「淡いにも程がある初恋から始まってあっと驚くオチまで長尺を感じさせない圧倒的な架空歴史戦記」バーフバリ 伝説誕生 完全版 よねさんの映画レビュー(感想・評価)
淡いにも程がある初恋から始まってあっと驚くオチまで長尺を感じさせない圧倒的な架空歴史戦記
巨大な滝の下にある小さな村で生まれ育った少年シヴドゥは滝の上から流れてきた女性の顔を象った木彫りの仮面を拾って一目惚れ。来る日も来る日もその仮面の主のことを想うシヴドゥは滝を登って会いに行くことを決意、何度も何度も失敗を繰り返した末遂に滝を登り切る。しかしその滝の上は暴君バラーラデーヴァが統治するマヒシュマティ王国が猛威をふるう世界。そこで仮面とそっくりな美しい女性戦士アヴァンティカと出会い恋に落ちたシヴドゥは彼女と共にマヒシュマティ王国に戦いを挑むことになるが、その戦いは自身の宿命と対峙する戦いでもあった。
噂には聞いていましたが、確かにこれは物凄いスケールの架空歴史戦記。それを豪華絢爛な歌と踊りでこれでもかとデコッて魅せるのは極めてインド的。しかしそんな壮大な物語のツカミで、思わず赤面してしまうくらいにこっ恥ずかしいエモーショナルな初恋物語を延々と繰り広げるのにはビックリしました。インド映画として初めて全米興行収入ランキングでベストテン入りしたというだけあって、画面の隅々まで全く隙がないくらいに贅沢が施された圧倒的な映像美はもう垂涎モノ。そしてもちろん戦記モノなのでメインは活劇。その途方もない壮大な戦闘シーンは『ロード・オブ・ザ・リング』に比肩するダイナミズムに満ちていて、ただ座ってスクリーンを見つめているだけなのに手に汗がじっとり滲むほど。しかしその盛大なクライマックスで冷や水をバッシャと浴びせるかのようなラストカットに唖然。こんな終わり方ありかよ!と思わず叫んでしまいましたが、これは封切り時にリアルタイムで観ていた人は余韻がいつまでも尾を引いて辛かっただろうなと思います。しかしこれだけ豪勢な作品をリバイバル上映、しかも他の観客ゼロという貸切状態で鑑賞出来たのはそれはもう至福のひとときでした。