「大人のフランス恋愛映画。ミステリーでも喜劇でもなさそう」パリの恋人たち ピンクマティーニさんの映画レビュー(感想・評価)
大人のフランス恋愛映画。ミステリーでも喜劇でもなさそう
劇場で見ようかなと思いつつ見逃していた作品をDVDで鑑賞。予告編ではドロドロした恋愛劇を予想していたのですが、とっても軽やかな映画でした。
優柔不断な主人公が2人の女性の言動に翻弄され、子どもにも翻弄され、疑心暗鬼に陥ります。自分の住まいも持たないダメンズくんは2人のアパートを行ったり来たり。これは、ミステリアスで自分勝手な女性に翻弄されたいという監督の願望でしょうか? 子どもの言動も不気味で、ミステリーになっていくのかと思いきや、また女性が嘘をついているのかと思いきやはっきりせず、結局観客も登場人物に翻弄されながら、けむに巻かれたままエンディングを迎えるといういかにもフランスらしい映画でした。白黒はっきりつけすぎるアメリカ映画も余韻がなくてつまらないけど、こういうフランス映画もなんだかなぁ。まぁでも勧善懲悪ものではないし、それぞれの恋愛観や個人の自由は尊重されるべしというフランス流なのでしょうか。
フランス映画では女性は強気な発言や行動をしますが、実際はどうなのでしょう。意外と内面は傷つきやすく、一生懸命気を張っているようにも見えます。男性は浮気性(?)で、すぐに他の女性にふらついてしまうとも限らない。だから、あの手この手で繋ぎとめておかなくてはならないし、ときには自分が傷つく前に彼を振ってしまう、ということもあるかと思えました。愛は個人の自由だし、失くなってしまったら引き止めておくこともできない。だからこそ仕事を手放さず、経済的自立を得て、自分を守るのです。パパママとしてだけでなく、一生緊張感を持って男と女として生きていくのはしんどい面もあるでしょうが、それが一人一人の自由や独立性を守る大人の流儀なのでしょうね。