劇場公開日 2019年12月27日

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「ビギナーでも大丈夫!50周年のプレゼントは心の中の寅さんでした。」男はつらいよ お帰り 寅さん shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ビギナーでも大丈夫!50周年のプレゼントは心の中の寅さんでした。

2019年12月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

「もう一度寅さんに会える!」本当に楽しみにしていましたが、寅さんの不在を突きつけられるOPにショック。(゚д゚lll)
寅さんにまた会える映画ではなく、とらやの人達の心の中にも、私の心の中にも既に寅さんがいた事に気づかせてくれる映画でした。
50周年のプレゼントに、永遠の寅さんを貰えたようで、山田洋次監督には感謝しかありません。(T ^ T)

『男はつらいよ』の新作が作られると聞いた時には、てっきり現代の映像技術で渥美清さんを蘇らせたストーリーなのかと興奮しましたが
少しずつ全貌がわかってくると、どうやら小説家になった満男が過去を思い出すストーリーのようで…
「これまでのダイジェスト版? 49作目みたいに満男のナレーションが入った特別編?」
金曜寅さんや土曜寅さんが終わって、寅さんロスが長くなっていた事もあり、とにかくどんな形にせよ、寅さんに会えるのを心待ちにしていました。
結果的には、どちらにも属さない「新作」で
現代の満男のストーリーが進むなかで、事あるごとに寅さんを思い出して、当時のシーンが挿入される作りでした。

…たとえばメロン。
もう、寅さんファンの皆さんならメロンが出てきただけでお分かりでしょうがww
網目メロンを手にしたときに「そう言えば、メロンでこんな事があったわねぇ。」と、あの名シーンが流れる…たまりません!!!(≧∀≦)
でも、それはメロンだけではなく、二階にあがる階段にも、帝釈天の境内にも、柴又駅にも家族の思い出が溢れていて
満男にとっては「おじさんならこんな時、どう言っただろう…」と心の指針にもなっている。
ただ過去の名シーンをパラパラと入れ込んだだけの映画ではなく、過去のシーンを入れることで、寅さんが今でもみんなの心の中に息づいている事を感じさせる映画でした。

寅さんは見る度に発見があるシリーズです。
子供の頃は面白い寅さんが大好きでしたが、大人になってからは男としての寅さんの魅力にハマり、
家族を持つようになってからは、さくらの優しさが泌みるようになりました。
長れるような名調子に酔って、つい言い過ぎる寅さん。憎めない愛くるしい笑顔。
今回の映画では、過去の懐かしいシーンで寅さんの魅力を再確認すると共に、寅さんが寅さんらしくいられた…心配しながらも寅さんの生き方を受け入れて、帰れる場所になっていた、とらやファミリーの暖かさと懐の深さを感じました。

そして、リリーに会えたのが嬉しかった〜〜(ToT)
歌うようなセリフ回しは、寅さんの名調子を聞いているようで、胸が熱くなりました。
イズミちゃんママも良かった。
歴代マドンナの名ショットは、当時の輝きに満ちていて、涙が止まりませんでした。
そのまま戦後の女優名鑑になる価値がある。

50周年で50作目となる『お帰り寅さん』は、寅さんファンとしても、映画ファンとしても満足のいく作品でした。

ちなみに、一緒に行った友達は親がテレビで観ている横でチラ見したぐらいの寅さんビギナーで、満男の父親が寅さんだと思っていたレベルだったのですが、
序盤でさくらと博のエピソードがあったので、すごくわかりやすかったそうです。
なるほど!それで選ばれたエピソードだったのか(^◇^;)
そして何より嬉しかったのは、寅さんのカッコ良さもわかってくれたところ!!
「あの優しさには、寄り添いたくなる。」と言ってくれて感激でした。
自然に人の心を開いて、人の心を癒して許してくれる。そんな寅さんの魅力が伝わったんだなぁ(*´꒳`*)

追記:満男のストーリーとしては、ナレーションが暗すぎて、こじらせたまま大人になってしまった満男が正直しんどい(^-^;
必要以上に介入してしまうところは寅さん譲りだけど、ウエット感がどうにも…。
自分の心は、そうそう思うようにコントロールできるものではないけど、あまりにも不器用な満男の生き方に心配が残る(←もはや身内感覚なので余計に)
あと、満男の娘が今どきの女の子とは思えないww
どこで純粋培養したらこんな言葉遣いになるのか?
我儘を言う事もなく、しっかり者で優しさと気遣いもパーフェクト!
さくらの遺伝子強すぎ。
頼りない男親を気遣って、イイ娘にならざるを得なかった?そう思うと不憫でならない。

shiron