クマ・エロヒーム
劇場公開日 2018年12月22日
解説
第三者による卵子提供での出産成功と少子高齢化社会をテーマに描いた近未来SF。監督は、本作が劇場デビュー作品となる坂田貴大。主演は、高橋伴明監督の「赤い玉、」でデビューし、瀬々敬久監督の「菊とギロチン」などに出演した村上由規乃。宗教団体「ヤヌーカの丘」によって管理されているある惑星。教団は妊娠と出産を激しく推奨するが、エマとアユムに子どもが宿ることはなかった。2人はベビーカーに乗せられた赤ん坊の人形を子ども代わりにしていたが、アユムは子どもができない理由が自分にあることをわかっていた。エマ役を村上、アユム役をシガヤダイスケ監督の「春みたいだ」の古矢航之介がそれぞれ演じる。
2018年製作/76分/日本
スタッフ・キャスト
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2018年12月29日
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鑑賞方法:映画館
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ヘブライ語らしいのだが、ネット情報なので確認はしていない。ジャンルとしてはディストピア物という括りであろう。上映後の監督と書評家との会談での解説やキーワードなどでなんとか理解したかな位程、かなり解釈が難しい作品である。とかくプリクエルに聖書の一文を入れ込んでくる作品はその雰囲気に引っ張られてしまうことが殆どなので、ああいう効果はどうしたものかと思ったり思わなかったり・・・
違う惑星での話というのも、パソコンのモニターに映る内容で匂うのだが、そもそも粗筋を事前に読んでおかないと直ぐにはストーリーが飲み込めない。その割に、オリヅルラン等、なんとなくメタファーらしい小道具が出ては来てもそれは回収されず、心象映像のような引きの画角が、集中力を欠かせてしまう。
元々プロット自体は悪くはない。少子化問題に於いて、権力者がその対策に人工数の管理、強いては男女のマッチングを施行していくという内容は、古今東西、SFには枚挙に暇がない。それはこれが絶対正しいという答えがみつけられない、倫理観と理性との鬩ぎ合いに他ならないからだ。そこに苦しむ人間がフィーチャーされれば、ドラマが生まれることは必然である。
ただ、今作はそこに宗教という味付けを入れ込んでしまったため、整理が出来なくなってしまったのではないだろうか。
書評家の方が仰っていたキーワード『抑圧』、『清潔』、それに強迫観念や混沌が表現されるのに、あまり余計なものを落とし込まずにシンプルに表現してもよかったのではと思う。地球外が舞台であるとかもあまり本作の意味にはなっていない。
編集やストーリーの構築を再整理していけば面白い内容となるのではと思う。この内容にあれだけの数の子役を使うのもチャレンジングなことで評価に値する部分なので、スッキリとしたミニマルな展開が良かったのではと。
2018年12月26日
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