グリーンブックのレビュー・感想・評価
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変わっていく2人
正直ここまで面白いと思ってなかった。なんて言うんだろ、自分は差別は本当に嫌いでなんて綺麗子供を吐くが本当にその通りで正直警官を殴った時は最高の気分だったりもした。だが、それだけでは語れない変化がある。二人の関係を見るのがとても好きで続編なんてないんに期待してしまうくらい。なんていうんだろ、周りの差別に抗う姿だけがこの映画の良さだけでないと思う。言語化できるかわからないが、そうだな、とにかくジョークが面白い。コップ捨てるようなジョークだけでなく最後まで引っ張ったジョークだ。そして学ぶものもある。こんなに2人を見ていて楽しいことはないと思う。まじで。でも最後のクリスマスパーティにまで来ないでまたくるあの性格が変わらないのは本当にいいね!!
また、寂しかったら自分から動かなくちゃというセリフがとても好きだ。伝えなきゃわからないことは確かにある。それが怖くても伝え合い、すれ違いあい、それでも交わるものは交わるものだと思った
ただ、ただ、ただ素晴らしい!
2018年アカデミー賞作品賞受賞。監督は「メリーに首ったけ」のピーターファレリー。
とにかく会話にテンポとユーモアが混じり、見ていて楽しい。
黒人差別をテーマに現実を描きつつ、音楽も相まって重くなく軽やかに。それはコメディ出身監督の脚本の妙だろうか。
最後の「手紙ありがとう」で思わず拍手!
久しぶりにステキな作品に出会えたし、誰かに言いたくなる、また見たいなと思わせる作品でした。
ハートフルだけど、いろんな問題など考えさせれる映画
男2人で一緒にコンサートを回る旅路を描いた作品。
演奏は讃えられるけど、黒人差別は受ける。
不思議な感覚。
今の時代は薄れてきたけど、差別はしちゃダメだと思うことができる。
ケンタッキーを2人で食うシーンめっちゃ好き。
あとは、カティサークが飲みたくなる
タイトルなし(ネタバレ)
アイデンティティを考えさせられる一本。
途中、車が故障して修理している間、たまたま立ち止まったところが黒人だけが畑仕事をさせられている場所。
一人また一人と気づき、手を止めてじっとこちらをにらむように見てくるシーンは色々考えさせられるものがあった、
服装や身なりも違う、白人を運転手につけ、高そうなスーツで後部座席に乗っている、
柵1つ隔てただけで世界が全く違って見えるこのシーンは印象的だった
白人と黒人の友情ものの中でダントツトップに面白い
1960年代の人種隔離政策がまだまだ続くアメリカを舞台に、黒人ピアニストのドンと、そのドライバーを務めるイタリア系白人のトニーとのアメリカ南部のツアーを通しての友情物語。
金持ち白人が黒人を雇って云々な映画はよく見るけど、それが逆転した形。でもいちおう実話。
白人とはいえ、イタリア系アメリカ人も差別の対象になっているのが、さらに複雑な二人の関係性を作っている。また、全編にわたってコミカルなトニーと真面目なドントの掛け合いがギャップが大きくて面白い。一種のカルチャーギャップコメディのノリで楽しめる。
しかし一方で、当時のアメリカ、特に南部での黒人の扱いの現代とのギャップも感じられるし、現代にも通じる今なお続く差別の根深さも感じられる作品にもなっている。
ドンが、自分は黒人でも白人でも、男ですらない、自分は何者なんだ、というシーンもかなり印象的。
彼も壮絶な体験をしているのだ。
銃も実は持ってた。
手紙も実はバレてた。
という最後のオチも、とても面白かった。
旅のガイドブック
「黒人ドライバーのためのグリーンブック」、1930~60年代にかけてアメリカを旅する黒人のために発行されたガイドブック(黒人も泊まれる宿泊施設や車両整備を受けられる店を示したもの)
そんなんあるんだ、知らなかった。でもグリーンブックって語感がお洒落だな。
どんなふうに編集したんだろ、面白そう。
内容は主演二人の演技が素晴らしく、トニーの荒くれ者でガサツで下品な演技や、その対比のようなドクターの洗練された振る舞いが面白い。後半になるにつれ増してくトニーの愛嬌と魅力、二人の道中で培った友情に心温まる。
レトロな気持ちになれる街や店の風景も良かった。
シャーリーから手紙の指導を受けながら、天才ピアニストに流行りの曲について教えたりフライドチキンを勧めたりするシーンも、お互い持っていないものを与え与えられという友情が形になっていくのが見ていて良い。
●トニー
冒頭黒人が使ったグラスを捨ててしまう位の差別感覚を持つトニーが、道中では黒人の同労働階級者達といきなり賭け事を楽しんでいる(シャーリーの演奏に感動して目を覚ましたという風には見えない)、また自分と重なるはずの差別する人々にドクターを差別されたことで怒ってみせる。
差別していたはずの自分に向き合うこと無く、差別していたことについて強く衝突することも無いのは気になった。
最初は「差別をする人も愛する妻や子供、友人を持って生活する側面がある(それは黒人も同じなのに)」、「主人公はイタリア系で差別されることもままあるはずなのに、差別される側でも黒人差別をしていた」という要素を取り入れてトニーを描いているのかと思ったが、差別側としての立場トニーではなく、シャーリーの友人となる彼、というのが作中の立ち位置だろう。
もう少し差別した側としての葛藤を見たかった。トニーは自分勝手で粗野な人物なので、非常に正直にエゴや差別意識丸出しの心境を出して踏み込んでも批判されなかったと思う。
「よく耐えられるな、俺だったらあんな扱い受けたら~」の台詞にも驚いた。なんの悩みもなく黒人の受けた仕打ちを自分に置き換えてみせるのだ。トニーのキャラクターとしての魅力も好きな自分にはますます好きになれる部分なので不満はないが、黒人差別を思い起こすと強烈な違和感だろう。
トニーは金持ちに肩入れする立場になく(むしろ反感を覚える)、演奏会での富豪層側には共感できないというのもあろうが、差別していたトニーが罪悪感ないまま黒人側に立てるかというと疑問だ。
人種ではなく一個人としてシャーリーを見るようになったトニーというより、彼の粗野だけれども家族仲間を大切にする(だからシャーリーが黒人でも行動を共にしていくうち受け入れる)、という生来の気性があったという印象を受けた。
駆け足に仲良くなったなという感想だ。雰囲気は良いんだが、過程があまり見えない。なのにテンポは非常にゆっくりなのでちょっとダレた。
映画を見終わった印象では登場した黒人差別より、富裕層と貧困層の断絶の印象が強かった。「俺のほうがニグロだ」という台詞を白人のトニーが吐く。被差別の黒人でありながら同じ人種の人々とは暮らしも育ちも違うために混ざれない、しかし白人にも仲間に入れてもらえない孤独さを抱えるシャーリー。
ここが解決することはなかなか無いだろうと思う。貧しい側として描かれたバーや農園、モーテルで黒人たちがお遊びにシャーリーを誘うが断られる。唯一繋がったのは酒場の演奏だ。分かり合うなんてのは本当に遠い道なんだろう。
流石はアカデミー賞作品
特に引っかかるような所は無く、シンプルに良い映画でした。流石はアカデミー作品賞といったところか。
まず押さえておきたいのは、普通の人種差別のお話ではないというところ。LGBTのテーマも含んでいたりする。
テーマの中心にいるのは、天才的なピアニスト:ドクター。事実上VIPなのだが、肌の色が黒いだけで不当な扱いを受けてしまう。
それでも彼は、感情を押し殺して愛想良く黒人ピアニストを演じる。
もう一人の主人公であるイタリア人:トニーは、なかなかの黒人嫌い。黒人が使ったコップを捨てるくらいに嫌っている。
んでもって腕っぷしが強く、話が好きでデタラメをよく言う一方、家族想いで実は良い奴である。
この対極に居て相容れないような2人が旅をする中で、お互いを尊重するようになっていく。その様が愛おしく、とても清々しい。
トニーの奥さんがまた良い人で、この人には差別観は無くフラットな視点を持っている。人としても妻としても魅力的な女性だった。こんなお嫁さんと巡り会いたい。
イタリア人の株爆上げ映画です!w
そして何よりコレ、実話なのが更に素敵なのだ…!
異色のロードムービー
いわゆるロードムービーであるが、 普通のロードムービーは、出会った人たちのふれあいを楽しむ爽やかな映画が多いが、この映画ではアメリカ南部での黒人差別の非情な現実を知ることになる。
舞台となっているのはアメリカ南部で、まだまだ黒人差別が激しかった1962年のことである。黒人はホテルのレストランで食事ができなかったり、トイレも外でしかできなかったり、そもそも黒人と白人の泊まるホテルが別と言うところが多い。 この映画を見て初めて知ったのであるが、タイトルになっているグリーンブックとは黒人が泊まることができる宿泊施設がわるガイドブックのことである。
客観的に見れば 重いテーマで暗い映画になりがちであるが、主人公のキャラクターによって、どちらかと言うとコメディタッチの描写が多くて、結構楽しんでみることができた。
主人公の軽率な行動によって、 取り返しのつかない結末になってしまうような展開が多々あり心配したが、杞憂に過ぎなかった。
南部でパトカーに止められて悲惨な目にあった時に比べると、北部でまたパトカーに止められた時との警官の対応の違いが面白かった。この辺まで来ると、多分ハッピーエンド(クリスマスイブに家に帰れる)になるのだろうと想像できるので安心して見ることができた。
結局、黒人差別の問題が背景にはあるが、イタリア移民の主人公と、黒人のピアニストとの友情の物語であった。2019年アカデミー賞作品賞を受賞するに値する作品だ。
<その他>
・黒人のピアニストの方は、1日1本ウィスキーを飲むようであるが、飲み過ぎだ!でもなぜカティーサークなんだろう?ピアノもスタンウェイしか弾かないようだし、色々とこだわりがあるのだろうか?
・主人公の妻への手紙が彼の人柄が偲ばれ、いいアクセントになっている。途中からピアニストが文案を考えるが、結局妻は知っていたんですね、多分代筆2通目あたりからか?
人と人が仲良くなる方法が示されている。
◆ストーリー
実話。ナイトクラブで用心棒をしていたトニーはクラブの改装工事の為に職にあぶれてしまう。次の仕事探しで辿り着いたのは黒人ピアニストのドン・シャーリーの運転手であった。
舞台は1962年のアメリカ。人種差別が根強いかの時代、トニー自身も黒人をよく思っていない。ホワイトハウスでも演奏経験のあるドンはトニーとは品格が別物。相性最悪の2人のアメリカ中西部を巡る8週間もの旅が始まります。
◆良かったポイント①
映画『シェフ』では親子関係の修復の模様が丁寧に描かれていましたが、この作品では交友関係が描かれていました。相性最悪の2人が旅を通して苦楽を共にして心を通わせます。
当初トニーはドンをいけすかない黒人野郎と思っていましたが、旅先で彼の見事なピアノ演奏を見てからは黒人であるドンが旅の先々で差別、不当な扱い、白人からの暴力を受けると必死に守ろうとします。ピアニストとしての彼を認めたからだと思います。
一方ドンは内心トニーを荒々しい、趣味の合わない野蛮なやつだと思っていますが、ドライバー兼マネージャー業もしてくれる彼の仕事ぶりから認め始めます。酒場で白人グループから因縁をつけられた時も、警察が不当に差別してきた時もトニーは率先してドンの前に立ちます。いつもすました表情をしている彼が時折笑顔を見せるシーンには個人的にグッと来ました。
◆良かったポイント②
話の本筋とはちょっとズレるのですが、トニーは奥さんにお願いされて旅先から手紙を書きます。ある時ドンがトニーの手紙を見てあまりの稚拙な内容から手紙の書き方を指南します。それがとてもロマンチックな文章で手紙を受け取った奥さんは顔を赤らめ涙を浮かべて喜びます。ママ友たちにダンナからの手紙を読み上げて自慢するシーンもあります。
女性は自分に向けられた好意に敏感です。女性は恋愛から結婚のステージに入ると幻想モードから現実モードに切り替わる、と言われていますが、心ではずっといつまでも一人の女として見て欲しいんですね。
◆黒人差別の一端を見た!
黒人差別と言っても実際どのようなものがあったのか知りませんでしたが、こんなに酷い物とは。酒場に行けばいきなり白人に因縁をつけられるのも当たり前だし、ドンはホワイトハウスでの演奏経験がある程のピアニストですが旅先の演奏会場ではトイレが白人とは別、楽屋は物置スペース、本来ならVIP扱いのはずなのに白人と同じ場所で食事をさせてくれません。真面目な顔をしたホテルのウェイターが「あなたはここで食事が出来ません、しきたりなのです。ご理解下さい」と丁寧に断りを入れるシーンはゾッとします。それに警察官まで差別してきます。恐ろしい。
◆全然話変わってくるんですが
旅を通じて苦楽を共にして、互いの仕事を一生懸命こなし、同じものを食べて色んなものを共有する、そしてお互いを認めて、お互い尊敬する。人と人が心を通わせる方法の1つがこの作品で示されていました。
映画の内容とは話が変わってきますが社会での女性の扱いや、これからの男性の在り方などが論じられる時に結構一方向的だと思うんですよね。子供にとって良影響なのは母親からの母性と父親からの父性の両方を受け取る事だと思っています。これからの時代は片方が強くあるべき!とかではなく、本当に必要なのは男性と女性がお互いにリスペクトする事だと思います。トニーとドンのように。
タイトルなし(ネタバレ)
最近、ドンパチものばかり見てたのでちょっと一休み。
古いアメ車が好きなので、内容にはあまり期待してなかったけど、脚本がよかった。
イタリア系トニーのとぼけたキャラがいい。黒人音楽家シャリーもインテリ過ぎてない。
二人の会話も自己語りも、くどくなくバランスがいい。
クリスマスに家族、親戚で賑わう家に帰って、「ニガーとどうだった?」って聞く親戚に「ニガーはやめておけ」、トニーの奥さんがシャリーに「お手紙ありがとう」のシーンが最高!
近いうちに妻と見たいかな。
あ、手紙は書かないけどねw
Dignity Always Prevails. 千里の道も一歩から
黒人非差別を謳うような所謂なかつての作品とは、エピソードは似たり寄ったり。構図だけが逆。ミスデイジーのように、今までは、教養もお金もあるのが白人、差別されても忍耐があるのが黒人の構図だった。
本作は、教養もある豊かな黒人男性に、白人運転手がつかえる。日本人だと、アメリカの過去の歴史を知っているからその違和感に気付くだけで、それが快でも不快でもないが、本作のフライヤーも作中も、その写真を前面的に使っていて、アメリカの一般人からすればパッと見ただけで目を引く関係性なのだとわかる。例えば、犬が人を散歩させている写真くらいの違和感なのだろう。
でも、今作のその構図すらも、白人が作っているのならとてもシラけるが、実話に基づいていることで、入り込める。
仕事を求め何者を相手にする運転手の仕事かもわからず面談に行ったイタリア系アメリカ人のトニーが、雇い主となる黒人系のドクターシャーリーに出会う。ドクターシャーリーは実は他分野で博士号を沢山持つピアニストで、まだまだ黒人差別の残る時代にニューヨークからアメリカ南部を回る演奏旅行に出る。そのガードマンや運転手を兼ねた、トニーの仕事。
普通ならば、まっぴらごめんなのだろうが、トニー自身が白人と言えどもイタリア系で、黒人ほどではないにしても生粋の白人からは差別される対象でもあり、職業や経済的な水準も移民層にあたるから、お金のためにも不本意ながら引き受ける事になる。
黒人差別かと思いきや、白人内での差別も含まれていて、トニーがドクに理解を示せるのは同じ被差別の立場を味わっているものとして当然でもあるのだが、それでも、最初はイタリア系も黒人系には家に入る事さえ快く思わないほど。それが、お互いの境遇を理解し合い、傷の舐め合いに至り、深い友情と信頼関係を築き上げる話でもある。
正直、多様性をアピールしながらも、いまだに何かにつけて暗黙の序列を決めたがる白人は、一対一なら良くてもメジャーな価値観は本当に不愉快。今作を見て、先人達がしてした過去に落ち込むどころか、拍手して賞を授けようとするのは、作中で黒人音楽を理解するアピールのためにアーティストを呼ぶが、黒人そのものにはされたら嫌な態度でも平気で取る文化を当然とする姿勢と、現代もなんら変わらなく思える。
でも、口は悪いがハッタリと機転はきくトニーと、才能とお金はあるが性的マイノリティのハンディと寂しさを抱えたドクターシャーリーことドクの関係性は最強のふたりそのもので、見ていて面白さはある。
ドクはその時代にどこで育ったんだと不可思議に思うほど、言葉も綺麗で教養があり男性ながらお淑やか。
でもドクがそう振る舞う理由は、どこに行っても差別される黒人だからこそ、たとえ暴力に訴えても国全体が白人有利であり通らない。勝つための唯一の手段が品位で勝ることと考えているから。だから、何があっても態度を崩さないのだ。白人社会の中でも被差別地位に当たるイタリア系移民のトニーはカッとなったら手が出てしまうタイプだが、ドクがそれを諭し、マナーや文語を教え、繊細な速弾きをするドクは一見無敵。
ところが、ドクには疎遠になった兄しか家族がおらず、ドク自身はゲイ。それゆえいつもどこか孤独を顔に浮かべていて、1日にウイスキーを一本空けるほど飲んでしまう。黒人という理由で括られがちだが、奴隷のようにされる黒人達と、モーニングを着てピアノ弾きをするドクの立ち位置は差別を受けていてもまた少し社会的立ち位置が異なり、でも白人にも混ざれず、更にゲイでもあるドクには混ざれるコミュニティもないのだった。
なんでも口に出しストレートで配慮がない表現もするトニーとは真逆のドクだったが、お互いへの理解が進むうちに、「嫌だったら口に出せよ。寂しい時は自分から先に手を打て。」と言ったトニーの言葉を胸に、ツアーを終え、ニューヨークに帰宅し家でひとりぼっちになったクリスマスの夜、ドクはトニーの家のファミリーディナーに訪ねてくる。一対一では親しくなっても、公の場では疎外されるのが常識なのに、クリスマスに白人家庭を訪ねたらどうなるのか、想像に容易いからドクは一度は断った。どれだけの勇気を持って、壁を乗り越えるために訪ねてきたのか。そして、元々差別意識の薄いトニーの妻は温かく迎えるが、ドクに「素敵な手紙をありがとう」と言うところから、表面的な態度ではなく、心からドクそのものを歓迎しているとわかる。
本当だ。品位こそが唯一の方法であり、どんなに傷付いても品位しか見方を変えて貰える方法はないのだと実感する。そして、それでも貫いてきたドクがやっと、ひと家庭を変えることができた瞬間を見られて、見ていても嬉しさがこみあげると共に、それほどまで地道で長い道のりなのだと実感する。
差別に抵抗せず品位を保てど、人間なのだから毎回傷つく。それでも常に耐えて、態度を崩さない忍耐力は尊敬を超えるのだが、吐き出す場を持てていなかったドクにとって、トニーと知り合えたことは一生の財産だろう。
最初はトニーの周りも、自身たちもイタリア系でありながら、黒人をニガーニガーと呼び、汚らわしいかのように扱い、黒人が家に来たりなにかを触るのも良い顔をしないような、差別意識が当たり前に染み込んだ人達しかいなかった。
教養とは無縁だったトニーが、国内トップクラスのピアニストの音を知る機会を得て、更に価値観まで正してくれるドクと知り合えたのもまた大きな財産。クリスマスに、ドクがいない場面でも、帰宅したトニーは「ニガーはよせ」と言えている。作中、知らなかった田舎の風景の自然に癒されて「なんでも見てみるもんだな」と妻に手紙を書くトニー。その通りである。
最初こそドクに財布を取られないか警戒したりするトニーだったが、お給料のためもあるが何よりドクのために、ドクを守ってくれるトニーがドクはきっととても頼もしかっただろう。
家族持ちで家族を愛しているトニーはクリスマスに間に合うように家に帰りたい、その希望を叶えるため、豪雪の中運転を進めて眠くなったトニーの代わりに、最後にはドクが自らハンドルを握って運転し、トニーは後部座席で安心して眠る。
でも、劇中、お互いの価値観に相違はあるが、どちらも必要な場面が多数ありピンチを切り抜けていくのは見ていて楽しい。
・飲んだくれたドクをバーに迎えに行き喧嘩をふっかけられるが、ハッタリで銃を所持と思わせて事なきを得る。暴力で勝負するなと話したドクにトニーも理解をしていたが、現金を奪うために強盗されそうだった場面では拳銃のおかげで助かる。
まさか本当に拳銃所持だったとは。ハッタリで後ろのポケットに手を入れていた時は、実はポケットにあるのは黒人専用ホテルが記載されたグリーンブックだったりして笑、などと思っていたのに。
・嘘や買収を嫌うドクだが、ゲイとして警察に捕まったドクをトニーが迎えに行き、トニーが警察を話術で買収し揉み消してもらう。
・差別発言にカッときたトニーが警察を殴り、ドクもトニーも警察に収容されるが、不本意ながら普段は口聞きなど好まないドクが人脈を利用し大統領からトップダウンで警察に電話が行き、解放して貰う。
・立ち寄った土産物店で売り場から離れて地面に落ちていた緑の石、翡翠を落ちているしラッキーとトニーが盗み、ドクが断固譲らず戻しに行くが、最後にはドクがお守りがわりに翡翠を車のフロントガラスに置こうと言い出す。
・作中何度も警察沙汰になり白人が善悪まで取り仕切り黒人というだけであらぬ事でも悪いとされる場面を何度も見てきて、クリスマスに運転中もまた警察に車を止められる。トニーもドクも見ているこちらも「あぁまたか面倒な事になる」と思ったところで、「タイヤがパンクしていませんか?」と親切心とわかる。度重なる差別に憤ってきながらも、逆に白人を決めつけた自分を自覚し、思い込みは良くないと思わされる場面。
など。
産まれた時にはマイケルジャクソンがいて、60年代70年代の黒人音楽も好きで育った私は元々有色人種だし、白でも黒でも黄色でも、同じ人間同士にしか見えない。
本来ならただの、ピアニストと運転手の友情の話で、経済的な水準を信頼関係が乗り越えただけの話なのだが、人種差別という文化が背景にあるから一本の映画になり賞まで取るほど大きな話になる。それほどまでに根深い、差別の社会問題。
肌の色が違うから人間扱いしないという見方には理解に苦しむ。肌が黒いから動物とみなし、奴隷にする目的で黒人をアフリカから買ってきて、裸で鎖に繋いで船で輸送し、やりたくない仕事はなんでも押し付け、感謝どころかゴキブリかのように扱ってきた心境が未だ本当に理解できない。たとえ百歩譲って別の生き物かのように見えたとしても、顔を見れば感情があることくらいわかるだろう。嫌がることをさせて心が痛まない人達が大量にいる白人社会は理解に苦しむ。
同じ白人の中でも、ブランド青目は良し、アイルランド系イタリア系オランダ系など移民は下、ユダヤ系は嫌い、イギリスとアメリカは馬鹿にし合うなど、排他しそれも猿扱いするようなジョークを当然としていた過去の価値観は現代でもそう簡単には覆っていない。価値観が遅れていると思われないよう保身目的で、態度に出さなくなっただけ。奴隷はやめても、基本的に共和党は白人に優しいし、社会的な水準をひっくり返せている移民層が少ないことからも根深い。
理由なく長年ずっとずっと差別されてきた側も、白人からなにか指摘されると素直に受け取れず、根底に差別があるからではないかと白人を見てしまう逆差別の意識が芽生えてしまうのも仕方がないかなと思う。
トニーが俺はイタリア系だけど、全員ピザやパスタが好きだと思われてもいちいちなんとも思わないよと話す場面で、傷つき方は人によるかなと思うが、やはり揉め事でイタリア系をハーフニグロと罵られると、トニーも手が出る。
白人だって、白人だから人の気持ちがわからないんでしょと言われたら嫌なはず。
血の系統で、体格毛質や運動や音楽の才能はある程度分類できたりするが、人種に限らず誰と接する時も、「どうせ〇〇なんだから」と決めつけてはいけないし、決めつけられすぎて、「どうせ自分は〇〇だから」と理解されることを諦めてもいけない。
それを理解して、ずっと差別にも孤独にもひとりで耐えてきたドクが、終始品位のある佇まいは維持しながらも、自分から人の輪に入れていくようになる変化を、ライトゥーミーで刑事役、ハウスオブカードではフロントマンを務めていたマハーシャラアリが演じている。堂々としていてしなやかで、とても素敵。フライドチキンを初めて食べる場面でも、風呂上がりにクリームかなにかを塗る場面でも、ピアニスト役でも納得の細くすっとした綺麗な手がとても印象的。
「素敵な手紙をありがとう」と迎えるトニーの妻ドロリスに、満面の笑みで応えるラストシーンが大好きな作品。笑っていた方がさらに素敵。
ドクの運転にキュンと来る👍
こういう映画を見た時、一番なんで面白いのかが自分の中で
整理できない。でも、間違いなく面白いと思うのだ。
単純にアクションや恐怖シーンがあればわかりやすい。
だって、興奮したか?怖かったのか?感情のバロメーターが
振り切れれば映画としては成功だから。
当時のアメリカは今よりもっと差別の激しい時代。
育ちのいい黒人のドクと貧困層の品のないトニー。
たった80日のツアーなのに多くのトラブルに見舞われる。
トニーはお金はないけど愛する家庭がある反面、
ドクは孤独であった。トニーは乱暴ものではあるが本質的には
単純で良い人間である。元々黒人に偏見を持っていたトニーも
ドクと長い時間共にすることで簡単に友情が芽生えていく。
トニーは下町育ちの乱暴なテクニックで力づくで解決するのに対し
ドクは有力者に裏から手を回すところに二人を対比するギャップが面白かった。
クリスマスイブに間に合わせるためトニーの代わりにドクが運転するシーンなど
ドクの優しさやトニーに対する感謝の表れが見られ非常に心温まった。
また、トニーがドクをパーティに招待したのを一旦は断ったに関わらず、
再び舞い戻って来たのは、やっぱり家族愛に飢えていたのだろう、
非常にキュートに思えた。
過剰な演出や展開もないが二人が徐々に心を交わしていく様子が
丁寧に描かれていてとても良い作品だと思った。
これ、最強のふたりと通じるものがあるよね。
これも実話を元にしてるんでしょ?
こんな素敵な出会いってあるんだなー👍
ティッツ・バーグは巨乳の町ww
何でもっと早く観ておかなかったんだ!
というくらい心に沁みる実話でした。この作品を観なければ『グリーンブック📖』の存在も知りませんでしたし、改めて人種差別 LGBTQを同じ人間として受け入れられない世界の残念な歴史は観ていて辛かった。。。
それでも、ちゃんと幸せな笑える場面もあって、『最強のふたり』『大災難PTA』を思い出したり… 感謝祭やクリスマスに家族の元へ帰る文化っていいな…。
終始、不穏な空気を漂わせるのですが、想像を超えた事態にはならず…… ノミの心臓にはやさしかったです。
シャーリーがゲイの関係でトニーに助けてもらった後にシャーリーが「昨夜は悪かった」と謝るシーン
"「気にすんな、この世は複雑だ」" とトニー
この言葉が全てだと思いました。以上です!
2人の友情に感動
人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、第91回アカデミー作品賞を受賞したドラマとのこと。
当初「グリーンブック」とは何かわからなかったが、黒人用旅行ガイドであることを知り、そこまで人種差別がひどかったのかと思ってしまった。
あらすじ
1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていた。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われることになる。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。初めは、何かと衝突していた2人だが、次第に心を通わせていく。そして、生涯の友として過ごすことになるのだった。
この映画で思ったことは、人種差別のひどさであった。最後のコンサートツアーのホテルにて「VIPの待遇で」と言われながらも、ホテルのレストランで食事をさせてもらえないことやスーツの試着を断られるなどひどい仕打ちである。しかし、それにめげずシャーリーは前向きに生きていく。そして、クリスマスイブに間に合わせようと疲れているトニーを気遣い、車を運転し、シャーリーを家まで送っていく。「トニーから家によって行きな」といわれながら一度は断る。しかし、トニー家を訪れ、トニーの妻から大歓迎を受ける。
友情がなければ、このようなことは起こっていないだろうと思う。
タイトルなし(ネタバレ)
南部でピアノの演奏をする旅。
2人の車での旅、その道中の揉め事や会話で当時のことがわかる。
笑いあり、憤りあり、最後の方は感動もした。
南部の人はそう簡単には変わらなくて偏見は根深い、でもドクと過ごしてるうちにトニーは変わった。
ドクもまたトニーといて変わった。
グリーンブックというのを知らなかった。
視聴後に心が温まる作品
映画館の予告で見たときは「人種差別がテーマ」でよくある感動系作品だろうな、と気にしていなかったです。
オススメする人が多かったので、重い腰を上げてやっと見ました。
そうしたら、自分が思い描いてた作品とは全然違って、すごく良かったです。
①人種差別はテーマじゃなく、作品の年代の当たり前を描いている
②主人公2人の凸凹な設定が多種多様にあることに気づく
ストーリーが進むにつれて、黒人、白人だけじゃなく性格や教育水準など
③コメディな演出が多くて、退屈しない
本当のテーマは、アイデンティや少数派の孤独です。
そんな人生の中に、信頼できる友人が見つかる嬉しさ、
その家族の中に迎えられる温かさがこの作品のポイントです。
視聴したあとに心が温まりました。
慣習的な黒人差別
奴隷制が無くなっても、人々には思想的あるいは慣習的な黒人差別が根強く残っていることがよくわかる映画であった。
トニー・リップが旅で出くわす様々な黒人差別に対して抗議したり話術で巧みに解決しようとする場面は気持ち良く見ることができた。
黒人差別を扱う映画にしては珍しくハッピーエンドで終わるため、ほっこりした気分になれる。
差別という名前自体の意味を考える
黒人差別のテーマかな?と思ってみたら思いの外にテーマが深かった…
黒人で、ゲイで、黒人なのにソフィスティケイトされた天才ピアニストはどこにも居場所を感じていない
イタリア系で荒っぽくて学のないリップは家族や仲間を大事にしているが仕事がない
お互いにお互いを人間としてみた時、おっさん同士の友情が生まれていてぐっとくる
才能もあって悪い奴じゃないのにどうして不当な扱いなんだろう…という疑問を感じる自体リップはすごいいい奴だと思う
何がいいってヴィゴモーテンセンがすごくいい
とにかくこんなにいい役者だったとは…
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