「観たばかりだけどもう一度観たい」グリーンブック モグワイさんの映画レビュー(感想・評価)
観たばかりだけどもう一度観たい
この映画に出てくるバディは、バディムービー史上かつてないほど凸凹の差が大きいコンビで、しかしそれを補いつつ、リスペクトしつつ関係を築いていく様子が、素直に良かった。
タイトルのわりに、この作品の中ではグリーンブックについて深く掘り下げたりしないが、そのようなガイドが存在し、必要だった、というだけで、充分ショッキングであった。
それと、ドクターの発した、「教養人ぶるために黒人の演奏を聴きにくる白人というセリフが、手厳しいけど、すごく良く分かりすぎてツラかった。
誰も本当に自分の演奏を聴きたくて聴きに来てるわけじゃない、そういうテイが欲しいだけ、というツラさにも共感したし、昨今のLGBTとかパラアスリートを取り巻く状況にも通じる所があって、ツラいです、、。
たとえ理解ある“フリ”だとしても、しないよりはマシなのか?
それは誠実じゃないから悪なのか?
じゃあ、そうと分かってそれに乗っかっている本人は…?
…いつの時代も答えの出ない問いです。
ヴィゴ・モーテンセンが、誰これ??レベルのキャラチェンを果たしていて、そのレンジの広さに猛烈にファンになった。オスカー獲って欲しかった。(けど相手がボラプのラミ・マレックならどうしようもない…)
コメディー的な間も素晴らしく、編集の良さもあるとは思うが、ケンタッキー州でのくだりは最高だった。🍗
ヴィゴの今後は追っていくことに決定。
人種問題を扱った映画としては、笑いがふんだんに盛り込まれていて軽く見えたり、2人がうまく行きすぎのようにも見えるかも知れないが、実話なのだからしょうがない。
気づきもあり、考えさせられもするが、幸せな気持ちになれる作品だった。
残念に思った点としては、音楽が時々スタートが早すぎて、直後の展開が読め読めになってしまう所があった。ベタを狙っての手法としてはあるのかも知れないが、おかげで時々興ざめしてしまった。
後から知ったけどピーター・ファレリー監督は『メリーに首ったけ』の監督だった。あの作品では死ぬほど笑わせてもらった。
とはいえ、『グリーンブック』という人種問題を扱った作品を作るのに、ピーター・ファレリー監督が最適だったのか私にはよく分からない。もっと良く作れた監督もいたかも知れないし、いなかったかも知れない。
でも他の監督であれば、このように軽妙でキャッチーなものにはなってなかっただろうと思う。好みの分かれるところかも知れない。
余談だけど、グリーンブックを作った人(グリーンさん)の物語もきっと様々な山あり谷ありだったことが想像できるので、映画になったら良いのではないかと思った。
さらにどうでもいい余談だが、訳が戸田奈津子さんだったのだけど、油断したころにお約束の「〜なので?」が出てきて噴きそうになった。そんな戸田さんが好きです。