「「よかった」とか「面白かった」なんて言うのは本作に失礼」ヘヴィ・トリップ 俺たち崖っぷち北欧メタル! La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
「よかった」とか「面白かった」なんて言うのは本作に失礼
まさか、あの映画の続編が制作されるとは思ってもみませんでした。世界でも有数のバンド数を誇るヘビメタ王国(「ヘビメタ」は揶揄する言葉で、日本の真のファンは必ず「ヘヴィメタル」と呼ぶと言う事を最近知りました)フィンランドの田舎でヘビメタに打ち込むバンドがメタル・フェスへの出場を目指す物語『ヘヴィ・トリップ』(2019) はかなり高純度の「おバカ映画」でしたが、世界中で多くのファンを生んだらしく、その続編の登場となりました。バンド名が「インペイルド・レクタム(直腸陥没)」、音楽ジャンルが「終末シンフォニック・トナカイ粉砕・反キリスト・戦争推進メタル」と言うのですから、その訳の分からなさに誰もが観たくなりますよね。そして本作は、前回からの続きとなりますが、大した中身もないのでここから観ても何の支障もありません。
今回は、4人が刑務所に収監中という前作エンディングからスタートです。メンバーの父親の農場を救うべく、脱獄してドイツのメタルフェス「Wacken open air」(これは現実にあるフェスだと後ほど調べて分かりました)出場で一儲けを企むお話です。「よかった」とか「面白かった」なんて言うのは本作に失礼でしょうから、「今回もくっだらなくてバカバカしく下品な映画でした」とだけ言っておきます。
そして、日本の映画ファンとしてエッと驚いたのは、台詞もありライブシーンもある登場人物として日本からベイビーメタルが実名で出演していた事です。しかも、商業主義的ヘビメタを嫌いストイックな姿勢を貫くレクタム・メンバーが「メタルへの冒涜だな」と口では罵りながらも実は大好きという美味しい役回りなのです。彼女らが日本でより世界的に有名というのは本当だったんだなと、その事に感じ入ったのでした。