「これ、終わんないよね?(笑)」キングダム flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
これ、終わんないよね?(笑)
絵柄がどうしても好みに合わないため、原作は1巻しか読んでいないが、中国史には興味があり、特に春秋戦国時代から楚漢戦争あたりまでが好きなので、歴史考証にはうるさい、という立場(笑)で鑑賞。
映像はきれいだし、俳優人の演技もそれらしく、それなりに楽しんで見れた。
王がたった1人で逃亡してるのかい!とか、たった50人で敵城に乗り込んで何かできるつもり?とか、将軍の王騎が王である政より偉そうなのはありえんだろ、とかツッコミたいところはまあたくさんあるけれど。
それにアクションはカッコ良かったが、ちょっとワイヤーアクションを多用しすぎ。ワイヤーアクションがすぐそれと分かってしまうのも作り込み不足。
さて歴史考証をひとつ(笑)
本筋にも映画の評価にもあまり関係しないけどね。
まずこの時代はまだ青銅器文明なので、大半は銅剣のはず。銅剣であんな戦い方をしたらすぐ壊れちゃうよね。
あ、ちなみに剣もちょっとオモチャっぽく、宮殿などのセットもピカピカなのは却ってリアル感を損なってた。
歴史考証に話を戻すと、この時代は歩兵が主戦力で、「騎馬隊」なるものは存在しなかったはず。全軍馬で行軍、なんてあり得ない。
また、百歩譲っても、山の民は馬に乗らんだろ!(笑)
この時代には紙は発明されてなかったので、文書は主に木簡や竹簡だったわけだが、稀に絹に書かれた文書や地図があったらしい。
が、映画の地図は、絹には見えなかったぞ。あれ、どう見ても綿の布でしょ(笑)
春秋時代ほどではないとはいえ、血統は重要だったので、呂布韋は自ら王には絶対になれない。またこの時代、王が変われば前王の側近が失脚したり誅殺されたりすることは当たり前にあった。
特に呂布韋は政を王位に付けた人物なので、政が死ぬか失脚すれば、誰が王になっても命が危ない立場。
少なくとも成矯(字が違う)の乱のこの時点で映画のような動きをすることは、まず絶対にあるまい。
奴隷の子が成り上がることを夢見るのは良いとしても、それがなぜ剣術なのか分からない。剣術が優れていたために将軍になれた人物など、歴史を通して皆無。
古代中国だったら兵法を勉強しなければ。
(奴隷では無理だけど)
信て李信なんでしょ?
まあ生没年が不明な人なので政と同年代としても良いのだけど、中華統一の詰めの局面で「若手」として登場した人物なので、政より10歳ほど年下のイメージだった。
この映画、原作の5巻あたりまでの話らしいのだけど、原作は40巻くらいでようやくロウアイの乱が終わって政の親政が始まるというスローさで、何巻までやれば中華統一するの?今さらよけい手を出しづらい(笑)
まして映画は俳優も歳とるし、どうしたって終わらないよね?
レビュー中で述べているように、話の本筋とも作品の評価とも関係しない「単なるツッコミ」です。つまりそこまでのリアルさは求めていません(^-^*)
ただ、この作品、登場人物の大半は史記などの史書に名前が出てくる実在の人物ですし、特に主人公の信のモデルが李信というあたりは絶妙です。事象も大きくフィクションを入れながらも、大まかに言うと史実どおりに話が進んでいますし。
つまり作者は「史実」を相当勉強した上で本作を描いていることが伺えます。それ故のツッコミです(笑)
少なくとも私は"所詮マンガ"と小馬鹿にしているわけではないんですよ。
あと、萎えるのは仕方ないですが、それにコメントを書くなどのムダなエネルギーは使わない方が良いかと(^-^*)
そこまで漫画にリアルは求めてないし、映画だって 漫画が続く限りやるわけじゃないでしょ(笑)
こーやって 真実は〜って偉そうに語られると萎えるわ〜(笑)
所詮『漫画』で 『それを映画化』しただけなんですよ〜何ムキになってんの?!(笑)