LORO 欲望のイタリア 劇場公開日:2019年11月15日
解説 「グレート・ビューティー 追憶のローマ」「グランドフィナーレ」などでおなじみのイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノ監督が、スキャンダル政治家として知られるイタリアの元首相シルビオ・ベルルスコーニをモデルに描いたドラマ。2006年、因縁の政敵であるロマーノ・プローディに敗北し失脚したベルルスコーニは、首相の座に返り咲くタイミングを虎視眈々と狙っていた。セクシーな美女たちを招き、贅を極めた酒池肉林のパーティで気力を高め、得意のセールストークを武器に足場を固めていく中、大スキャンダルがぼっ発。ベルルスコーニは政治家人生最大の危機に直面するが……。「修道士は沈黙する」「グレート・ビューティー 追憶のローマ」のイタリアの名優トニ・セルビッロがベルルスコーニ役を演じる。2018年・第31回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門では「彼ら」のタイトルで上映された。
2018年製作/157分/R15+/イタリア 原題:Loro 配給:トランスフォーマー
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2019年11月30日
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鑑賞方法:映画館
ソレンティーノ映画は「饗宴」という言葉が似合う。溢れる音楽と、終わらない祝祭。惜しげなくさらされる女性たちの肢体。が、どんなパーティも盛りを過ぎると、あとは陰りに向かって突き進むのみ。ソレンティーノは「祭りの後の寂しさ」を主人公の人生に重ね合わせ、永遠に続くかと思われていた栄華が一瞬の煌めきでしかないことを、大きなうねりのようなタッチでダイナミックに浮き彫りにする。その豪腕さが面白い。 悪名高きベルルスコーニをメインに据えた本作でもその趣向は健在だ。肝心の主人公がなかなか姿を現さないというトリッキーな構成に多少面食らいながらも、この男の怪物性は観客の期待を裏切らない。ただ政治劇があまりに早く移ろうので、初見では筋書きを掴みにくいきらいもある。その分、終盤の展開がかなり意外で見入ってしまった。恐らくソレンティーノが真に描きたかったのは、映画が一転して静謐さに包まれるこの部分だったのだろう。
2020年1月13日
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鑑賞方法:映画館
スキャンダルまみれのイタリア元首相を描いた作品ですが、理解し難い内容で淡々と時間だけが過ぎているように感じた。残念ながら期待外れで面白みに欠ける。 2020-8
2019年12月22日
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鑑賞方法:映画館
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いや、気のせいじゃ無く、最近あまりイタリア映画を見てない。 LOROの意味は、ここでは「They」だと解釈。つまりは、悪名高きベルルスコーニと、その周辺の人々を風刺的に描いた社会派ドラマな訳で。セックシーだけど不思議と全然エロくない美女達の扇情的なダンスを強調する予告に、騙された!って思うくらいに、途中の「人間ドラマ」はイタリア的です。 女とクスリを武器に、野心を持ってベルルスコーニに取り入る事を画策するセルジョ・モッラ。彼の策略の描写が「エロくないセクシー」パート。あ。エロくないと感じるのは、あくまでも俺の感性であって、見る人によってはエロエロかも知れませんから。オパーイをドヤ顔で晒されても、俺、全然嬉しくないんで。ちょっと脱線しましたが、ド派手なセクシーパートを過ぎると、妻ベロニカの愛を取り戻したいベルルスコーニのパートに入ります。このパートから、政治家としての原点であるセールスマンとしての自分自身の才覚に翳りが無い事を確認しようとするパートなどは、映画として見どころあります。ソレンティーノの本領発揮です。トニ・セルビッロの演技に圧倒されます。 最高のセールスマンの能力を最大限に発揮し、左翼陣営から6人を寝返りさせたベルルスコーニは議会での優位を逆転させ、首相の座に返り咲きます。まぁ、このくだりはグッダグダのエロおやじ振り全開。下衆下衆下衆っぷりを十分に描き切ってます。 情に脆い一面もあったと言われるベルルスコーニの姿も描かれてたりします。政治家としての才覚はさておき、思い切った大胆な施策を断行する度胸はあったベルルスコーニへの一定のリスペクトも感じられるとこは、実は、結構好き。 ラストは、地震(時期的にはラクイラ地震?)で半壊した教会からイエス像を救出した後、地面に疲弊した表情で座り込む消防隊員(?)の姿を、無言で映し出して終わります。良い事も悪いことも、たくさんあったベルルスコーニによる4次に亘る政権により国民は疲弊しきっている、って事なんかなぁ。なんて思いながら。 思った以上に良かった。 ちなみに、ベルルスコーニとACミランについて蛇足ながら補足。1986年にクラブを買収して会長の座についたベルルスコーニは、豊富な資金力で2チーム分の戦力を揃え、タイトなスケジュールを戦力ダウンせずに戦う「ターンオーバー制」を導入。同時に、伝説となったオランダトリオを補強し、翌'87-'88シーズンで、当時世界一のリーグと言われていたSERIE-Aを、僅か2敗で制します。セリエA3連覇、UEFAチャンピオンズリーグ5度の優勝は、ベルルスコーニの手腕によるところもあると言わざるを得ません。尚、彼は2017年4月に、ACミランを中国企業のコンソーシアムに売却しています。
2019年12月7日
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イタリア政界そのものに興味もなく、さらにベルルスコーニにも興味がなく。故にイタリア人向けに前提要件は熟知しているとの想定で作られた作品については「ついていけない」。しかも長い。多分にLa Dolce Vitaを意識しているのだろうし、そのあたりの目配せにも映画評論家たちは分析することが予測される。フェリーニという<呪縛>がイタリア映画にはあるからね。La grande bellezzaで詩的で官能的な映像を担当したルカ・ビガッツィが本作も撮影。