「中東の歴史とともに平和への願いを感じる」テルアビブ・オン・ファイア kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
中東の歴史とともに平和への願いを感じる
連ドラが徐々に変化していく様子は、まるで『ラジオの時間』。イスラエルの検問所にて青年サラームが人気メロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の脚本家だと嘘をついてしまったことから、イスラエルの検問所主任アッシからの要求が止まらなくなってしまう。
67年の第3次中東戦争前夜のメロドラマ。戦争や宗教の違いが枷となって恋愛劇がどう変化するのか。アラブ側のスパイとなったラヘルとイスラエルのイェフダ将軍。最初はパレスチナの闘士であるマルワンとの恋も考えられたのに、出番が少なく、スポンサーも要求を露わにするようになっていく。どちらの立場を優先しても両国で人気のあるドラマだけに後味が悪くなる。まさに板挟みの状態にあったサラームだったが、自らの恋する相手マリアムに使った言葉を脚本に入れたり、町で聴いた言葉を使ったり、見事に脚本家へと成長する。
アッシにしても、自分の予言した通りにドラマが展開するので家族の前でも鼻高々。マリアムもサラームの愛が感じられるようになり・・・と、映画そのものも平和的解決に向かう。異宗教での結婚観と戦争という背景もうまい具合に取り入れてあるけど、やっぱり基本は愛!ひとつのドラマが両国に平和をもたらせばいいな~という思いにかられてしまいます。
トランプ米大統領が17年にエルサレムをイスラエルの首都とするなんて宣言もあったけど、エルサレム問題は他国が押し付けるものであってはならない。映画では戦争などで瓦礫と化した地域や復興していない建物も映されていたし、今なお抗議活動が続いているんだと考えると胸が痛くなる。簡単には解決できないだろうけど、こうしたドラマや映画で両者が歩みよればいいなぁ・・・などと遠く離れた日本から考えてみた。