劇場公開日 2019年12月27日

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「寅さんファンには、たまらない作品です。」男はつらいよ お帰り 寅さん nodiresdrさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0寅さんファンには、たまらない作品です。

2019年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

今春から「男はつらいよ」の全49作を改めて最初からすべて鑑賞しました。今回の「男はつらいよ 50 お帰り寅さん」は、50作目に相応しい素晴らしい集大成です。渥美 清さんという喜劇の名役者が、主人公の車 寅次郎を死ぬまで演じきり、逝去後、甥っ子の満男が、寅さんの恋愛を引き継いできた、寅さんシリーズの続きの意味合いもあり、映画ファンなら必ず
知っている、素敵なマドンナ、若い頃の女優にも会える秀作です。寅さん映画を見た方なら懐かしさを感じずには得られないと思います。
寅さんに生涯をかけた山田名監督の最後の寅さん作品になる可能性も秘め、寅さんを通じて視聴者や鑑賞者に訴えたい思いが込められているようにも感じます。
結婚しそうで出来ない、マドンナの綺麗な女性に惚れる/恋する男心、恋という人生の喜び、女性の恋心に気付かない男のもどかしさ、気付いても自信がなく結婚が不安になって旅に出てしまう、寅さんの弱さ。甥っ子の満男はしっかりと寅さんの良いところと弱さを理解し、悩みながらも告白する勇気を出せるまでに人間的な成長を遂げている。
学歴でない、学でない、人に対する寅次郎の気持ちのやさしさ。昭和のお父さんに共通した
傾向であった、短気で頑固な気質。暖かい家庭の団らん風景、家族に囲まれた、人間の喜怒哀楽の共有。生活を通した人間模様、家族の親子、兄弟、親戚の関係。結婚、離婚、シングルマザー、片親の子供、人間の老いと看病・介護。避けては通れない人間の辛さや宿命に
まみれながらも、そこにある、ささやかな会話や笑顔。そして、寅さんの馬鹿話や滑稽な
やり取りから生じる、ホッとなる、気持ちが安らぐ、安心感と喜び。
「男はつらいよ」シリーズが、国民に長く愛され、親しまれてきた、笑いと失恋の淋しさ
の繰り返しが、人生の喜怒哀楽と重なり、共感を生み、喜劇名作と言われる所以ではなかろうか。是非、映画館での鑑賞をお勧めしたい。オンディマンドで何度も鑑賞させて頂きましたが、劇場公開後も、劇場で、大きな映像スクリーンで、寅さんを満喫したいと思います。

nodiresdr