長いお別れのレビュー・感想・評価
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認知症の家族が受け入れるひとつの幸せ、ユーモアと涙を誘う暖かい作品
正直、泣きっぱなしになるかと思っていたのだが、ちゃんと笑わせてもらった。認知症を患った父とその家族を描く、優しくて暖かい物語。
認知症という、現代では切っても切り離せないテーマで、認知症の父の7年間の"長いお別れ"を描く。父は記憶を無くしていくのに、どこか家族を明るく、いい方向に連れて行ってくれるような暖かみがする。中でも、メリーゴーランドのシーンはずるい。若かりし頃の記憶だけが残る父の求めていたものが分かったとき、ウルウルと涙腺を刺激してくる。また、『上を向いて歩こう』も作品のエッセンスとして涙を誘う。また、主演が「誰って決まっているわけではない」のがいい。ギューッと誰かをしたくなるような暖かさがユーモアのひとさじとして効いている。
何やかんや『浅田家!』も『湯を沸かすほどの熱い愛』も観れていない。中野量太監督の得意とする、人間関係を上手く描きながら感動の大団円を導くスタイル。また時間があれば、他の作品も観てみたい。
長いお別れの始まりが来る前に
観て良かったです。観る前は、重そう・悲しそうというイメージがありましたが、そんな事は無かったです。愛情に溢れていて、親や家族や自分自身の生き方が愛おしく思えるような映画でした。
私の親も今は元気ですが、昔と比べるとやはり年をとったなぁと感じる事もあります。仕事の事や自分自身の将来の事とか考え出せば不安は尽きませんが、その上親までどうにかなってしまったら、、、と思うと気が重くなるばかりです。
この映画に出てくる二人の娘もやはりそうです。長女は夫や年頃の息子との関係に不安を抱えつつも、慣れない海外暮らしでどこに気持ちをぶつけたらよいのかわからない状態。次女はカフェをやりたいという夢はあるけど現実は厳しく、恋人にも裏切られ放心状態。そんな中、父の認知症は少しずつ、そして確実に進んでいきます。
頼もしかった父がどんどん遠くなっていく。そばで献身的に支える母も体調を崩す。この先どうしたらよいのか。施設へ入れた方がいいのか。自分達はどこまで父母を助けられるか。色々な不安が伝わってきます。
でも、この映画が素敵だと思ったのは、そんな娘二人が認知症の父と接する事によって、昔の思い出がよみがえり、父の愛や家族の絆を再認識できた所です。人生上手くいかない事ばかりで疲れ切っていた心が温かくほぐれていく様子に惹き込まれました。
現実の介護では愛情とか思い出とか言う余裕は無いと思います。でも、将来自分が実際に介護をする立場になった時、この映画を観ていたのと観ていないのとでは、気持ちの土台となる部分が違うだろうなと感じました。現実の介護はこの映画みたいに美しいものではなく、汚いもの・臭いものを見たり触れたりするだけではなく、お金や時間の問題、家族同士の対立等、生半可なものではないと思います。でも自分の心の底にある愛情を感じる事ができれば何とか乗り越えられるのではないかとも思えてきます。
今までの自分を振り返ってみると、父母に対し、雑に接したり、生活面で甘えたりしてしまっていました。親の将来のいつかを心配するよりも先に、まず自分自身が精神的に自立し、長いお別れの始まりが来る前に、少しでも多くの感謝を伝えられたらと思いました。
きれいな映画
なにの前知識もなく、
たまたま誤ってクリックされて再生されたのを観賞
ストーリー、役者、テンポ、描き方、
どれも良かった
すごくフィクションで、すごくノンフィクション
介護疲れや忘れられる悲しさ寂しさ、
お金の問題や諸々現実的な重さは描かれない。
唯一スーパーでの一件では社会の当たりが強いけど
(これはこれであまりに店側の対応が非道で
リアリティがない)、
基本的に優しくてきれいな世界。
でも蒼井優周りだけは結構現実的だったように思う。
恋愛や仕事、人生に対する考え方や行動の仕方も、
普段のさりげない立ち振る舞いも、
末っ子!ていう感じだった。
要領の良さ、人間らしい狡猾さ、感受性の高さ、
無邪気でいつまでも残ってる子供っぽさ。
延命治療の説明時に診察の簡易ベッドに座るところは
特にらしさが現れてるな、と思った。
認知症の映画、と思って観たら
物足りないかもしれないし、
今実際介護をしてる家族として観たら
こんなの作り物すぎる、
って不快になるかもしれないけど。
心が洗い流される、とかそんな大げさなものではなく、
家の湯船に浸かってひと息ついたときみたいな
束の間いろんなものから解放される
きれいさがあった。
竹内結子の演技は相変わらず竹内結子だったけど、
現実世界の竹内結子のことを想うと
あの泣きの演技も微笑ましく、悲しく、
あれはあれでスパイスに思えて。
ただ息子役の子だけは残念だった、、
期待の子役、若手、って雰囲気の演技だったけど、
演技がいかにも過ぎて。
ああいう役は逆に素人っぽいというか、
素でちょっとやんちゃしてるジャニーズみたいなのが
良かったんじゃないかと思った。
蒼井優さん、素晴らしいです!
一昨年のこの作品。録画して観よう観ようと思いながら2時間超の長さについつい後回しになってましたが、昨日一年前の『ロマンスドール』を観て今更ながら蒼井優さんの演技に感銘を受けたため、今週末は蒼井優デーということで腰を据えて鑑賞しました。
基本的に俗に言う『家族映画』のカテゴリーが好きなんだって改めて確信しました。是枝監督作品も好きですし、小説でいえば『重松清』さんの原作や『森浩美』さんの作品はほとんど読みあさってます。
山崎努さん、松原智恵子さん、竹内結子さん、蒼井優さん、間違えようのない俳優陣で安心して観られ時間を感じさせない素敵な映画でした。
『家族』って何だろう、色々悩んだ時のよりどころなのかな?って思いました。(それだけじゃないと思いますが…)
山崎さんは言うまでもなく、やはり蒼井優さんを軸に語られる物語なんだな、って思いました。素晴らしい女優さんですね。
竹内さんの家族は旦那さんはじめ色々問題ありですが、PC越しに手を挙げる孫と祖父、どんな状況でも空港に迎えに行くと宣言する夫に安堵感を覚えました。
最後のジャガイモも素敵なエピソードでしたね。長寿大国、日本人がこれから誰もが直面するであろうを描いた題材でしたが楽しく、ほっこりして観られてよかったです。
それにしても竹内結子さんは残念で仕方ありません。
しみじみ。山﨑努の素晴らしい演技。
前作と比較してしまうと……
家族すべての出来事がおじいちゃんの認知症に
紐付けられているような描き方だが、
そんなことないだろ。
あと無理な(無駄な)伏線しかない。本当に。
作品を通して、キャラに一貫性がないとすら思える。
あと、こちらとしては全く感情が動いていないシーンでも、感動的なピアノのメロディが流れること。
あんな押し付けってあるんですね。
蒼井優に限っては、
本当に日本映画界ナンバーワンといっても
いいくらいには素晴らしい女優さんですね。
あの涙出そうで出ない演技とか、
「お父さん、笑ってる!」の演技とか、
誰があんな自然にできますかね。
追記
これ、実は祖父の意思が家族に伝わらないまま、「これが好きなはず」「こうしてあげたほうがいい」と無理矢理に押し付けられてる作品なんじゃないかっていう、レビューを見ました。
果たしてそうなのかな。それだとしたらすごく深いのだけど、あの演出的にそんなことないような…。
長いお別れ
さぁ~帰らなくちゃ。
母は偉大
遊園地からの始まり中盤に繋がるのが好きでした。
悲しいお話かなと思いきや、結構声出して笑って
ふとホロリとなったりじんわり温かくなったり。
どのシーンの、どの人物にも感情移入できる邦画の良さがある作品でした。
記憶をどんどん無くすけど、あの頃に突然戻してくれるお父さんに家族はどれほど救われたことか。
でも1番はお母さん。
このおっとりと、優しさと強かさにこの家族は支えられている気がしました。
このお母さんなくして、この素敵な家族は無いと思います。
3.11を絡めても上手く話をまとめていた良作だと思いました。
ふみのような誰とも繋がらないような孤独を感じた人も沢山いたはず。
出演者が皆さん本当によかったです。
蒼井優さん、改めて素晴らしい女優さんだなと思いました。
夫婦について
良い映画
竹内の裕子ちゃんが亡くなって、一本彼女の映画観ようかな、と。蒼井優、山崎努、松原千恵子(感心!)、北村有起哉の達者たちに囲まれても存在感抜群!それも本当にナチュラル。つくづく惜しいです。。。
終始重い
認知症の父親と家族模様
一気にリアリティが失せるところが残念
辛口でごめんなさい。私には演出過多に感じました。
もっと観客を信じていいのに。
行間でわかるのに、もったいない。
最後に危篤の父さんのために病室で誕生日会をします、がそこのところ。お父さんにパーティ帽子を被せようとベット上で引き摺って。まるでbody(死体)モノを扱うかのような。あれでリアリティが一気に失せた。
あれは心情的に、死に際の父親に絶対できない。
ユーモアでもってリアリティを見せようという意図はわかる。リアル過ぎてコントになるのは現実でもよくあるので、そこを拾えるかどうかが、別れ道だと思うのです。でもあざと過ぎた。やらせ感で、しらけてしまった。そこだけが記憶に残って、他が消えてしまった。
妻役の松原さん、今回はこの方が肝でした。この頼りなさげなお母さんが、天然で、でもこの人の無垢な感じが家族を繋いでいます(本当は芯が強い、映画の最後にそれがわかる一言)。名演。
だからとっても残念に感じた。
監督の「湯を沸かす〜」の時も同様で、
最後にタイトルがダーンと出てきて煙突から赤い煙がもくもく...せっかく宮沢りえさんの迫真の演技が..台無し...
一気にああ、そう、作り話を見ていたんだった、うっかり本気にしてたわー、といきなり現実にもどらされた。全編見て、あそこしか記憶に残らない。他がかき消されてしまう。
これはこの監督のクセ?確信犯ですね。
若さゆえ、かな。自分の色を出さずにはいられない。
そんなことしなくても、充分わかりやすいのに。
すごく美味しくできた料理に、最後にいつもおさえで「味の素」かけちゃう、そういう感じ。
要らないのに!残念。
タイトルと俳優陣が良い
私の父も70超えているので、ちょくちょく想像しては苦しくなるけど。
思っていたほど、認知症をガッツリ真正面から、という作品ではなかった。
長女の、自身の家族との関係性や、次女の葛藤が描かれていたり、母(妻)も、介護で疲れておかしくなって…みたいな話ではなかった。
なので、鑑賞後「え…っと…?」と思った。が、泣けはする。
竹内結子と蒼井優の姉妹は最高だし、終盤で北村有起哉さんがポストにぶつかるシーンはたまたま起こったことをそのまま使ったんだろうなぁとほっこりしたりして、まぁ、うん…そんな感じです。
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