劇場公開日 2019年3月1日

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「差別の時代を走る二人の旅路」グリーンブック rossiさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 差別の時代を走る二人の旅路

2025年11月25日
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鑑賞方法:VOD

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笑える

差別という重いテーマを軸にしながらも、物語の中心にあるのは不器用な友情の芽生えだ。
アングロサクソン社会の中で最下層と見なされてきたイタリア系の用心棒トニーと、卓越した才能を持ちながらも黒人であるがゆえに居場所を奪われ続けてきたピアニスト、ドクター・シャーリー。
生まれも価値観も立場も正反対の二人が、旅を通して少しずつ距離を縮めていく過程は、観ていて自然と頬が緩む。

特に印象的なのは、「スタインウェイでしか演奏しない」という強いこだわりを持つシャーリーが、トニーの勧めでバーのピアノに向かい、上流階級ではない黒人客の前で楽しそうに演奏する場面だ。
それは彼が自分の殻を破り、他者と向き合う覚悟を決めた瞬間でもある。
人と信頼関係を築くためには、相手に理解を求めるだけでなく、自分自身もまた変わる必要がある——そのことを、このシーンは静かに、しかし強く教えてくれる。

重苦しくなりがちなテーマを扱いながらも、温かさとユーモアを失わない。
『グリーンブック』は、違いを乗り越えることの難しさと尊さを、肩肘張らずに伝えてくれる良作だ。

rossi
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