「冒頭の桑田MVがなければもっと良かった」男はつらいよ お帰り 寅さん AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
冒頭の桑田MVがなければもっと良かった
新収録パートへのデジタル合成による渥美清の“出現”、満男の回想シーンとしての歴代名場面の挿入など、全体に極めてよく練り込まれた構成と演出から、山田洋次監督のただならぬこだわりとシリーズへの愛情が伝わってくる。寅さんの熱心なファンではないが、喜劇人としての渥美清の格別な語り、表情、身体表現に改めて感じ入った。実質的な主演、吉岡秀隆の成長を幼少期から振り返る余禄も楽しめる。
ただ、主題曲をカバーして歌う桑田佳祐を音楽ビデオ風に延々と映す冒頭には失望した。彼のファンは嬉しいだろうが、桑田の声や顔が苦手な人にとっては苦痛でしかない(音だけなら映像で気を紛らせるのに)。もう一点難を挙げると、後藤久美子の台詞回し。長く演技を離れていたので仕方ないが、実力派が揃った豪華共演陣とは歴然とした差があり、気の毒なほどだった。シリーズ集大成のお祭り的な作品だが、山田監督の最高傑作とはならなかった。
50作目というキリの良い、作品のけじめとしては、制作陣もファンも待望の作品だったと思うが、良かった点としては、男はつらいよのこれまでの回想を良い塩梅に差し込んで、懐かしさとそこから続く現代に…という点。
良くないのは、オープニングの桑田佳祐。あれは酷い。桑田佳祐もファンならば、熟考して欲しかった。何だあれは。
後藤久美子の芝居…泉ちゃんと満男のエピソードの完結が観られて嬉しかったが、ブランクは有れども酷い。泉ちゃんの高校生〜社会人の頃を演じていた後藤久美子の巧さを知っているだけに、残念でならない。
山田監督も歳をとったのか、台詞もちょっと時代に合っていないというか。年が過ぎて劇中の登場人物も歳を重ねて、その「老い」もよく表れていて、その点は良いが台詞がね。若い役者にもベテランの役者にも、その場に合わないとか、笑わせるつもりなのか、妙に年寄りじみさせたり(リリーがトイレに行くシーンとか橋本功が金をせびるシーンとか)、志らくやたま平の登場シーンなんて全く話に関係無くて不要だったのでは?と。
集大成ではあったかもしれないが、シリーズの中ではワーストワンと自分は思う。
本当に桑田のオープニングは不快以外何者でもない……イライラが暫く尾を引き内容が冒頭入って来ないくらい。何故あんな事をしでかしたのか……ハァ〜思い出すだけでも腹が立つ💢
おっしゃる通り冒頭の桑田の歌で幻滅!なぜあのようなノを使わなければいけなかったのか?他にもこの桑田の件には不評を書いている人がいるからまんざら私だけでなく桑田を利用したことは失敗では!せっかくの寅さんが台無しになった!!!
エンディングを盛り上げるためって言っても、例えば食後のデザートのために食前にわざわざクソまずい前菜を食わせる必要はない訳で。
本編が素晴らしかっただけにオープニングだけが残念でならない
teruminさん>
私もそう思います!
そこも含めて山田監督の振り子なんですよ。すごい振り幅だと思います!
冒頭で、みんなが???こうなることは織り込み済みで、ラストの渥美清さんの唄が…涙無くして聴けません、あれは(涙)
渥美さんが天国で聴いてても面白いじゃない!って言ってそうで、そこも山田監督との信頼関係あるからこそ、できることなんですよね。
あれはなかなか思い付かないし、ある意味ファンの期待に、最後にまとめて応えたような破壊力がありました!
これ書いてても泣けてくるので、この辺にしておきます。。
歌唱自体は悪くなかったと思うよ。
それなりにイイ線行ってるようにも感じた、
他の誰かだったら、もっとヒドかったんじゃないだろうか?
ただ、本人を登場させてる事が❌である事は否定できない。
何の脈絡もないし(後で登場するワケでも無いし)、流石に「何だかな〜」と思った。あの口上も「カンベンして欲しい」感になった。
まあ、歌だけにしとくべきだったね〜
寅さんのopはいつもバカバカしい夢ネタか主題歌のバック映像もコント風のものだったので特に違和感は無かったです。
コミカルなopから始まるのもいつものパターンです。
文句言う人は寅さんあんまり見たこと無い人でしょうか?
私の記憶ですが、寅さんシリーズ冒頭ってほとんど寅次郎の見るおバカな夢の中から始まり、寅次郎が目覚めるところから本編がスタートしていたと思います。冒頭の桑田さん、もしかしたら夢のシーンかも?
冒頭の桑田の歌唱について、ああいう形でなら、なかった方がよかったと率直に思います。また桑田にはもう少し真面目に歌って欲しかったです。「男はつらいよ」に対する誤解があるのではないかと思います。寅次郎は真面目も真面目、大真面目に生きたのです。寅次郎を、そして作品を茶化すような歌唱に怒りすら感じました。八代亜紀では駄目だったのでしょうか?
批判されている冒頭の桑田さんの歌ですが、私はエンディングの渥美さんの肉声を盛り上げる最高の伏線だったように思いました。
すなわち山田監督らしい巧妙な「伏線の回収」というか、桑田さんの歌で皆さんが感じていたフラストレーションを、エンディングの渥美さんの歌声でで一気に回収、ここで感極まった回りの方々は私を含め皆さん涙ぐんでいました。