演奏曲、マサル(プロコフィエフ3番)と亜夜(プロコフィエフ2番)の曲が映画では逆になっていた。映画を先に観たもんだから、あたしのなかでプロコフィエフの3番(CMで流れていたあの曲)はどうしても亜夜のイメージになってしまっていて多少違和感が…(その他にも原作との違いは結構ある。)
もしかしたら3番の方が大衆ウケするからという理由で逆にしたのかもしれないが、そうだとすると原作内で描写されていた'音楽で集客するには人気のある曲を選ばないと'というジレンマがそのまま表れているようで面白い。
映画を観て面白いと感じた人はぜひ原作を読むことをおすすめしたい。映画よりももっと泣けるし、音楽ってこんなに素晴らしいんだなと、とても幸せな気持ちになれるから。
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