Girl ガールのレビュー・感想・評価
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まるでザ・ノンフィクションを観ているかのよう
最低限のセリフ、最低限の音楽、最低限の情報で淡々と物事が進んでいく様はまるでドキュメンタリー番組のよう。 変わりたい自分、でも変わらない身体。そりゃあ焦るしもどかしいよね。しかもまだ子供な訳だし。 個人的にはララが行きずりの恋をしにいくシーンが切なかった。自分が女だということを感じたくて行ったのに、逆に自分の男性器の存在を強く認識することになってしまう。生理現象とはいえこれは辛すぎる…( ;꒳; ) 唯一のストレス発散法だったバレエもできなくなっていよいよ追い詰められた彼女がとった行動は…あきらかに間違っていたけれど、それで自分が満足して前に進めるならいいと思う。特にこの年齢の頃って、自分がやりたいようにやる!ってのが強い指標だったりするから。
切なく、強く…
なかなか家族や周りの人にも 受けいられない苦しみから 始まることが多いパターンを 観てきましたが、 家族が既にララを全て受け入れている 冒頭から、始まりました。 誰より努力しても大好きなバレエでも 自分の立ち位置が掴めない。 彼との関係を一歩踏み出そうと しても、最後に女性としての プライドを傷つけられ、 理解あるお医者さん達に囲まれて 治療を進めていても、思うように 変わらない肉体… そして受け入られているからこその、 強い孤独、葛藤、焦り。 美しいララがバレエを舞う姿で、 徐々に精神的に追い込まれる様子が 表現されて、胸を打ちます。 自分ではどうしようもない、 理不尽さに絶望感を覚え、 自分にしかわからない気持ちと 向き合い、深い孤独を 感じることは、ララに限らず生きて いる中で誰でも経験することだと 思います。 明確な答えは わかりませんでしたが、 ラストシーンで 颯爽と清々しく歩くララを見て、 自分らしく生きることの大切さを 教えてもらえた作品でした。
☆☆☆★★★ 《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解...
☆☆☆★★★ 《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解し、協力をしてくれている。 そしてバレエ仲間も認めてくれている。 だけど…。 ララ本人の不安は尽きない。 心は女性、その見た目だけなら完璧。 だが、本人だけが知る。本物の女性へとなかなか近づいては行かない自らの身体。 その思いを増幅させるのが、(バレエを始めた時期の遅さから)技術的な遅れを取り戻せない焦りと、ホルモン治療への不信感がどうしても拭えない。 やがてその思いは。自身の心の乱れや、仲間達の心ない悪戯等を経て、焦りから【怖さ】へと変化して行き。その辺りからの、微妙に壊れ始めるララを、映画は繊細なタッチで見つめ続ける。 カメラは、ララの表情を絶えずバストショットで捉え続けるのだけど。その為に、バレエ場面等は彼女の一挙手一投足をつぶさに観察していて。彼女がターンを繰り返す毎に、心の揺らぎが伝わって来る。 何処か観ていて。ガラス細工や陶器製品等を扱っている時に。いつ落としてしまって割ってしまうか分からない、あの怖さの感覚が終始続いている…と言えるだろうか。 最後がやや曖昧に終わってしまうのが、ちょっと残念な感じでしたが。これは評価が高いのも頷ける秀作でした。 内容的には全く違うのだけれど。同じフランス映画の『水の中のつぼみ』とゆう作品を、ちょっとだけ思い出した。 2019年7月10日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
トウシューズの痛み
今までバレエの映画は数多く見てきたが、何度見ても爪からの出血は見るに耐えない痛みを感じます。 主人公も同じように痛みを感じてます。って感じないといけないのかな? ラストが納得いかなくて、消化不良です。 主人公はバレエを続けて行くでもなく、自分を認めるでもなく、ただ手術がしたかっただけなように思う。 本人には何よりも大事なことだろうけど、違うよ、順番があるんだよって終わって欲しかった。
凄い
映画を見てこれだけ長いと感じたことはない。最後辺りでは4時間位映画見てるような、永遠に続くのじゃないかという閉塞感に襲われた。これこそ彼女やLGBTの方の感じている世界観なのかも。 資本主義やら民主主義という頭の中での思想の違いどころじゃない、肉体そのさらに上の性の違和感。その苦しさの追体験は苦しい。 凄まじく凄いと思ったが、ごめん俺をハッピーエンドで救ってくれ。
生涯で最高傑作です!
各賞を総なめしたこの映画 バレリーナを目指すトランスジェンダーMtfの話です 実話ではありませんが、実際にあったダンサーにヒントを得た とのことですから、世界は広し、やはりという思いで鑑賞しました ネタばれになるので詳しくは書けませんが とにかく圧倒されました 緻密で繊細で大胆で衝撃的 その機微にはいちいちがてんがいき 監督の思いと俳優さんたちの演技に感動しました おそらく、論を何十回と学んでも、この映画にはたちゆかないと思います 機会があればぜひご覧ください ベルギーの映画ですが、とても秀逸です 最近はインドの映画もがんばっていますね
未発達の女の子
静かに悲しく怒りを表現する演技に感服。 理想とする自分に近づくために努力を惜しまないララだが、一方で他者から見た自分に怯える。 自分が苦悩していることを易々と超えていく女の子。 憧れても超えられない一線がララを追い詰めていく。 観ているこっちがララの横に座って、ホットココアでも飲みながら背中をさすってあげたくなるような映画でした。
「なりたかった自分になるのに遅すぎるということはありません」 by George Eliot (本名 Mary Ann)
ララに言って聞かせたいのは、この言葉。ジョージ・エリオットって女性なんですよね。名前だけでは判らないです。
愛すべき「ヘンタイ」の国、ベルギーの物語はイロイロとぶっ飛び過ぎてて。
16歳で医学治療を受けられるんだ。早。
逆ナンでXyz(詳細割愛)したりするんだ。早。
んでもってハサミでチョキ、と言うか、ザク。痛。
素敵な男性と巡り会えると良いですね、と言いたくなる、綺麗な女性になってるじゃないですか。良かったよ、全く。
なりたい自分、乙女の本能、バレーの夢、家族への思い。追い詰められる環境の中で、パニックになった少女。救いはVolvo V40が愛車なパパの包容力。これが日本人にできるかなぁ、と思いました。ホント、ベルギーって「愛すべきヘンタイの国」ですわ。
良い映画でした
LGBT関連のお話と聞いて、社会との断絶とか周囲の無理解とかそんなのをイメージしていましたが、本作はどちらかというと本人の内面での葛藤・苦悩にフォーカス。ララの生きている苦悩に、どんどん引き込まれました。なにか生きづらさを抱えて日々を過ごしている方には、どこかしら共感できるのではないかと思います。
思春期の女の子が孤独に葛藤する姿が辛く苦しい
スクリーンには、バレリーナを夢見る努力家の女の子が映っていました。男の子はいませんでした。そのくらい女の子であることに違和感が無いのに、身体はどんどん違和感を与えていってしまう。心と身体がついていかない思春期のララが静かに葛藤し、一人で抱え込み、悩み、辛い行動をとってしまう姿が見ていて苦しかった。ラストは本当に衝撃的でした…。 ララは比較的周囲に理解者も多く家族も味方。それでも彼女は孤独で、1秒でも早く女の子になりたくて、それしか考えられない。もっと心を開ければ良かったのになぁ…。 そしてビクトール・ポルスターの演技、素晴らしかったです。
なりたい自分との葛藤
主演の俳優がとにかく美しくて目が離せなかった。 特別に美意識の高いバレエの世界で「なりたい自分」に精一杯挑戦している主人公が、どんどん追い詰められていく。痛々しいのだけど10代の主人公は眩しく輝いていて、周りの大人たちは応援している。周りの大人はもう十分すぎる努力だと認めていても、それが見えないぐらい夢中になれるのも10代だからなのですね。痛みと美しさが際立つ青春映画。
ひとつだけ引っかかったこと
主人公の置かれている環境が100%アウェイかというとそうではなく、家族をはじめ学校関係においても結構周囲は理解者が多いにもかかわらず、それでも主人公は生きづらさを感じなければいけない部分が見ていてつらかった。 ていうか、思春期って残酷過ぎます。 それはさておき、映画そのものとはあまり関係ないことですが、ひとつ引っかかったことが、、、 というのは、主人公の父親。 というか、父親の職業。 タクシーの運転手という設定なんだけど、そこそこ部屋数のあるアパートの最上階に住んでるし、子供を国内有数のバレー学校に通わせてるし、学校以外にもバレーの個人レッスンも受けさせてるし、かといって寝ずに働いているわけではなく、子供の通院にはしょっちゅう付き添ってるし、恋人との時間もつくったりしている。 子供の手術費も結構なものだろうに、余裕はないかもしれないけど、かといってキュウキュウしている感じは全くない。 タクシーの運転手ってそんなに高収入なの? というのが、気になって仕方がなかった。 作品には直接関係ないけどね。
苦しい
さすがダンサーだけあって、踊りのシーンは綺麗だし女性のようなスタイルなので違和感なく観れたのですが、ところどころのシーンが痛そうで痛そうで…。目を覆ってしまうシーンがかなりありました。 あと…女性って怖いな、つくづくと思いました。
焦るなって!!落ち着けって!!
近年観た中でトップクラスのキツさ!! 「キツイ」って言っても、「ダメ!」とか「キライ!」とか「残酷!」という意味でのキツさではもちろんないの。言うたら「痛い」。とにかく心が痛いし、心以外も痛い。 「痛い」と言えば、今回はっきりと認識したんだけど、僕はバレエの映画がニガテだということがわかった。爪先でビョンビョン跳ぶの、足グネりそうで怖くて見てられないし、「足の指付近をケガする場面」なんか、僕にとっては手や顔をケガする場面より5割増しで痛い。なぜかはよくわからないけど。 「心が痛い」という面では、この作品がLGBTQを扱った映画なので、「偏見とか差別とかに心を痛ませながらも、最後は自分なりの生き方に折り合いをつける姿に感動する」みたいな展開を勝手に予想していたんだけど、むしろそれとは逆なのがスゴい。 家族も、学校も、カウンセラも、性転換手術を前提にホルモン治療とかを担当する医師も、みんなそれぞれに主人公のトランスジェンダーを受け入れて応援してるのがスゴいんだ。だから主人公がトランスジェンダーであることの苦悩や葛藤が、全部主人公自身の内面に向かってしまう。これがキツイ。 これで主人公がクサったりヤケになったりしていけば、観客にとっては逆に救い(?)になるような気もするんだけど、この主人公はまぁ、頑張っちゃう。弟の善き姉として、バレエを目指す若者として、バレエを目指す仲間たちの友達として、そして恋をする女の子として、とにかく無理しちゃう。 それをカメラは淡々と映す。時に見せすぎなほど、淡々と映す。それはそれはツライ。主人公も周りの人たちも、誰も悪くない。観客は傍観者として「こうしたらええやん。」という道筋が見出だせない。 だから僕は、主人公が冷凍庫から氷を取り出したとき、その後主人公が何をするか、スッとわかった。それはたぶん僕が勘がよかったとかいうことではなく、それまで観客の心の中に「どうしようもなさ」の伏線をしっかり積み重ねていたからなんだと思う。スゴい。 「焦るなって!!落ち着けって!!」って思考は歳を重ねたからできることで、主人公は若すぎるから、どうしたって届かない。それもわかるからツラかった。 そんな作品の、作劇や演出もさることながら、主人公を演じたビクトール・ポルスターの演技というか、作り込みというかもむちゃくちゃスゴい。 決してふざけて言うわけではなく、ちんこが付いてる少女にしか見えない。 「俳優が少女になりたい少年を上手に演じている」ってレベルじゃなくて、本当に「ちんこが付いて生まれてきちゃった女の子」にしか見えないの。このことが、この作品の強烈な説得力になってると思う。 そんなこんなで、LGBTQを扱った映画の中でも群を抜いて深いところを描き出している作品だと思うし、思春期の焦りやどうしようもなさを感じさせる傑作だと思う。 同じ年頃の娘を持つ父親である僕にはキツすぎて、好きになれないのが申し訳ないけど、素晴らしい映画だと思う。オススメしたい。
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