「差別打破へ女性への期待が込められたラストシーンか…」グリーンブック KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
差別打破へ女性への期待が込められたラストシーンか…
以前、やはりTVで観たが、
民放の短縮版だったような記憶がある。
その時の私の感性が低下していたのか、
そうではなかったのかは分からないが、
当時は余り感情移入出来なく、
短縮化に罪深く無理栗な編集があったものと
勝手に思い込むほどの今回の鑑賞になった。
結果として、
アカデミー作品賞他の受賞や
キネマ旬報第5位(読者選考第2位)の
評価に値する名作と納得出来た。
この作品は1962年の物語。
1964年の公民権法成立前で、
白人黒人二人の立場のひっくり返り以外は
従前からの差別環境そのもので、
二人の世間から浮いた感じは如実だ。
黒人ピアニストは仕事を通じて
古い差別慣習の打破を目指しながらも、
一徹さだけでは済まない現実的な対応も
あり得ることを知り、
己の孤独心も雇われ白人と
彼の家族の存在に癒やされるようになる。
一方、雇われ白人は
黒人の人間性と
彼の差別環境を目の当たりにして、
己の偏見を正し、彼を己の家族に招き入れる
ことに幸福感まで抱くようになる。
主役の二人のお互いに良い刺激を与え合い
成長する姿は、
心理学者の島崎敏樹さんの
“愛とはお互いの人格を高め合う行為”
との言葉を思い出す。
また、直前にヴィスコンティの「家族の肖像」
を観たが、“孤独と家族への想い”の観点では
同じテーマ性も感じた。
ラストシーンの印象深い名画も数多いが、
この作品も見事だった。
黒人ピアニストを抱擁しながら、
夫からの手紙が彼の作文と見抜いていた
雇われ白人の妻が
「手紙をありがとう」と囁くラストは、
女性の洞察力の鋭さを示すだけではなく、
肌の色の違いを乗り越える見識を持った存在
であることを示唆しているようで、
差別打破への監督の期待が込められた
見事な描写に思えた。
こんばんは。
私、現在、私の本作レビューを新観点で書き直し中です。
4月21には、現在のレビューを削除して投稿予定です。
拝読頂いて、再共感して頂けるのであれば共感点をお願いします。
ー以上ー