劇場公開日 2019年12月27日

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「【寅さんはいつでも、義理人情の大切さを私たちに教えてくれた。辛いけれど、今作では”人の生と死”についても深く考えさせられる。くすりと笑った後に涙が滲み出てきます・・。】」男はつらいよ お帰り 寅さん NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【寅さんはいつでも、義理人情の大切さを私たちに教えてくれた。辛いけれど、今作では”人の生と死”についても深く考えさせられる。くすりと笑った後に涙が滲み出てきます・・。】

2019年12月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

 オープニング、桑田佳祐さんが朗々と、”男はつらいよ”を歌い上げる。

 物語は、現代の諏訪家と過去の名場面を絶妙に繋いで描かれる。違和感はない。
 山田監督、流石であります。

 満男(吉岡秀隆)は小説家になっており!彼のサイン会に初恋のイズミ(過去作では泉:後藤久美子)が現れ、物語は面白さ(と一抹の寂しさ。寅さんが終わってしまう・・)を増していく。

 過去の場面では寅さんが懐かしくも可笑しきセリフで笑わせてくれるが、どの場面でも何故か、くすりと笑った後に涙が滲み出て来るのである。

 周囲も同様の様で、笑いの後、鼻を啜る音が所々で響く・・。

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 今作は過去作を懐かしむだけの作品ではない。現代社会が抱える問題を山田監督はきっちりと作中に取り入れている。

 ・イズミは国連難民高等弁護館事務所で働いており、劇中ではシリアの内戦の風景や、父を第一次世界大戦、夫を第二次世界大戦、息子と孫を内戦に送り出したという女性の言葉が紹介される。
 ”あなたのような人がこの国に来て、私たちを助けようとしてくれているだけで、この世界は”少しは”良くなるのかもね・・”

 ・イズミと不和だった父(橋爪功)は母礼子(夏木マリ)と別れ、三浦半島の施設に入所している。所謂、介護問題の現実も重く描かれている。切ない場面が続く・・。
 だが、ここで満男は寅さんの言葉を思い出し、イズミを勇気付ける。
 寅さんの気質が確かに満男に引き継がれている事を知り、涙が滲んでしまう・・。

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 物語の後半、歴代の美しきヒロインが続々と大スクリーンに登場するのを観ても、”寅さんは日本一のモテ男だよなあ、良い漢だものなあ”と再認識しながら、涙が溢れる・・。

 帰って来た寅さんの、生き生きと躍動する姿と笑うと目が線になるあの忘れ難い笑顔、張りのある良く響く声で口にする”粋な台詞”の数々の素晴らしさ。

 そして、ラストに渥美清さんが張りのある声で歌う”男はつらいよ”が流れる・・。

 涙でエンドロールが霞む・・。

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 『今作を観て、改めて山田洋次監督の凄さを思い知らされました。
 又、山田監督始め、全ての作品に関わった多くの方々に(若輩者ではありますが、)感謝申し上げます。
 20代の頃はこのシリーズの良さが余り分からなかった事もありましたが、年を重ね、様々な経験をする中でこのシリーズの素晴らしさを知り得た事は私にとって貴重な事でした。(30代の頃は、寅さんの言葉に勇気を貰った事もありました。)本当に有難うございました。』

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<提案:現代の小中学校の授業の中に、月に一度で良いので「男はつらいよ」を観る時間を設けるというのはどうだろう。
 イジメ問題(含む教職員間)を含めた諸問題が激減するのではと思うのは私だけだろうか?>

〈2019年12月27日 劇場にて観賞〉

〈2020年 1月5日 劇場にて再度観賞〉

NOBU