「あの子はどこの子・・・美代ちゃん」エリカ38 critique_0102さんの映画レビュー(感想・評価)
あの子はどこの子・・・美代ちゃん
小生にとって、美代ちゃんは美代ちゃんなのである。
すでに天命を知る年齢となり、美代ちゃんが還暦を過ぎたからといって、四十有余年、それは変わらぬのである。
美代ちゃん、耳順う齢となり、美代ちゃんはキンバァサンの教えに従ったのである。
実はその前、美代ちゃんは、「赤トンボ」を歌っていたのである。いや間違えた。「赤い風船」であった。
「あのこはぁ、どこの子、こんな夕暮れ〜」けんちゃんやまりちゃんに比べて、一層音を外していた美代ちゃんは、小生の心のオネェさんだったのである。その声は浜子さんには届いていたであろうか。
とまぁ、小生の思い出話はこれぐらいにして。
この映画、まぁまぁよくできていたと思う。金欲という最も単純な人間の姿を、極めて単純に、それでいて滑稽に描ききっていた。そこに、渡部の履歴を垣間見させて。
また、第三者から見れば、明らかに胡散臭いと思われる渡部の「勧誘」も平澤の「口上」も、その内容は、よく聞けば内容はてんで空っぽの、そして矛盾だらけのものであるにもかかわらず、その話乗ってしまう金欲に塗れの者達の姿も、またその言い訳三昧も、オーディエンスがそれを蔑む対象となるような演出であったし、そもそも、舞台的な設定として脚本は非常によく書けていたと思う。
ここまでは・・・。
しかし、
確かに実話では「海外逃亡」、そして現地での逮捕だったのであり、その年齢故「ニュースバリュー」があったと思うが、この映画では「タイ編」は不必要であったと思う。
ポルシェくんでも、フェラーリくんでも、ランボルギーニくんでもいいのだが、この展開だと、主人公の過去の体験から身に染み付いた捻れた猥雑な人間性を、人恋しさという直線理解に回収させてしまう。これではつまらない。
せっかく、最後の渡部のアップシーンを描きたいというのであれば、別の展開でそうさせるべきだった。護送車内の彼女の表情にエンドロールの「声」に被せてもよかっただろう。
#小生、朝起きて、隣に美代ちゃんがいたら、それはそれで幸せですが・・・(笑)