「一見の価値ある娯楽大作」キングダム eichanさんの映画レビュー(感想・評価)
一見の価値ある娯楽大作
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本作のストーリーは、史上初めて中国全土を統一した秦の始皇帝である、えい政の序章譚である。私には、武力を以て中華統一を策謀する若き日の秦王えい政は、天下布武をスローガンに天下統一を押し進めた戦国武将の織田信長に、そしてえい政の下僕であり、主人公の天下の大将軍を夢見る奴隷出身の剣士・信は、農民出身の城持ち大名を夢見る足軽の豊臣秀吉に重なる。中国と日本と舞台は違えど、時代は互いに同じく乱世の戦国時代である。だから本作のストーリーは、異国の中国を舞台にしていても、日本人に馴染み深く入り易い。そして本作のストーリーの核は勧善懲悪であり、主題は夢の実現である。製作費もかかっている。つまりは完全な娯楽大作なのである。アクション史劇であり、人情劇でもあり、開始から終了まで一貫して楽しめる。映画の醍醐味を堪能できる。個人的感想では、山崎賢人と吉沢亮の熱演が光った。本作中数少ない出演女優の長澤まさみと橋本環奈が作品に華を添えている。脇を固めるベテラン俳優陣も良かった。秦王を守る剣士・信の活躍ぶりは、まるで三蔵法師の伴をする孫悟空を彷彿とさせた。舞台が中国であるが故に、案外それは意図的なものであるのかもしれない。ついては、是非本作を一見することをお薦めするばかりである。
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