劇場公開日 2019年12月27日

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「過去作の名シーンが感慨深い最新作」男はつらいよ お帰り 寅さん みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0過去作の名シーンが感慨深い最新作

2022年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

また寅さんに会えるとは思ってもみなかった。本作はシリーズ50作目であり、過去作の名場面を巧みに散りばめているので、可笑しさ、懐かしさ、寂しさなど、様々な感情が交錯してきて、感慨深いものがある。改めて、男はつらいよシリーズが日本喜劇映画の傑作であることを再認識できる作品である。

寅さんこと車寅次郎(渥美清)の甥である諏訪満男(吉岡秀隆)は、遅咲きの小説家になっていた。亡妻の7回忌法要後、彼が執筆した小説のサイン会で、偶然、初恋の相手だった泉(後藤久美子)と久々に再会する。二人は、恋人時代のことを思い出しながら、次第に、親密さを取り戻していく・・・。

本作は、満男と泉の過去と現在の心情を過去作の名シーンを交えて綴っていく。リアルタイムで鑑賞していた時にはあまり感じなかったが、久し振りに過去作のシーンを観ると、寅さんの妹役の倍賞千恵子、シリーズを彩ってきたマドン役の女優陣の若々しさと美しさ、登場するシーンの活気、熱気に圧倒される。渥美清の大真面目な演技と、彼を取り巻く演者達との絡み合いが絶妙であり、今観ても素直に笑える。面白い。勢いのある喜劇であり完成度が高い。人気シリーズとして50作も製作された理由が納得できる。

そんな過去作シーンを活かした、満男と泉の物語が味わい深い。互いに結婚して家庭を持つ身となった二人の心情が丁寧に描かれている。さらに、現在の国際情勢、介護問題などもしっかり取り込んでいるので説得力があり、感情移入し易い。ラストシーンは切なく、心に沁み渡る。

エンドロールで流れる主題歌。オープニングは桑田佳祐だったが、ここでは、渥美清の歌声。メロディ、歌詞、そして渥美清の歌声。三つが揃うと、今まで観てきたシリーズ作品が走馬灯のように次々と浮かんでくる。主題歌に作品が凝縮されている。やはり、男はつらいよシリーズは、稀代の喜劇役者・渥美清が生み出した唯一無二の傑作であることを強く感じた。

みかずき
KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2022年10月9日

 みかずきさんへ
「♥共感」ありがとうございました。
マドンナの回想シーンとエンドロールの
寅さん本人の歌には涙、涙でした。
因みに小生の好きなマドンナは、
吉永小百合、大原麗子、…とても多くて
書き切れません。
本当に素晴らしい女優陣に彩られた
シリーズでもありましたね。
今後とも、映画.comでのお付き合いの
ほど宜しくお願いいたします。

KENZO一級建築士事務所
LaLaさんのコメント
2022年3月16日

みかずきさん
こんばんは(^^)/

寅さんの笑顔で
周りが明るくなりますよね。
シリーズ50作の記念
風情ある下町の風景もGoodでした。
>満男と泉の過去と現在の心情を過去作の名シーン
切なくもどかしい恋心でした。
渥美さんの歌声も良いですよね⭐

LaLa