「奇妙な二人」グリーンブック odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
奇妙な二人
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1962年と言えばNASAでの黒人女性の活躍を描いた映画「ドリーム」と同じ時代背景なので察しはついた。人種偏見を扱った映画は多いので不謹慎ながら食傷気味になっていた。
確かにそういった範疇ではあるものの、むしろ人種問題や雇用関係を超えた二人の魂の化学反応を愉しむ趣向に仕上がっていてうれしい誤算だった。
そういえば「ロッキー」もイタリア系と黒人チャンプの炎の友情だった、アメリカではイタリア系移民も下に見られていたので黒人蔑視はあながち他人ごとではなかったのかもしれない。
普通なら交わることの稀な二人が出会い相互に感化されてゆく話は「最強のふたり」と似ているが貧しい側の筈の黒人がVIPというのは予想外だった、その辺が映画化への弾みだったかもしれない。
エピソードの選択と配列も巧み、程よいユーモアも和みを加え、音楽が人の心を開くという展開も見事でした。社会派ドラマと気負わずに奇妙な二人のロードムビー、ゴールが雪のクリスマスイブ、かかるBGMがシナトラのHave yourself a merry little Christmasというベタな演出も微笑ましい、素敵な音楽と共に楽しめる良作でした。
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