Girl ガールのレビュー・感想・評価
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絶対に観てほしい映画 (一部怖かったけれど…)
一人の思春期のトランスジェンダー(身体は男性だが心は女性の)の一年?を描いたベルギー映画。
トランスジェンダー。俺は、わかったような顔をして、実は何もわかってなかった。そう痛感されられる映画。
いや、だからこそ、俺は映画を観る、そう言う気持ちを新たにさせてくれる。
バレエのレッスンのシーンもラストに近いシーンも、いたる所に痛みが。それも、身体的な直接想像できる痛みや、心理的な痛みが、ほぼ全編を覆っていた印象。
皆さまに観てもらいたい映画だけれど、心して観てくださいね。
まず、ベルギーという国がいかにLGBT先進国かがわかり、つぎにその国の中でさえ、Tとして生きていくことがどんなに困難に満ちているかを思い知る。だからこの映画はベルギー製作でなくては意味がないのだと思う。
家族も、周囲の理解も、医療的な措置も日本とはかけ離れて進んだこの国でさえ、いかに苦しいことなのか。衝撃だ。しかし幸い俺たちは、ベルギーに追いつく程度、LGBTを理解しようという低い目標があるから、まだ救われるのではないか。(おっと、自虐的なレビューになってしまった)
映画では、主人公は自分の思いを全く発言しない。観客としては、父親が言う「話してくれれば、何かできるのに」に同感し「話してくれればもっと感情移入できるのに」と感じるだろう。
しかし観ているうちに、主人公の思いは伝わってくるはずだ。 希望はいつもたった一つしかない。「今すぐ女の子の身体になりたい」
それはもちろん無理とわかっているから、今できることは、全てやっている。男性としての二次性徴を抑える治療はしているし、ホルモン治療も始めた。18歳になったら手術も受ける。
でも、女性なのに、身体は男性なのだ。
「『身体の調子はどうだ?』と毎朝聞く父親は治療中の自分を気遣っていると知っている。ホルモン治療がなかなか効いてこないが、健康のためには量は増やせないという理屈ももちろんわかる。ホルモン治療のせいで食欲がなく体調が良くないので、いったん治療を見直してみるというのが、私の健康を考えてのことだということももちろん頭ではわかっている。でも、女性の身体になりたいんだ、だって私は女性なんだから! それよりも健康が先ということだって、もちろん頭ではわかる。でも心では、今すぐ、少しでも早く女性になりたい が何よりも先なんだー!」
口に出せば、そんな悲痛な叫びになるのだろうが、それを言ったからといって、何か起きるだろうか ?
「急いでもいいことはない」という医師や父親の声はわかる、その優しさもわかる。それに上のようなことを言って、何かいいことがあるか?
「身体の変化を急ぐよりも、今 青春を楽しみなさい」という声だってありがたい。父親の「好きな男の子はできたかい」の暖かさももちろんわかる。だけど、だけど…
家族も親戚も皆理解してくれている。やれることは全てやれている、この理想的な環境下での彼女のフラストレーションは、決してセリフにはできない。
先の「だけど、だけど…」の中の…は、映画を観て体験してください。悪い人や悪意は、全く出てこない映画です。だからこその、もどかしさを観て体験すべきだと思う。
自分はLGBTの理解には、まだまだと自覚するが、それだからこそ、この映画を観られて、本当によかった。
まるでザ・ノンフィクションを観ているかのよう
最低限のセリフ、最低限の音楽、最低限の情報で淡々と物事が進んでいく様はまるでドキュメンタリー番組のよう。
変わりたい自分、でも変わらない身体。そりゃあ焦るしもどかしいよね。しかもまだ子供な訳だし。
個人的にはララが行きずりの恋をしにいくシーンが切なかった。自分が女だということを感じたくて行ったのに、逆に自分の男性器の存在を強く認識することになってしまう。生理現象とはいえこれは辛すぎる…( ;꒳; )
唯一のストレス発散法だったバレエもできなくなっていよいよ追い詰められた彼女がとった行動は…あきらかに間違っていたけれど、それで自分が満足して前に進めるならいいと思う。特にこの年齢の頃って、自分がやりたいようにやる!ってのが強い指標だったりするから。
切なく、強く…
なかなか家族や周りの人にも
受けいられない苦しみから
始まることが多いパターンを
観てきましたが、
家族が既にララを全て受け入れている
冒頭から、始まりました。
誰より努力しても大好きなバレエでも
自分の立ち位置が掴めない。
彼との関係を一歩踏み出そうと
しても、最後に女性としての
プライドを傷つけられ、
理解あるお医者さん達に囲まれて
治療を進めていても、思うように
変わらない肉体…
そして受け入られているからこその、
強い孤独、葛藤、焦り。
美しいララがバレエを舞う姿で、
徐々に精神的に追い込まれる様子が
表現されて、胸を打ちます。
自分ではどうしようもない、
理不尽さに絶望感を覚え、
自分にしかわからない気持ちと
向き合い、深い孤独を
感じることは、ララに限らず生きて
いる中で誰でも経験することだと
思います。
明確な答えは
わかりませんでしたが、
ラストシーンで
颯爽と清々しく歩くララを見て、
自分らしく生きることの大切さを
教えてもらえた作品でした。
☆☆☆★★★ 《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解...
☆☆☆★★★
《彼女》の事は。父親を筆頭に、医師や学校等が全て理解し、協力をしてくれている。
そしてバレエ仲間も認めてくれている。
だけど…。
ララ本人の不安は尽きない。
心は女性、その見た目だけなら完璧。
だが、本人だけが知る。本物の女性へとなかなか近づいては行かない自らの身体。
その思いを増幅させるのが、(バレエを始めた時期の遅さから)技術的な遅れを取り戻せない焦りと、ホルモン治療への不信感がどうしても拭えない。
やがてその思いは。自身の心の乱れや、仲間達の心ない悪戯等を経て、焦りから【怖さ】へと変化して行き。その辺りからの、微妙に壊れ始めるララを、映画は繊細なタッチで見つめ続ける。
カメラは、ララの表情を絶えずバストショットで捉え続けるのだけど。その為に、バレエ場面等は彼女の一挙手一投足をつぶさに観察していて。彼女がターンを繰り返す毎に、心の揺らぎが伝わって来る。
何処か観ていて。ガラス細工や陶器製品等を扱っている時に。いつ落としてしまって割ってしまうか分からない、あの怖さの感覚が終始続いている…と言えるだろうか。
最後がやや曖昧に終わってしまうのが、ちょっと残念な感じでしたが。これは評価が高いのも頷ける秀作でした。
内容的には全く違うのだけれど。同じフランス映画の『水の中のつぼみ』とゆう作品を、ちょっとだけ思い出した。
2019年7月10日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1
トウシューズの痛み
凄い
生涯で最高傑作です!
各賞を総なめしたこの映画
バレリーナを目指すトランスジェンダーMtfの話です
実話ではありませんが、実際にあったダンサーにヒントを得た
とのことですから、世界は広し、やはりという思いで鑑賞しました
ネタばれになるので詳しくは書けませんが
とにかく圧倒されました
緻密で繊細で大胆で衝撃的
その機微にはいちいちがてんがいき
監督の思いと俳優さんたちの演技に感動しました
おそらく、論を何十回と学んでも、この映画にはたちゆかないと思います
機会があればぜひご覧ください
ベルギーの映画ですが、とても秀逸です
最近はインドの映画もがんばっていますね
未発達の女の子
「なりたかった自分になるのに遅すぎるということはありません」 by George Eliot (本名 Mary Ann)
ララに言って聞かせたいのは、この言葉。ジョージ・エリオットって女性なんですよね。名前だけでは判らないです。
愛すべき「ヘンタイ」の国、ベルギーの物語はイロイロとぶっ飛び過ぎてて。
16歳で医学治療を受けられるんだ。早。
逆ナンでXyz(詳細割愛)したりするんだ。早。
んでもってハサミでチョキ、と言うか、ザク。痛。
素敵な男性と巡り会えると良いですね、と言いたくなる、綺麗な女性になってるじゃないですか。良かったよ、全く。
なりたい自分、乙女の本能、バレーの夢、家族への思い。追い詰められる環境の中で、パニックになった少女。救いはVolvo V40が愛車なパパの包容力。これが日本人にできるかなぁ、と思いました。ホント、ベルギーって「愛すべきヘンタイの国」ですわ。
良い映画でした
思春期の女の子が孤独に葛藤する姿が辛く苦しい
なりたい自分との葛藤
ひとつだけ引っかかったこと
主人公の置かれている環境が100%アウェイかというとそうではなく、家族をはじめ学校関係においても結構周囲は理解者が多いにもかかわらず、それでも主人公は生きづらさを感じなければいけない部分が見ていてつらかった。
ていうか、思春期って残酷過ぎます。
それはさておき、映画そのものとはあまり関係ないことですが、ひとつ引っかかったことが、、、
というのは、主人公の父親。
というか、父親の職業。
タクシーの運転手という設定なんだけど、そこそこ部屋数のあるアパートの最上階に住んでるし、子供を国内有数のバレー学校に通わせてるし、学校以外にもバレーの個人レッスンも受けさせてるし、かといって寝ずに働いているわけではなく、子供の通院にはしょっちゅう付き添ってるし、恋人との時間もつくったりしている。
子供の手術費も結構なものだろうに、余裕はないかもしれないけど、かといってキュウキュウしている感じは全くない。
タクシーの運転手ってそんなに高収入なの?
というのが、気になって仕方がなかった。
作品には直接関係ないけどね。
苦しい
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