「『グリーンブック』── イタリア系の不良トニー・リップと、知性と誇...」グリーンブック てつじんさんの映画レビュー(感想・評価)
『グリーンブック』── イタリア系の不良トニー・リップと、知性と誇...
『グリーンブック』──
イタリア系の不良トニー・リップと、知性と誇りを胸に生きる黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーのふたりが奏でる、まるで人生という名の“ロード・ジャズ”。
この映画は、派手な演出こそないけれど、静かに心に触れてくる場面の連続で、気づけば何度も胸を打たれていました。
トニーの人間臭さと不器用な優しさ、そしてドクの孤独と苦悩。その対比が見事で、ふたりの距離が縮まるたびに、こちらの心も温かくなっていきます。
とくに印象に残ったのは、ドクがジャズを演奏するシーン。彼の音に込められた葛藤と誇りが垣間見れて、胸がぎゅっと締めつけられた。
あの時代、黒人として生きることの重さ、そして自分らしく在ることの難しさ──その現実を、美しくも切実に描いています。
芸術的な余韻に浸れる一本。
観終わったあと、心が少しだけ優しくなれました。
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