「キャスティングは成功! 次が勝負な期待作」キングダム 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
キャスティングは成功! 次が勝負な期待作
最初に正直に言います。今まで映画「キングダム」に触れることを意識的に避けていました。それは、評価をすると「ギリギリ3.5点かな?」くらいなイメージで、そこまでポジションな反応ができなかったからです。とは言え、「2019年の邦画実写興行収入NO1」の作品です。良さが無いわけがありません。そこで、頭を初期化して3回目に挑んでみました。
まず、すぐに大人に成長したシーンになりますが、そこでの安堵感が凄いと感じました。たったの1年くらいなのに、山崎賢人と吉沢亮の現実世界での活躍が凄く、2人への思い入れがかなり強くなったようで、彼らのシーンだけで「画」になっている安心感が生まれていました。
この作品は原作の人気と、キャスティングの段階で既に半分は成功していたんですね。
そして、製作コストを渋らなかった効果は「映像」にも出ていました。こういう製作者たちの努力が日本での興行収入 57.3億円に結びついた点は大いに評価したいと思います。
アクションも邦画実写では上位な方ですし、規模感では「レッドクリフ」級だったのかもしれません。
後半に出てくるだけの長澤まさみは、あれだけの登場で日本アカデミー賞助演女優賞を受賞するくらいの芸達者ですし、大沢たかおにいたっては、さらに登場シーンが少ないのに最後に美味しいところを全部かっさらっていくほどの存在感で、橋本環奈も含めて、やはりキャスティングの勝利は大きかったですね。
では、逆に試写などの段階で、なぜそこまで評価できなかったのか考察したいと思います。
まず、大まかには、本作は「キングダム」という続いている漫画がベースにあるので、世界観にどれだけ入り込めているのか、で評価は大きく変わってくると思います。
例えば「ロード・オブ・ザ・リング」にしても最初は「何が面白いんだろう」くらいの評価でしたが、章が進むにつれて入り込め「王の帰還」では世界中で「映画史に残る名作!」に変わったように、本作はまだ「はじまり」を描いているので、どうなっていくのかは、これからの展開と出来次第なのだと思います。
実際に、日本の観客に救われましたが、期待されていた海外では残念な結果だったのです。
正式に続編製作が決まったので、期待を込めて、本作で気になっていた点を具体的に挙げてみます。
まず、緩急をつけるための「ギャグシーン」が、3回見てもコケていると感じてしまいました。
少ないシーンなので、ここはディレクションを変えると良い気がします。
また、これは「アクション映画」全体の課題ですが、「ワイヤーアクション」という言葉があるように、ここを、より自然に(ワイヤーなど無いように)見せられると良いと感じました。
さらに、これも本作に限った話ではないですが、私は「ラスト近くで敵が、あえて主人公を殺さずに、なぜか会話を始めてしまい、そして、結局、主人公に殺されてしまう」というパターンは、リアリティーを感じにくくなります。ここは脚本をさらに練り上げて上手く処理してもらえるとクオリティーが上がり評価も高まると思われます。
さて、第2弾は、キャスティングは既に成功していますし、「戦」が中心になるとのことで、世界観も温まってきているので、日本では歴代興行収入ベスト100位に入れるくらい(現時点の100位は「ファインディング・ドリー」の68.3億円)に行けることが目標でしょうか。そして、今度こそ海外で火がついてくれたら、その先も盛り上がりそうで嬉しいですね。いずれにしても、次が勝負だと思います。
主題歌のONE OK ROCKの「Wasted Nights」は作品の世界観に合っていたので、こちらも続投で再び盛り上げてくれることを期待したいです。
レモンブルーさん、こんにちは。
4作目まで、という正式な発表は確認していませんが、週刊文春で関係者の話とし2~4作を一気に、というのが報じられていましたね。(「邦画史上初の試み」とも報じられていますが、この部分は若干間違いですかね。「20世紀少年」はそうだったので)
ハリウッド映画でもそんなに例はなく、それこそ「ロード・オブ・ザ・リング」が代表的ですね。
この手法のメリットは制作費が抑えられるというのがあります。毎回、セットを組んだり役者を集めなくて済むので。
ただ、万が一コケてしまうと目も当てられない状況になる面もあります。
とは言え、「キングダム」は総じて出来は良かったですし、製作陣も第1作目で手ごたえを掴んだと思うので私たちは期待して待つのが良さそうですね。(個人的には、あと少しだけレビューで書いた部分のクオリティーが上がって世界的なコンテンツになることを期待したいと思っています)
先日 続編が2~4作まで一気に製作されているという記事を見ました!!今は国内での撮影で来春中国ロケを行うとのことでした!それが 本当ならキングダムファンとしては最高に嬉しいのですが、1作目の本作についての細野さんのご指摘は確かに尤もな部分で 続編がそれを踏まえて良作になっているのを期待したいですが、一気に…ということは悪い部分も良い部分も一気に撮影されてしまう事になる?と思うと 少々 緊張⁈(笑)します。どうか、世界に通用する作品になっていることを願って来年末の続編を待ちたいと思います。