「ささえあいにひとひねり」アマンダと僕 aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
ささえあいにひとひねり
悲劇的な事件で、シングルマザーの姉を失ったダヴィッドと、残された娘のアマンダ。途方に暮れるふたりが支え合いながら、前を向く物語。もうこれだけでジーンと来る。
幼い子供が親と死別して…という設定で、昨年見た「悲しみに、こんにちは」を思い出した。そちらは両親が亡くなったところから話が始まっていて、引き取られた先で家族になっていく物語だった。こちらは前半、姉弟と姉娘の仲の良い平凡な暮らしを見せられた上で、急に姉が失われるので、より残された二人の喪失感が際立つ。感情的に塞いだり泣き叫ぶことはなく、ジッと堪える二人を見てると、なんとも言えない気持ちになる。突然大事な人を失い、7歳のアマンダはもちろんそうだけど、ダヴィッドだって24歳で、どうしたらいいかわからない。でも陽はまた昇り、日常の生活はしなければならない。
でも、ただ静かに耐えるだけの話ではなく、そこに2つの意外な取り合わせが、物語に深い味わいをもたらす。
1つ目が“Elvis has left the building”というワード。
直訳はプレスリーは、会場を出ました。コンサート後に、延々彼の再登場を待っている観客に、主催者が「もう待っても出てきませんよ」というメッセージを出したことが語源で、その意味は…。
そして、2つ目がテニス。唐突感満載だが、それは観てのお楽しみ。この、つながりの無い2つのキーワードが、物語のアクセントとなってこの作品を光り輝かせる。
ジーンという感動の涙しながら、鑑賞後の爽快感を味わえる。優等生的な良作とはこういう作品だ。
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