「山田洋次監督の遺産」男はつらいよ お帰り 寅さん snake666さんの映画レビュー(感想・評価)
山田洋次監督の遺産
50周年をやるならシンプルにリバイバル上映をするって方法もあったと思うが、それをせずこうして新作を発表した事にまずは敬意を表さずにはいられない。
そこにはもちろんファンへのプレゼント的な意味が大きいとは思うが、同時に今作には「男はつらいよ」シリーズが日本映画史に残さなくてはいけない大切な遺産である事を改めて確信させてくれる大きな意味も備わっていると思った。
回想シーンとして登場する名場面の数々は今なお大画面のスクリーンで観ても別格のオーラを放っており、その都度目頭が熱くなっていた。
特に渥美清はスクリーンの中において物凄い存在感だ。
観ている自分らは単にノスタルジーに浸るだけではなく、このシリーズがもたらす圧倒的な魅力にただただ打ちのめされる。
物語の登場人物のそれぞれが「寅さんロス」だったが、それは同時に観ているこちら側も同じであり、まさにスクリーンとお客さんが一体となった空間が存在していた。そして各々が寅さんがいてくれたらなぁとか寅さんならこう言ってくれるだろうとか想像しながら前を向いて人生を歩んでいくという、なるほどこのやり方で後世に本シリーズの魅力を伝えていくのもありかもなと感じた。
今後、このパターンで新作が作られていくのかはわからないが、とにかくまた劇場のスクリーンで寅さんに会えた喜びは何にもかえがたい。
ありがとう寅さん!祝50周年!
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