劇場公開日 2019年3月1日

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「黒人差別の理解への教科書」グリーンブック takaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0黒人差別の理解への教科書

2019年3月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

1962年、クラシック演奏者のピアニストの
シャーリーがアメリカ南部のツアーに行くにあたり
問題解決能力の高さに定評のあるトニーを雇うことになる。

品位のあるシャーリーに反し
学はなくすぐに手の出るイタリア系白人のトニーの
二人の駆け引きが楽しめるロードムービー。

時代背景には黒人差別の根強い南部のしきたりを
頭に入れておく理解度が必要である。

南部で栄えた経済は黒人奴隷による棉花などの
栽培が主流であり、南北戦争の末に黒人解放に向かうも
白人と黒人が混じり合うことは決してなかった。

「大統領の執事の涙」「グローリー・明日への行進」など
鑑賞前に見ていただくとより深く鑑賞できるでしょう。

物語上でもトイレや食事のする場所は完全に分けられており
招かれた会場で演奏は許されていても、
レストランで食事することは許されない。

最後に訪れる地、アラバマ州ではKKK発祥の地でもあり
聖母マリアと産まれたばかりのキリストの像も
髪は金髪で青い瞳の白人を表現している。
(当時のあの地でキリストが典型的白人であることはない)

時代は50年ほど前の物語ではあるものの、いまだに
アメリカで抱える一つの大きな問題がテーマです。

これから育つ若い子供たちにはこのグリーンブックを
差別社会の理解を得るための教科書として観て欲しい映画だと思う。

taka